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紐とトリガー

文豪になりたい
文豪でありたい

そう思う理由のひとつに「ミスリード」がある

漫画や映画よりも、それが容易(たや)すい

文字だけ、文章だけなので、読み手の想像に委ねることができるからだ

それぞれが自由に描くイメージに耽っていただくことができる

叶うならば、そのトリガーでありたい

そんなことを思いながら散歩していると、ふと、同じように散歩をしている老犬が目にとまった

本来であれば駆動すべきジョイント、関節という関節がカタまってしまっているのだろう

生まれ、そして土に還る

原点回帰、産まれたての仔鹿のごとく、ガクガクと、よちよちと

かくりかくり
ゆるりゆるり

きっと昔は、リード(飼い紐、引き綱)など、どこ吹く風

制止も効かずに、飼い主ごと振りまわしていたに違いない

ミス、リード

「・・・」

それでも散歩に行きたがる老犬を、たとえ僅かな距離でも、と

飼い主も、老犬の歩みに合わせて、ゆるりゆるりと

そのゆるりゆるりと歩む姿に、ともに生き、ともに歩んできた、そんな日々、積み重ね

そうやって練られてきた、飼い主の老犬への愛が感じとれる

悪くなった関節は冷えると痛い

老犬は、洋服を着ていた

前足と後ろ足の駆動部分を、見事に包み込む仕様になっている

にも関わらず、駆動や排泄を妨げないように工夫されていた

特別に飼い主が老犬のために“ しつらえた ”ものであろうことが、見てとれる

はたして洋服というのは犬にとって着心地がいいものなのか?

本人の本心は計り知れない

けれども、少しでも快適に過ごさせてあげよう、という飼い主の想いが、その愛が滲みでている

いえば、同じように「関節がかたまろう」という歳だ

今のいままで、家族を築けず、恵まれず、ひとり佇む身として

余生を愛されながら過ごしている、ということが、少し、いやだいぶ羨ましくもある

かくりかくり
ゆるりゆるり

思わず声をかけてしまった

「おい、犬」

「あなたもね」

そういえば、そうだった

本日もご精読感謝🙏

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