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子守歌の熟成

年の瀬となり、孫ちゃんが帰省する季節がやってきた。
ジイにとって、楽しみな年末年始。
2歳になったばかりの孫ちゃんが到着だ。

寝室のタンスの上に仕舞っていたおもちゃ箱を指さし、早く下ろせとせがんでくる。
すぐに沢山のおもちゃに囲まれ、はしゃぎ回っていた孫ちゃん。しかし、長旅もあり眠くなったのであろう。娘にすがりついてぐずりだした。

おせちの準備で忙しい妻の手伝いをする娘から、孫ちゃんを引き離し、お昼寝の時間へと抱き上げた。

待ちに待った時間だ。


昨年のことだった。
同じように孫ちゃんを抱き上げ、懐かしい子守歌とゆらぎで、難なく寝かしつけることが出来た。その時、人肌の温度に温めようと一緒に抱いていた日本酒が、たまらなく芳醇になっていることに気が付いたのだ。

子守歌のリズムと孫ちゃんの呼吸が共鳴するのであろう。
安物の日本酒でも、深い眠りにつくと、たまらなく芳醇な香りのする熟睡、いや熟成された醸造酒へと変化したのだ。
何度か試してみたが、同じように熟成された日本酒を楽しむことが出来た。

そこで、今年は安物のワインを何本も準備した事は言うまでも無い。

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