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立方体の思い出           #毎週ショートショートnote

海は、空の色に共鳴しているかのように青く広がり、岸部には風に吹かれた波が打ち寄せている。
「山あり谷ありの長い道のりだったが、やっと、ここまでたどり着くことが出来たんだなぁ。」
流れて行く雲を見上げながら、私は呟いた。

周囲は、旅路を共にしてきた仲間たちで溢れている。
苦労をしてきたのだろう。尖った奴ばかりだったが、皆、角が取れて丸くなっている。

元々は、いびつな形の奴ばかりだったが、たまに整った形の奴もいた。
「ピラミッド型の奴はチョット目立っていたなぁ。」
そういう私も切り出された時は立方体だった。よくピンコロ石と言われたものだ。
しかし、山肌を離れ、濁流に流され、周りの奴らと喧嘩をしているうちに角が取れ、丸く柔らかい表情になる事が出来た。

これからはココで、仲間たちとワイワイやりながら更に身を削り、いつかは砂になって行くのだろう。
それまでノンビリとこの浜で、長かった旅路の思い出話でも、仲間たちとジャリジャリとしてみようか。

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