【字書き】読者の脳を破壊するものとは

乱暴なタイトルになりましたけど読者の心に爪痕を残すもの、それは混沌です。脳破壊。
数字が取れるメジャージャンル、しかしそこでいいねをかき集めるのは必ずしも誰しもが打ちひしがれ手を叩き涙を流し海が開けるそんな作品ばかりではありません。原作どこいったなR18ハート乱舞やパロ、はたまた大手さんに紹介してもらって閲覧数が爆発的に伸びたラッキーな作品。うらやましいよね、数字取れて。でもそんなんで数字取れたとしてあなたは満足しますか?
文章はストーリーと表現で読者の頭蓋を殴ってナンボです。数字に表れなくても、これはなんか違うと読者の誰かに思わせたらこっちのもの。全ての字書きよ筆をとれ、群衆に身を委ねるな。
ここまでは前回までの復習でした、それでは具体的に読者の脳破壊をする、綺麗に言えば読者の心に爪痕を残すって具体的にどうすればええのんって話に移ります。

①自解釈における自カプを徹底的に立たせる

そりゃ万人が心酔するような美文とか比喩が書けたらいいけどそんなんは一朝一夕で身につくものではありません、好みもあるし。みんなが楽しく二次創作することに焦点を当てたいので技術の向上についてはまた別で触れられたらいいなと思ってるよ。
大手や界隈主流の解釈とズレてる、なんか違うなって思いながら寄せて書きはするけどしっくりこないし楽しくない。そもそも書いても評価されない…。
あなたは解釈を変えなくていい。ただ、とにかく物語の軸に二人の人格を落とし込めるほどに解釈をつきつめてください。
物語の軸に二人の人格を落とし込むってなんやねん、はい、ストーリーには起承転結がありますよね、その展開の理由を「萌えるから、こうさせた」じゃなくて「この二人だから、こうなった」と説明できるレベルになることです。自分が萌えるからこうしてえ!が出発点でもいいので、それをどう自解釈の自カプの動機に自然に置き換えられるか、そこが勝負やで工藤。
ここで注意しなくちゃいけないのは、極力起承転結のきっかけとなるキャラクターの行動の理由を「相手が好きだから」だけにしないこと
例えば遊び人だった攻めが一度別れた受けを迎えにきた。

受け「なんで!?攻めくんは僕のことなんて遊びだったはずでしょ!?」
攻め「気づいたんだ……本当に愛してるのはお前だけだって……」

う〜〜ん45点!!
攻めの健気さにまあまあ数字は取れるかもですが人の心には残らない可能性が高い。なぜなら攻めくんならではの理由がないから。
では、攻めくんが実は寂しがりやで、幼少期に家族に自分を見てもらえなかった反動から遊び人になった背景があるとします。それを攻めくんのセリフに落とし込んでみましょう。

攻めくん「俺は誰かと真剣に付き合うのが怖かった。でももうそんなの嫌なんだ。もう一度お前とやり直したいんだ!」

設定がやっつけすぎますが、攻めくんの健気さに人間性が乗っかって、一気に読者の心に迫ってきます。言葉にしたことさえ攻めくんの一部にすぎないかもしれない。攻めくんはもっともっと葛藤したのかもしれない。そんな余地を残しておくともう読者は最悪一週間はあなたの創作のせいで何も手がつきません。
さて、話を戻します。
攻めと受けの生い立ちから、解釈を練り上げるのです。攻めと受けの行動全てを、ご都合ではなく、彼らだからそうした、と理由づけられるほどに。
何もノートにまとめたりする必要はないけど、Twitterで原作における描写から二人の人格を紐解くかたちで考えながら考察ツイートするとか(人の目に触れたくない人は鍵垢とかで)言語化しておく、そして自分の考察思考の流れを残しておくと考察が立体的になってストーリーに落とし込みやすくなります。

②人の心に残るのはやはり「人の心」でしかない

私たちは毎日何万回もの思考をして生きているらしい。新世紀エヴァンゲリオンなんかが顕著ですが、「生い立ち」「どんな家族だった」「何からの承認を求めていたか」をなしに動く人間なんて存在しません。それはあなたが愛する自カプだって同じはず。たとえ人外でも理由があるから行動するのです。そして、その思考も日々周囲に影響されて目にもとまらぬ早さで翻弄されて変わっていったりもします。人間の内面は混沌。その混沌から出た互いへの強い矢印が、私たちを自カプに狂わせてやまないのです。
これは短編書きでも長編書きでもすけべ書きでもギャグでもホラーでもなんにでも通ずる事実だと思っています。
たとえ、界隈の主流の解釈と違っていたって、あなたの練り上げた解釈、そしてあなたの自カプでしか紡ぎえない物語、それらを目にしたら読者は納得するしかない。あなたにしか書けない物語で認識を引っくり返しゃあいいのです。
ここまできても数字主義でいられますか?交流しなきゃとか言ってられますか?そんなことより、小説書きましょ。
淘汰されるべき創作者なんていません。少なくとも、自分の書きたいものに向き合っているあなたなら、書かずにはいられないはず。

表現がつたなくても、文章が上手じゃなくっても、読者の心はゆさぶることができます。
それで、付随的に評価や感想がきたりファンができたりする。評価を目的にしたら不健全ってみんな言うけど、承認欲求のために創作したって別にいいって私は思います。それが人間の心を表現する痛烈な動機になるんならなんでも糧にしちまえ。

次は、それは分かったけどそもそも見てもらえない問題について書こうかな?
こうして書いてると自分の中のメソッドも整理できて楽しいです。