見出し画像

道南サミットフィールドワーク江差編

はじめまして!
Yakumo Village 元インターン生、
長田優那と申します!
「道南サミットを題材に
卒論を書いた東京人」
だとご認識いただけるといいですかね…
私が実際に八雲で動いていた時の様子は
Yakumo Village のNEWS記事から
ご確認ください笑


今回は2024年3月17日、江差町で行われた
フィールドワークについてのレポートです。


これまで道南サミットでは、
「道南各市町村を繋いで紡ぐ各地域の
コーディネーターの育成」
を目的に研修会・フィールドワークを
行ってきましたが今回はその”江差編”です。


本記事の目次です。



フィールドワーク・街歩き

開陽丸青少年センターにて
江差町はどんな町か
レクチャー頂いてから街歩きがスタート!

今回のコーディネーター木村さん!
役場の方に横断幕も作ってもらいました!
特別感ありますね…


まずは江差山車会館を見学。
ド迫力の大きさでした。

江差の夏といえば、「姥神大神宮渡御祭」。
これだけの規模のお祭りがあることが
江差スピリットの源だそうです。
町内一丸となってほぼ1年かけて
準備すると聞きました。
祭りのために有休をとって帰ってくるのも
珍しい話ではないのだとか…


追分会館に移るとたまたま師匠が…!
特別レッスンを受けました。

江差は北前船の終着地ということもあり、
全国の文化が混ざりあう地域です。
江差追分もその一つで日本各地に追分を
歌える人がいるのだそう。


町に移ると、北前船で運んできた物資を
売買していた建物たちが並んでいます。

いにしえ街道には明治~大正期の建物が並びます。
風情たっぷり!
みなこさんの「素敵な蔵を壊したくない!」という思いが
素敵なカフェになりました…!
開店前のお店を特別に見せてもらいました。
見るだけでわくわくしてしまうぱんやBeckyさん
山田屋和菓子舗の桜餅。
いちご大福も絶品でした…


そのほかにも魅力のあるものが
たくさんありました。

軒先のニシンに
ヒトアツマル が屋号のチャミセさん

トークセッション

江差町がどんな町でどんな魅力があるか
わかったらワークショップパートの
始まりです。

”江差編”が特別だったのは、
スペシャルゲストに照井町長と松村さんにも
ご参加いただいていたためです。

右:照井町長、中央:松村隆さん
松村さんは文字通り江差の生き字引!
江差の歴史に関して何冊も本を出版されています!

せっかくの機会なのでワークショップ前に、
道南サミット×チーム江差町
でのトークセッションを行いました。

トークテーマは大きく分けて4つ。

  • 現在の江差まちづくりのビジョンについて

  • 人流とはなにか

  • コミュニティプラザに期待するもの

  • 地元愛への支援に関して


照井町長が目指すのは
「個人に焦点を当てたまちづくり」
だそうです。
ここには照井町長のライフヒストリーと
深い関係があります。
実は、照井町長が江差と出会ったのは
社会人2年目の時。
横浜で育った町長は「ふるさと」とは何か
わからなかったそうです。
新聞社でたまたま配属になった江差で、
江差ならではの文化に触れ、
季節と生活がリンクする感覚を知り、
顔の見えるつながりが基盤のコミュニティに
所属して…
ふるさとでの暮らしに置ける個人の重要性
知ったことから、
「個人に焦点を当てたまちづくり」を
目指すことにしたそうです。

具体的な施策としては、

  • かもめ島中心のまちづくり

  • 上町中心のまちづくりのまちづくり

の2本。

かもめ島には観光資源として
外からの人流を作ること、
上町には江差町民の中心地として
内側から経済を回すことを
進めていきたいそうです。

江差町役場HPよりかもめ島
北の江ノ島構想として、グランピング施設などが
建てられています

では、江差における人流とは
何を指すのでしょうか?
照井町長は、
「まず、道南圏(函館)の人に来てもらうこと」
とお話しされました。
函館と両想いになることが重要だと考えます
とも話されていました。

これに道南サミット陣が切り込みます、
「江差と函館とそれぞれへのメリットは
なんだと思いますか?」

これを受けて、
江差には
外部の人がお金を使うことでもたらされる
ものがある
こと、
函館にはアウトドア体験や安心できる町
であることを感じてもらうことで、
心の豊かさを提供できるとのこと。

