【字書き】読者の脳破壊の先

脳破壊って言葉物騒なので言い換えたいんですけど語彙力なさすぎて言語化できね〜〜
上の記事に書いているように、読者の心に爪痕を残す作品とは、物語に推し自身の思想や理念が物語のファクターとなっている作品です。
爪痕が残るということは、たとい読者が次のジャンルに移っても、あんな作品があったな、よかったな、と思い出してくれるような作品。
この時点で読者に影響を及ぼしているのですが、小説の真骨頂…というか創作の真骨頂というか、良い作品というのは、読者の思想や行動に影響・変容を及ぼすものだと思っています。そこまではいかなくても、「自分の立っている場所が、読後にすこしでも移動しているような作品」(村上春樹の言葉だった気がする)。そういった作品が、良い作品と呼べるのではないかと思います。

■変容の具体例

二次創作小説に読者の思想や行動にまで影響を及ぼす力があるのか…?と思われるのが当然の反応かと思います。
けれど、これまでこのnoteに書いていたことも読者の思想に影響を及ぼすことを軸に書いています。爪痕がのこるということは、その人の心の何かを変えたということです。些細な趣味の世界だとしてもそれは純然たる事実。
もっとわかりやすく例示すると、推しカプの沼に落とすこと。「あなたの作品を見て推しカプにはまりました!」というメッセージ、私もよくもらいますが、これは紛れもなく思想と行動を変えていますよね。きっと推しカプを山ほど検索して漁ってるだろうし、なんなら生まれて初めての創作まで始めるかもしれない。
それほどの引力のあるものを書けたとき、良いものを書けたと私は自負をします。
こちらのジャンル移動を理由に、新ジャンルを履修してくれたファンの方もいらっしゃいました。こちらも純粋に…いや、本当に嬉しかったです。

■脳破壊は、極めると読者の人生をも変化させる

かならずしもこれを目指せというわけではないです。私もこれまでの二次創作人生で1、2回しか経験がないので。
ただ、読者の心に爪痕を残すことの行き着く先はこれだと、お示ししておきます。
私の書いた話に対する感想で『諦めていた夢をもう一度目指してみることにした』というメッセージをいただいたことがあります。
私は特別なことはしていません。このnoteに書いているような創作の仕方をしていただけです。
ただ、二次創作として動かしている推しカプの解釈を、練りに練ったうえで物語に出力させていました。書き手のさせたいことをさせるのではなく、推しカプの彼らという人間ふたりだからこそ紡ぎ得た物語を書いていました。それは、その方の心の柔らかいところに深く刺さったようです。推しカプの人間性が、その方の目の前にかぎりなく、ぐっと迫ってきたのだと思います。
小説を書く身として、これ以上に幸福なことはないと思いました。
一次創作や二次創作にかかわらず、小説は、嘘を書くという行為です。虚構です。
虚構が、現実に何かしらの影響をおよぼすということ。それは、虚構が確かな力をもって、誰かの中で生きていくということです。

以上、書いたことはあくまで副次的な読者への作用であって、推しカプの二次創作小説を書くという行為の、直接的な目的にはなりえません。
ただ、数字や大手、愚痴垢がくだをまく、この二次創作戦国時代……小説という虚構という行為に、もっとそれ以上の意味を見出さずにはいられないんです。