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京成ダイヤ改正、JRにケンカ売る?

新鎌ヶ谷は、北総・新京成・東武野田線が接続する駅。ここにスカイライナーが新規停車する。
オレンジが北総線だが、北総線内を通過して成田空港へ行く場合は、京成の運賃になる。

京成、突然のダイヤ改正発表

 京成電鉄がダイヤ改正を11月26日に実施します。10月24日発表だったので、1ヶ月前での結構急な発表です。(乗入れ先である京急も、ほぼ同時にダイヤ改正を発表しました。)

 目玉はスカイライナーの新鎌ヶ谷停車。驚いたことに青砥停車の列車に更に停車駅追加する形となるため、更に鈍足化。ノンストップ列車と比べると所要時間は7分差が出ることとなります。やろうと思えば所要時間の均等化もできたはずなだけに、何か戦略があると考えた方がいいでしょう。

新鎌ヶ谷駅とは?

 まず新鎌ヶ谷駅は、北総鉄道の駅です。成田スカイアクセスの途中経路であり、新京成電鉄と東武アーバンパークライン(野田線)と接続する駅でもあります。
 今回のダイヤ改正では、北総鉄道もダイヤ改正を実施。主に土休日に新鎌ヶ谷~印西牧の原(一部印旛日本医大)間で列車を増発するとのことです。
 また、新鎌ヶ谷駅付近は最近変化の激しいエリアで、新京成の高架化工事が2019年に完了。東武側も2020年に複線区間が延伸し、急行運転も開始しました。

 このように新鎌ヶ谷付近が盛り上がっている中、北総側もスカイライナー停車という大きな変化を迎えることとなったわけです。

プレスに滲む(笑)JRへのけん制

 さて、プレスリリースを見ると面白いことが書かれていることに気が付きます。
「…新たに新鎌ヶ谷駅にも停車させることで、
 ”松戸・柏エリアからの”成田空港アクセスの利便性向上を図ります」

 思いっきり、JRから利用者を奪う気満々ですね(笑)
確かに松戸や柏といった常磐線沿線から成田空港は、地図的には近そうに見えるのですが、鉄道アクセスは必ずしも良好とは言いづらい状況でした。

JR成田線・我孫子支線(我孫子~成田)。常磐快速線に乗入れ、上野方面まで運転する。
しかし我孫子~成田間は全列車各駅停車で、グリーン車営業も無い。

現在ダイヤでの比較

 現在のダイヤ(2022/10月)の場合、新鎌ヶ谷経由で成田空港へ行く場合、40分間隔のアクセス特急しかありませんでした。所要時間は確かに早いのですが、タイミングによってはかなり待たされることになります。運賃面でもけして安くありません。
 そのため、常磐線我孫子経由・成田支線乗継の方が、本数面でも運賃面でもかろうじて優勢を保っていました。
※ただし、JRの成田→成田空港は接続が無い場合もあるため、京成成田に乗換した方が早い場合も

 柏→成田空港
・東武経由で1,190円、最速46分、40分間隔。所要時間のみ有利。
・我孫子経由で860円、最速64分、30分間隔。運賃、運転本数で有利。

 松戸→成田空港
・新京成経由で1,130円、最速58分、40分間隔。所要時間のみ有利。
・JR経由で990円、最速72分、30分間隔。 運賃、運転本数で有利。
※乗換回数はいずれも1回。ただし、JRは我孫子で乗換の場合は2回。

ダイヤ改正でこう変わる

 さてさて、これがスカイライナー新鎌ヶ谷停車でどうなるのか。
すごいことになりましたよ。こちらをご覧ください。

柏→成田空港
スカイライナー利用、運賃1,990円、所要時間46分、60分間隔
松戸→成田空港
スカイライナー利用、運賃1930円、所要時間48分、60分間隔
※成田空港~新鎌ヶ谷の特急料金は、800円。

 本数面では、2時間で5本(アクセス特急3、スカイライナー2本)となり、1時間あたり2.5本となってJRをわずかに上回ります。
 運賃面では2倍以上の割高ですが、その分時短効果の恩恵を受けやすくなります。

松戸からは新京成、柏からは東武線で新鎌ヶ谷へ行ける。
スカイライナー停車で、1時間あたり 2.5本の成田空港行きが発着するようになる。

松戸利用者にとっては朗報?

 そして特筆すべき点は、松戸から成田空港と乗換検索を出した場合、日暮里経由のルートが表示されることがよくあるということです。というのも、常磐線とスカイライナーがどちらも20分間隔で、ちょうど乗継のいい時間になっているからです。このルートと比較してみましょう。

・日暮里経由 松戸→(常磐線)→日暮里→(スカイライナー)→成田空港
  所要61分、2880円、20分間隔

 こちらの方は本数面で有利な反面、結構割高ですね。日暮里での乗り継ぎ時間も4分程度と、ちょっと忙しくなります。
 しかし新鎌ヶ谷経由なら1930円、1時間に1本ですが950円も安くなります。
(もっとも、安さを求めるならアクセス特急を増発してくれと思う人もいるかもしれませんね ^^;)

新鎌ヶ谷停車を掘り下げ

どんこめの過去動画(2021年12月)

 さて、プレスリリース上は北側の利用者取り込みを意識したダイヤ改正、という風に捉えられるように思います。ただ、どんこめは以前、こんな動画を作っていました。(2021年12月25日)

 この動画では、京成スカイライナーの青砥新規停車を取り上げていました。(2:35~)
 また、スカイライナーの青砥停車が1時間に1本になることも結果的には予言していました(笑)この当時はまだ減便中で半分の40分間隔、さらにその半分を青砥停車にする都合で、1時間20分に1本という中途半端な本数だったんですよね。

 この動画の中では「次にスカイライナーが停車駅を追加するなら?」という話をしているのですが、その中では「東松戸ではないか?」と予想していました。その根拠については、動画を是非ご覧下さい。

新京成・京成完全子会社化の象徴に?

 この動画以降の京成の動きの中で、新京成を京成の完全子会社にしたという動きがありました。だとすれば、京成と新京成で結束を深める象徴的な物が欲しかったのかもしれませんね。
 現在新京成と京成の接点は京成津田沼駅ですが、真の意味での京成の象徴である『スカイライナー』との接点は「新鎌ヶ谷駅」であり、残念ながらずっと通過となっていました。
 ※最近運行された臨時ライナーも、新鎌ヶ谷は通過だった。

  そういう意味で考えた場合、ライバルJRとの接続駅 東松戸よりも、自社グループとの結束点である「 新鎌ヶ谷 」に停車させる方が良い判断であると考えられます。

新京成は、2022年9月に京成の完全子会社となった。

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