だんだん政策方面から見る江差の形が
わかってきました…


焦点をコミュニティプラザに移します。

実は今回のフィールドワーク開催の背景には、
このコミュニティプラザが大きく
関わっています。
コミュニティプラザはかつて、
江差町の中心であった江光ビルを解体して
作られた施設です。
かつての賑わいの中心だったこともあって、
江差町民のいろんな想いが詰まっています。
特に、”賑わいが生まれる拠点”にしたい
という想いがあるとのお話を伺いました。
しかし、
「何をしたらいいのか詰め切れていない…」
というのが大きな悩みでもありました。

ここで立ち上がったのが道南サミットでした。
WSを通じて一緒に考えてしまおう…!!
というのが今回のWSの目的の一つでした。

そんなコミュニティプラザですが、
照井町長は、
「中高生の居場所の提供の一助としたい」
とおっしゃっていました。

後に活用方法を話し合いますが、
活用の方向づけにつながる
お話だったなと感じます。


そして、トークセッションも大詰め。
話題は”ふるさとへの想い”に
変化していきました。

フィールドワークの中でも、町長からも、
時より話題に上がっていた
”江差スピリット”をひも解くところから
話は始まります。

”江差スピリット”の正の側面には、

  • 姥神大神宮渡御祭とそれに付随した地元愛

  • 花街や追分文化への誇り

負の側面には、

  • 保守的な町民性

が挙げられました。

これらを受けて道南サミット陣は
未来に向けた視点を投げかけます。
よっちさんは、
「時代の変化に対応する力をつけることが
必要だと思う」
と、
啓吾さんは、
「道南として横断的に取り組んでいきたい」
とお話しされていました。

確かに、このように見てみると
”江差スピリット”は長らく住んでいる人の
ためのもののようにも感じられます。
”江差スピリット”を外から感じてもらう
手段はあるのでしょうか?

実際は、
「江差は転勤族の多い町で、
単身者が多いのも特徴です」
と照井町長。
そういった層に家族で来てもらって
2-3年でもいいから住んでもらうことで、
ファンを増やしていくことが
いいのではないかとおっしゃっていました。

「住んでいた」のはアイデンティティの
ひとつになりますし、
ファン獲得には効果的かもですね…!


そうこうしているうちに、タイムアップです。
江差町の外の視点から切り込んでいく時には
絶妙な緊張感がありました。


ワークショップ

ここまで江差町のことがよくよく
知れました。
今度は自分が頭を動かす番、
ワークショップパートです!

全30名を超える参加者を5チームに分けて
話し合います。

主なテーマはこの2点、

  • 江差町における持続可能な人流のあり方とは何か

  • 人流のあり方を踏まえたコミュニティプラザの活用方法


私のいたDチームは午前中のFWを終えて、
感じたことやいいと思ったものから
話を進めていきました。

「祭りへの熱の高さがすごい」
「街並みはとてもきれいだった」
「函館からの通過点にしかなっていない
印象がある」
「町に残りたくても仕事がないという声は
聞くかも…」

こんな声が上がってきました。

また、オブザーバーとして松村さんにも
ご参加いただきました。
松村さんからは、
「江差は追分も開陽丸も残っている
ホンモノの町なんだ」
とのお話を伺えました。
こういった文化への誇りが江差に住む幸せを
生み出しているようにも感じました。

これらを発展のアイデアに
変換していきます。

「点で存在している文化財たちが
繋がるための助けがあればいいのに…」
「祭りの時は住民同士の関わりはあるけど、
その他の時は希薄な気がしてしまう…」
「せっかく開陽丸があるんだから、
ゴールデンカムイみたいな大手と
タイアップできたらいいのに…!」


そして、Dチームとしての提案は、
江差を”つなげる・つながっている”
状態にすること

になりました。
点で存在している観光地同士の結びつきを
見える化することや、
開陽丸が日本の歴史の中で、
どこに位置づけているものなのか
わかるようにすること、
地域史がわかる場をつくるなど、
外から来る人が江差を理解する上での
ハードルを下げることを目的としよう!と
まとまりました!


