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「直入翁」筆


  水茎堂さんは明治期の筆の復元に取り組んでいる。正月の前後にその成果を幾つかまとめて送ってくれていたのだが、仕事に追われて試せないでいた。一段落ついたので、ここでやっと「直入翁」の大きさ違い五本に墨を含ませることができた。
 運筆を行うのに形のとりやすい筆で、小・中・大・大々辺りまでは、ほとんど気を使う事もなく筆が進む。さすがに極大までいくと、少し気を使ってコントロールしないとならない。
 短峰なので、均一な長い線は不得意かもしれない。田能村直入の絵を思い出しながら筆を使ってみた。
 
 水茎堂さんからこの他に、「竹外」『芳文」などの名前のついた筆が届いている。試してみるのが楽しみだ。
 田能村直入、藤井竹外、菊池芳文といった幕末から明治にかけての時代には、画家の好みに合わせて、かくもいろいろの筆が作られていたのかと少々あきれるが、それだけ需要が有ったという事にもなる。

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