【長距離恋愛販売中】 #毎週ショートショートnote
「どこでもドア」は
ドラえもんの数あるアイテムの中でも
実現するために多くの費用と長い時間を要した技術である。
この技術の完成は、物流に多大な影響を及ぼしたことは言うまでもない。
そして、人の流れを大きく変えた。
どんなに離れていても、すぐに会うことができるようになり、
「長距離恋愛」「単身赴任」は死語となってしまった。
しかし、人間とは不思議な生き物で、
好きな人とずっと一緒にいたいと思いながらも、
少し距離を置いた時の何とも言えない
心の不安定さに憧れを感じ始めていた。
「どこでもドア」の出現で大きな痛手を受けていた旅行会社は、
この空気を見逃さなかった。
「会えない不自由さ」を売り物にしたのだ。
世代ごとのキャッチコピーは
若者には
「長距離恋愛販売中」
離れてわかる自分の気持ち
子育て夫婦には
「単身赴任販売中」
家族の絆を再発見
熟年夫婦には
「一人な時間販売中」
愛は残っていますか?
結果、熟年離婚が増えてしまったことは言うまでもない。
(413文字)
写真は、ある森林公園に設置されているドア。
設置当時は、塗装していない無垢の木材のままで、時期的に「すずめの戸締り」をモチーフにしているのかと思いましたが、「どこでもドア」だったらしく、今ではピンクに塗装されています。
「長距離恋愛」と「遠距離恋愛」
違いがあるような、無いような?
いづれにせよ、チョット憧れます。
熟年夫婦ですが、愛は残っていると信じて!
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