また、コミュニティプラザのあり方に
関してもかなり白熱しました。

「料理人とかプロの仕事が見れる場だったら
うれしい」
「江差外の人が来て、
江差を知ってもらえる場にしたい」

コミュニティプラザにある設備を
どのように活用するかの意見が
上がっていきます。

その中でも特に盛り上がったのは、
教育にどのように活かすかといった話でした。
私も教育学部出身でしたし、
子育て経験がある方からのお話が
聞けたことも大きかったのかなと思います。

「変な大人に会える場所にしたい!」
「中学生が町長にタメ口利ける
距離感だったら最高!」
「子どもたちには、
どこでも生きていけるように
育ってほしい。」
「大人のブレーキがあってはもったいない」

こういった話から出来上がったのは、

  • 中学校、高校にコミュニティプラザ部をつくること

  • 大人はサポートのみで指示はしない

  • ビジネスに近い経験を積める場にする

照井町長のいうように、
中高生の居心地の良い場所にしたいです。


私はこういったワークショップが
すごく好きなんですけど、
「あったらいいな」という夢を
一緒に語れる環境ってわくわくしません…!?
こうして、あっという間に模造紙の上は
アイデアでいっぱいになりました。


最後に全チームからの共有タイムです!

「コミュニティプラザどうしよう委員会」
をつくって町民で考えたらいいんだ!
と発表してくれたAチーム。

失敗を応援する町にしたいと話したBチーム。
アクション目標も言葉にしてくれました。

実際の町の課題から深めていったCチーム。
希望的観測だけでは叶わないところを
言葉にしてくれました。

私(左上黄色)のいたDチーム、
唯一江差出身者がいないグループでした!

「追分も祭りもいいものはたくさんあるのに
江差は欲張りだ」と話したEチーム。
それでも、それらにとらわれない考え方が
身についたらいいよねと話してくれました。


最後に啓吾さんから、
「ワークショップを踏まえて、
明日からではなく今日からやりましょう」

「『それで、誰がやるの?』で
止まってしまうことは予想されますけど、
そうではなくて、
やりたい人が自発的にゆるくでもやれる環境
にしましょう」

「今回参加してくれた人には、
”町が”ではなく”道南が”で考えた時に
それが楽しいと思う感覚が
共有出来たらうれしい」

とお話がありました。

まちづくりにおいて”じぶんごと化”の
重要性はよく語られますが、

  • 熱量の維持ができるようにすること

  • 身近に感じる装置があること

  • 義務感に苛まれないこと

が "じぶんごと化”の要素なのかも
しれません。

以上でワークショップパートは閉幕です!

みなさん、お疲れ様でした!!


余談ですが、、、
もちろん夜も楽しく更けていきました…

感想

様々な立場の方とお会いして、
いろんなお話を聞かせてもらった1日でした。

私も八雲と出会うまでは”ふるさと”の感覚は
全くわからなかったので、
照井町長が江差と出会ったときの感覚は
「よくわかるなぁ」と思いながら
聞かせていただきました。
都市って便利だけど無機質なことが
多いんですよね。
他人の生活に干渉しないことが前提に
暮らしが作られていて、
その町の味みたいなものは
あまり感じられなくて……
こういった良い意味での
カルチャーショックに直面したのが、
照井町長は江差で、私は八雲で、
だったのだと思います。
外の人を取り込むってこういう体験の
積み重ねなんじゃないかと私は思います。

でも、反対に、繋がりが目に見えやすい
からこその課題もあるんだろうなとも
感じています。
”保守性”と向き合わなければいけない瞬間は
必ずあるだろうし、
自分が「なにもしない」に取り込まれぬよう
アンテナを張らないと伸びしろを
失ってしまうかもしれない……

私がインターン期間が終わっても
道南を何度も訪れている理由の一つは、
「道南を浴びるため」です。
「自分たちで道南を盛り上げるんだ!」
という気概はいつだってまぶしいです。
「なにもしない」に取り込まれそうな時に
活力をくれるエナジーを感じています。

今回のワークショップが江差町にとって、
そういった役割であってほしいなという
願いで本レポートを締めたいと思います。

私もまた近いうちに
道南を浴びにいかないと、、、!!


長田

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?