○△論争
「今回の論争テーマは、(究極の図形とは)でお送りいたします。」
人気YouTube番組が始まった。
「それではご紹介しましょう。究極の図形論者、丸さんデス。」
人の良さそうな丸顔の男性が紹介された。
「そしてもう一人。究極の図形論者、三角さんデス。」
角張った顔の、少し神経質そうな男性だ。
「それでは、丸さんの主張からどうぞ!」
司会者が論争スタートを告げた。
「言うまでもありません。○は、永遠の先にある究極の図形です。多角形をその角数で並べてみて下さい。その永遠に続く図形の並びの先にあるのが○なのです。これ以上の図形は存在いたしません。」
「なるほど。ありがとうございます。では、この意見に対して、三角さんからの意見も伺いましょう。」
司会者が、三角さんにマイクを向けた。
「永遠の先。それは、手の届かないところではありませんか。いつまで経ってもたどり着けません。それに比べ、図形の始まりは△です。点では?線では?等の意見もありますが、図形とは本来、面積を有すべき物のハズです。即ち、全ての図形の始まりは△です。△こそが究極の図形なのです。」
「いやいや・・・」
「なんのなんの・・・」
論争は激しさを増してきたが、司会者である人気芸人の一言で終了した。
「まあまあお二人さん、少し落ち着きましょうよ。出来た人間は、角が取れていると言うではありませんか。」
究極の図形は、○と決定した。