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…えぇー機長の山下です。皆様にご報告がございます。順調に空の旅を進めておりました当機は…
…なんだい。あんたも冷やかしに来たのかい。それとも笑いに来たのかい。冗談はよしてくれや…
僕達は空を見上げると、雲がフカフカのソファーであることを信じて疑わない。流れる雲に乗っ…
あの日の風の匂いを覚えている。冷たく、僕の鼻を劈く風。粘膜にねっとりと垂れ込める血。あ…
彼が死んでから、私はチューリップに涙を落とし続けている。彼が何気なくプレゼントしてくれ…
瀟洒なバーでは、一組の男女がマティーニを飲んでいる。どうやら恋愛関係ではないらしく、知…
目を覚ますと、私の隣には大きな蛹が横たわっていた。寝惚けた私の頭には、その真っ白な塊が何かを理解することができなかったけれど、呆然と見つめているうちに彼が蛹に辿り着いたことを悟った。私は瞼を擦りながらスマートフォンを起動し、市役所の蛹処理科に電話を入れた。 「…同居人が蛹になりました。」 彼も疲れたんだろう。でも、蝶になることを許してしまったらこの世界は回らない。私は大きな蛹に布団を被せ、そのふくらみを眺める。こんな閉塞した時代で、蛹になった彼を誰が責められるだろう
彼女の腹には、蝶が羽ばたいている。凜とした黒色の蝶。普段は影を潜めている。彼女の本能が…
〝ハンプティ・ダンプティ へいにすわった ハンプティ・ダンプティ ころがりおちた おう…