「あきらめたらそこで試合終了」40代からの公認会計士への道

遅すぎるということはない、40代からの挑戦

1.私の人生と公認会計士への憧れ

　私が初めて数値と真剣に向き合ったのは小学生のころだった。父が書斎から放り出した一冊の古い会計の教科書が私の人生を揺るがす一歩だった。そのとき、私はまだ公認会計士という肩書きについては理解していなかったが、会計という世界の魅力に惹かれていった。

　それから数十年が経ち、私はただの会社員となり、一日の大半を会社で過ごし、休みの日には家族と過ごすという生活を送っていた。しかし、心の奥底では会計士という夢が薄れることはなかった。

　40代になり、私は自己の存在と、この世界の広がりを改めて見つめ直した。日々の仕事に追われる中、ふと時間を見つけては会計の教科書を開き、その奥深さに魅せられていた。そして、いつしか自分が公認会計士の試験に挑戦してみたいと考えるようになった。

　多くの人は、40代から何か新しいことを始めるのは難しいと思うだろう。それが特に専門的な知識を必要とする公認会計士という職業であれば、なおさらである。しかし、私はこの挑戦を、人生の新たな展開として受け入れた。再学習に必要な時間や労力、そしてそれに伴う家族への負担を考えると、決して楽な道ではなかった。

　だが、私はその挑戦を始めた。一日の終わりには必ず時間を見つけ、教科書を開く。難しい会計の理論に頭を悩ませながらも、一ページずつ進めていく。一人の時間は常に短く感じられ、疲れて眼が閉じようとも、私は決して教科書を閉じなかった。誰にも見せることのない、孤独な戦いがそこにはあった。

この時点で、私が持っていたのは、ただひたすらに公認会計士になるという情熱と、自分自身を信じる強い意志だけだった。私の努力は、きっと何かの形になると信じていた。そして、その信念が私を支えてくれた。

　私の旅はまだ始まったばかりである。私が公認会計士という夢を追い続ける理由、その挑戦を通じて何を感じ、何を学んだのかを、これから皆さんにお伝えしていきたい。その全てが、私の「あきらめたらそこで試合終了」の物語の一部であり、それは公認会計士として、そして一人の人間としての私の成長を象徴している。

　この物語は、一見、特異なものに見えるかもしれない。しかし、この世界には、新たな挑戦を始める人が無数にいる。そしてその多くは、私と同じように、何かしらの夢を追い続け、自己の成長を求めている。そして私たち全てが、自身の生活の中でその挑戦と向き合い、努力し、そして成功を収めるために戦っている。

　遅すぎるということはない。年齢など、ただの数字に過ぎない。どんなに遅くとも、自分が夢を追い続けることに意義がある。だから私は、今も、公認会計士への道を歩み続けている。私の物語は、皆さんが新たな挑戦を始めるきっかけになれば幸いである。だから、どうか、私の物語を最後まで読んでみてください。そして、あなた自身の夢を追い求める勇気を持ってください。

2. 40代での再挑戦の決断

　私の人生は、40歳という節目に、まるで水面に浮かび上がる沈没船のように、新たな転換点を迎えました。役所の忙しい業務を一日終え、夜の静けさが私を包む頃、見知らぬ疲労と無関心さが私を襲いました。ある種の退屈、漠然とした不満が、私の心を揺さぶりました。このまま日々を過ごすことに、どこか違和感を覚えていたのです。

　夜の静寂は、平穏な生活の裏に隠れた無形の欲求を、容赦なく掘り起こします。それは、新たな可能性、違う世界への切望でした。何度も何度も夜に目覚め、考え抜きました。そして、私は人生の第二章を始める決意を固めました。

　公認会計士。その言葉が、私の頭を占領しました。それは社会に対して責任を負い、自身の知識と経験を試すことのできる職業でした。なぜそれに引かれたのか？それは、仕事を通じて自己を見つめ直し、新たな可能性を見い出す機会として、その職業が持つ社会的な影響力に強く引き寄せられたからでしょう。

　私の心の中で、新たな挑戦への決意が燃え上がっていきました。その決意は、自分自身の能力と知識を見極めるための一歩でもありました。そう、それは新たな知識の獲得、人間的成長への道筋でした。この道が私に与える達成感と成長の機会、それは他のどんな職業よりも私を魅了しました。

　私は深夜のベッドで、物思いにふけりながら、未来への挑戦を決断しました。それは一見無謀と思える挑戦でしたが、40代という年齢が、その挑戦を一層劇的なものにしてくれました。

　私が皆様に伝えたいのは、40代という年齢が、新たな挑戦への門を閉ざすものではなく、それを一層鮮やかに輝かせ、価値を高めるものであるということです。そして、その決断と挑戦が、私の人生に新たな風景をもたらし、それまでの日々を大きく塗り替えることになったのです。

3. 学び直す難しさと苦悩

　人生とは波乱に満ちた航路であり、その旅路には想像を超える困難が待ち構えています。私の挑戦も、その例外ではありませんでした。公認会計士への道は、厳しい学習と猛烈な挫折が絶え間なく襲ってくる、長いトンネルのようでした。

　日々の仕事に追われ、夜遅くになってようやく一息つける頃、私を待っていたのは数々の書籍と膨大な情報の海でした。それらを独力で学ぶことは、肉体的、精神的にも過酷を極めました。しかし、その苦労が生み出した理解と知識は、私を押し上げる勇気となりました。それは、夜の闇を切り裂く一筋の光のような存在で、私を前進させ続ける原動力となったのです。

