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なぜ小田急バスが運休して 電車は運休しないのか?

※この記事は、2022年8月8日と8月9日にPostPrimeで無料投稿した記事と同内容です。
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バス会社・鉄道会社の新規感染状況

 日本国内の新規感染者数は8/2以降20万人以上が、死者数も100人以上が続いています。感染者数では過去最高ペース、死者数でも第三・第四波水準で続いています。最悪だった第六波よりは低い状況ですが、時間の問題かもしれません。

バス会社が特に深刻

 鉄道・バス会社の状況です。特に感染者が出ている小田急バスですが、8/5の更新情報報によれば15人の新規感染が掲載されていました。特に武蔵境営業所が7人とほぼ半分を占めており、週明けに運休が拡大する可能性もあるかもしれません。
 西武鉄道は8/5の情報で新たに5名、乗務員1名と駅員3名、店舗1名。  近鉄は同じく8/5の情報で新たに10名、乗務員7名と駅員3名が。  西鉄では同じく8/5の情報で新たに2名、バス運転士2名。8月に入ってから累計26名で、7月累計は92名でした。

 情報を公開している会社としてない会社でかなり温度差があるように思えます。たとえば小田急バスではかなり感染状況がひどいですが、小田急電鉄の方では、少なくともログを確認できる範囲では感染者情報を一切発信していません。

小田急電鉄は人余り?

 これはおそらくですが、電鉄の方は「人余り」状態だからだと考えられます。 今年3月のダイヤ改正で全線にわたる減便を行っており、運転士・車掌の方にも相当の余裕ができていると考えられます。
 おそらく元々は別部署への異動などが行われていたと考えられますが、必要とあれば呼び戻せばいいだけのことです。であるならば、たとえ感染者が出ても減便をすることもなく対応できると考えると、わざわざ不安を与えるような発表をしたくない、と考えても不思議ではありません。

 同じ理屈で考えると、減便ダイヤ改正を行って内部的な余裕がある会社ほど、感染状況を発表していないことになりそうです。逆に考えれば、減便改正をしたにもかかわらず感染者数を発表しているところは、よっぽど元からの要員数に余裕が無かったのでしょうか? この辺りは、もう少し深堀してみる必要がありそうです。

実際に検証してみた

過去の時刻表を引っ張り出し、実際に調べてみます。

 小田急で最も本数が多くなったのは、複々線完成ダイヤ改正があった2018年3月の時。この時と現在のダイヤで、日中平日の時間帯に営業線上を走行している列車の数を調べてみました。すなわち「確実に勤務中の乗務員の数」を割り出します。
 すると下記のような数字となりました。

小田急電鉄 日中の列車数から乗務員数を割り出す

2018年 82編成 164人
2022年 71編成 142人
※平日13時を跨いで本線上を走行している列車の数を計測。千代田線入線中の列車は除く。

運転士と車掌で2人1組として、なんと▲11組22人も減っていたことがわかりました。もちろん実際にはこの時間帯に休憩時間の人達もいるでしょうし、所定の公休日の人もいるでしょうから、実際の乗務員数はもっと多いでしょう。
 この列車数が全シフトの勤務だと仮定し、5勤2休相当だとすると、

2018 82勤33休の115日サイクルから、
2022 71勤29休の100日サイクルに変わったと推測することができます。

 少なく見積もっても 15組30人分は余裕ができているでしょうし、運転士はほぼ必ず車掌経験者ですから、車掌に限れば30人感染が同時発生しても対応可能、と言えるのかもしれません。

 もしこの30人が、乗務員の補欠要員として機能するような部署に異動していたとしたら、確かにちょっとやそっとの感染者増ではビクともしないだろうと推測することができます。休日出勤可能な人も29組はいるわけですし、数字の上では1日最大 44組88人までの欠員には対応できると考えられます。(逆に感染者増による運休なんて言いだしたとしたら、それ以上の欠員が出てきたという裏返しでもあります)


小田急バスはどうなのか?

 ではひるがえって、小田急バスはどうでしょうか?
 調べてみたところ2020年11月、鉄道よりもかなり早い段階で 運転本数などを見直す大規模なダイヤ改正を実施していました。特に深夜バスを中心に削減。日中時間帯の減便に着手した路線もあったようです。

 バスの場合、鉄道と違って他部署への異動はほとんど無いでしょうから、減便となれば運転手はそのまま余剰になってしまいがちです。いくら慢性的な要因不足傾向とはいえ、人によっては他社へ移ってしまったりタクシーに転身する人もいると考えられます。

 そこに今回の急速な感染拡大が襲ってきたのでしょう。もし大規模減便が、鉄道と同じぐらいのタイミングで今年3月ぐらいの実施だったとしたら、要員にまだ余裕があったのかもしれません。

 しかし減便からまもなく3年です。収束の気配もなく、大規模な増発機会も無さそうだと判断すれば、去ってしまう人の方が多かったのではと考えられます。
 ここに鉄道とバスでの、感染拡大に伴う乗務員確保・運休状況の違いがあるのではと考えられます。

おわりに

 特に鉄道の方の実際の感染状況は不明ですが、どの程度余力がある状態で現在の第七波を迎えたのか、という点が鉄道とバスでは大きく異なっていたのではないかと考えられます。
 小田急に限らず、ほかの減便ダイヤ改正を行った私鉄会社などは、概ね同じような状況なのではないかと考えられます。

 はて、ほとんど減便対応を実施していない鉄道会社がどこかにあったような…?🤔

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