元損保査定マンが解説!火災保険申請業者を絶対避けるべき理由

東日本大震災から10余年。地震保険が注目を浴びたことにより、火災保険の中身も広く知れ渡ることに。昨今の自然災害の激甚化も相まって、保険金の支払件数は上昇傾向にあります。
火災保険と言っても、支払われる事故種類は火災のみならず、
・落雷、爆発
・風災、雪災、雹災
・水災
・水濡れ、車両衝突
・盗難
・その他不足突発的な事故
等、多岐に亘ります。

そのような中、「火災保険を使って0円リフォーム」「築30年以上であれば火災保険から給付金が受け取れます」「火災保険でお金を受け取り海外旅行へ行こう」などの営業トークで、火災保険を利用して儲けようとする業者が多数登場しました。
同時に、これらの業者とトラブルになり、消費者センターへの相談件数も増えているようです。

これらの業者の特徴としては、以下の通りです。
・建物を点検し、破損や劣化している箇所を探す(ドローンや高所カメラ機材を使用して屋根を撮影する業者もあり)。
・発見した破損箇所について、自然災害が原因と説明し、事故発生日を適当に決める(保険金請求には必ず事故発生日の申告が必要なため)。
・悪徳業者の場合、契約者の見ていないところで建物を壊し、その部分を自然災害として保険金請求を促す事もある。
・保険申請に当たっては業者と契約書を締結し、保険会社から保険金が支払われた場合は、必ず業者に修理を任せるか、修理しない場合は保険金の30〜40%程度の報酬を業者に払う事を約束させられる。
・保険会社に提出用の見積書を作成されるが、その内容は過剰な工事や法外な単価が計上されていることが多い。


これらの業者の営業文句は、
「不自由なく暮らしている建物でも、事故に気がついていないだけで、専門業者の調査により高額な保険金を受け取れる可能性がある」
「保険会社は支払いを渋る傾向にあるため、知識のある専門業者がサポートする」
というものです。
確かに、ここ数年以前は、火災保険が自然災害も対象とする事自体知らない契約者が多く、本来支払われるべき保険金を受け取れなかったケースが多数ありました。
これらは、業者の手を借りることなく、損保業界が周知徹底させるべきものであり、最近は広く知れ渡り改善傾向にもなっています。
問題なのは、本来保険対象にならない劣化・破損等を、自然災害と嘘の原因を作り、それを契約者に保険請求させることです(知らずに保険金詐欺の片棒を持たされることになります)。
また、本来受け取るべき保険金があったとしても、大半を業者が搾取することになり、残ったお金では適切な修理が出来ないことにもなりかねません。

火災保険は契約者の保険料で成り立っており、保険金請求権は保険契約者(被保険者)にあります。決して、業者を儲けさせるものではありません。
保険約款に適合する事故であれば、保険会社は適切な保険金をお支払いします(今どき正当な理由なく保険金の支払いを渋る事はありません)。

むしろ、火災保険申請業者を利用していることを保険会社が知った場合、逆に保険会社の査定が厳しくなる事も考えられます。
保険金支払い業務に携わってきた経験として、火災保険申請業者を利用することによって生じるデメリット、満足の行く保険金申請のコツについては、次回解説したいと思います。

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