　そして、家族と仕事、学習の三つを巧みに絡めて行くことは、まさに難航を極めました。愛する家族との時間を守るため、我自身の時間を犠牲にしなければならない場面が何度も訪れました。夜明け前の僅かな時間を見つけ、疲れ果てた身体を押して学習を進める。そんな状況に陥った時、時間との戦いは一層厳しさを増しました。

　また、挫折との戦いが始まりました。学習が停滞し、試験に落ちた時、私は深い絶望の底に突き落とされました。その時、私は自我を見失い、何のためにこの道を選んだのかすら疑問に思いました。しかし、そんな時こそ、初心を思い出すことが何よりも重要でした。自分が何のために、どういう理由で公認会計士を目指すことを決断したのか、その原点を再確認することで、挫折から立ち直ることができました。

　ああ、その悲しみと喜びを交えた日々は、まさに磨き抜かれた刀のように、私の人生を鮮やかに切り裂きました。しかし、それが私の選んだ道であり、それが私を、公認会計士という目標へと進ませる大きな力となったのです。

4. 忍耐と努力、そして支える人々

　苦悩と挫折、そして無常に揺さぶられながらも、私の前進を止めることはありませんでした。その歩みを支えたのは、執念深い努力と忍耐、そして身近な支えとなった人々の存在でした。

　毎日、決められた時間を確保しての学習は、一日の仕事を終えた疲労を超えるための闘争でした。しかし、そのような状況下でも、私は知識を着実に積み上げることができました。そのためには、細部まで計画を立て、休憩時間も有意義に使う工夫が必要でした。休憩時には心地よい音楽を聴いたり、短い散歩をしたりしました。そうした小さな時間の積み重ねが、究極的には大きな成果へとつながることを、私は確信していました。

　そして、私の挑戦を理解し、応援してくれた家族や友人の存在が、私を突き動かし続けました。彼らの理解と支援は、私が困難を乗り越える力となりました。時には厳しい言葉をかけてくれることもありましたが、その一つ一つが私の中に深く刻まれ、新たな力となったのです。

　公認会計士試験への挑戦は、決して平坦な道ではありませんでした。試験に合格した時の喜びは、我が身を雄鶏の如く輝かせ、言葉にすることができないほどでした。しかし、その一方で試験に落ちた時の悔しさや無力感も、私を刻み、深く彫り込みました。それらが今の私を形作る重要な経験となったのです。

　今回の経験を通じて、忍耐と努力、そして人々の支えがいかに重要かを身を持って理解しました。人は一人では何も達成できない。家族や友人、そして自分自身の努力と忍耐、そのすべてが一つになって初めて、目指すべき道が開かれるのです。

「あきらめたらそこで試合終了」公認会計士になった今

　公認会計士として生きる今日、我が存在が強く刻まれていると感じる。その職種は、私の自己実現のための重要な手段となり、己の価値観を再確認する絶好の機会となった。もちろん、業務は厳しいものがある。しかし、それらの過酷さを超えて感じる喜び、それが公認会計士という道に生きる意義を私に与えている。

　試験に合格した瞬間、その瞬間は私の生涯を変える瞬間であり、忘れ得ぬ喜びが胸を突き動かした。時間と空間を超えた一瞬の解放、全ての努力が報われる至福の瞬間だった。しかし、それだけが全てではない。試験勉強を通じて得た知識、経験が私の成長を大きく促し、その成長が私に自信をもたらした。あらゆる挑戦が、遂にこの達成感へと繋がっていた。

　そして、公認会計士として得た視野、それは私の人生に新たな色彩を加え、広がりを持たせた。より広い視界、それが公認会計士として得たものである。社会の複雑な構造を見据え、企業の真実を読み解く視野。それは私を更なる知識へと引き寄せ、自己を深化させる。また、同じ志を持つ仲間たちとの新たな人間関係は、私の人生をより豊かにし、深い満足感を与えてくれる。

　このように、公認会計士としての生活は、私自身の成長、視野の拡大、そして人間関係の豊かさをもたらしました。「あきらめたらそこで試合終了」これは、公認会計士への道を歩んだ私自身の証明であり、その言葉を胸に、私はこれからも更なる成長を求め、挑戦し続けることでしょう。

【結章】学び続けることの大切さ

　学び続けること、それは新たな世界を見つめ、自己を磨く行為である。学びを通じて得たもの、それは広大な知識と経験、そして公認会計士としての誇りだ。その一方で、学び続けることで失ったものもある。無限にある時間の一部を、一つの目標に捧げた結果、他の可能性をあえて放棄したのだ。だが、その全てが現在の私を形成し、独特な光を放つ宝石のような存在となった。

　これからの目標と抱負、それは公認会計士として更なる成長を遂げること、そして、自分の経験を通じて、他の人々の助けになることだ。多くの困難を乗り越えて得た経験と知識を、一人でも多くの人に分かち合いたいという想いが胸を突き動かす。さらに深い知識を得るためには、絶えず学び続けることが必要であり、それが私の次なる挑戦となる。

　40代からの再学習を考える人へ、私からのメッセージを送りたい。それは、年齢に縛られず、自分の夢を追求することの重要性だ。決して遅すぎるということはない。あなたが夢見る世界に足を踏み入れる為の第一歩を踏み出すこと、それが何よりも大切なのだ。そして、その道のりは困難であろうと、挑戦することによって得られる喜びと成長を感じてほしい。

　年齢など、他人の目や固定観念に惑わされることなく、自己実現の道を突き進むこと。それが真の学びであり、生きる喜びそのものだ。我々が選んだ道を進むことで、初めて人生は輝きを放つ。遅すぎるということはない、あなた自身の人生に輝きを放つ瞬間を迎えてほしい。それが、40代からの再学習を考える全ての人への私からのエールである。

#私の学び直し