謝罪用スーツを一着持っておけって話~オーダースーツの作り方~

※この記事は男性用スーツの話になります。

我々人間は残念ながら完璧な動物として創造されなかったため、様々な機会で謝罪をする必要があります。そのようなときに、内心がどうであれ、服装で相手の心証を損ねるのは非常にもったいないことです。

あなたの内心など、相手がエスパーかあなたが心を読まれる特殊体質かでない限りはわかりませんので、謝罪の時に重要なのは、誠意でも何でも無く、相手から、あなたがさも反省し誠実に謝罪しているかのように見えるようにすることなのです。

わけのわからないゴテゴテのスーツとキャラクタープリントのネクタイで謝罪の場にいくことは、あなたがどれだけ誠実な人間でも、相手から見れば謝罪の場にちゃらけた格好で来るクソにしか見えませんので、結果的にあなたの謝罪は受け入れられず、しなくてもよい苦労を背負い続けることになります。

そんなダメな人生からはもうおさらばしましょう。謝罪上手の男になりましょう。謝罪がうまくできるあなたの先に出世街道は開けています。あなたがこれから行く道が成功という名の道となるのです。

では、そんな成功が約束された男が謝罪の場に着て行くスーツとはどういったものなのでしょうか。単純に言うと、それは誰からも文句がつけられない服です。

そもそもビジネスに着ていくことができるスーツには決まったルールがあります。そのルールを1ミリも逸脱することなく遵守したスーツこそが、あなたを男版シンデレラに変身させてくれるスーツなのです。

問題はそのルールなのですが、実は誰かがルールブックを作っているわけではありません。学校でも教えてくれません。自分から調べに行かなければわからない、大人社会の秘密です。

実にひどい話です。知らないことを完璧にこなすコトが求められるなんて。いつも大人はずるいです。若者から搾取をし続ける、ずるい大人達を一刻も早く見返さねばなりません。

というわけで、早速答えを示しましょう。これが完璧な謝罪用スーツです。

これがあれば、あなたは謝罪名人です。謝罪の場で誠意を疑われることは、もはやありません。あなたの前に道は開けました。後は進むだけです。

うん、高いよね。726,000円ってなんだよ。ボーナスが出ても買えんわ、アホか。

気持ちはよくわかります。ぶっちゃけた話、ブリオーニのスーツをそのまま買う必要はありません。もちろんあなたにお金があるなら買ってもいいですが、そもそもそんなあなたは既に出世してる人なんじゃないでしょうか。不幸にもまだ出世していないため、ブリオーニのスーツを買えない人のために、もう少し続けます。

最近は安い値段でパターンオーダーのスーツが作れるようになりました。もちろん、スーツ量販店でスーツを買うよりは高くなります。とりあえず予算は5万円を用意しましょう。高いでしょうか?ですが、これさえあれば、数年は勝負スーツに悩むことがなくなります。冠婚葬祭、そしてビジネスでもどこでも着ていけるスーツです。ただ、最近のお葬式は黒じゃないとダメという風潮が強いので難しいですが、お通夜なら大丈夫ですよ。

さて、5万円を持ってオーダースーツのお店に来たあなた。ちなみにスーツを作るときは、スーツでお店に行った方がいいです。ちゃんとスーツで来店したあなたが最初にすることは店員さんに声をかけることです。そして、こう言います。「予算5万円で紺色の無地の仕事に着ていく用のシングルスーツを作りたいのですが、どんな生地がありますか?」

こう言うと店員さんが生地を探してくれます。店員さんとは素晴らしい味方で、予算と用途と最低限の完成形のイメージを伝えれば、それに応じた提案をしてくれるのです。

紺無地の生地はたくさんあります。いや、ホントに。同じ紺の無地じゃないの?って思うかもしれませんが、思ってる以上に出てきます。店員さんが、今は1枚しか紺無地の生地ありません、などという事態は起こりませんし、仮に起こったとしたらそのお店で買うのはやめておいた方がいいでしょう。「そうですか、これは自分のイメージと違うようなので結構です。お手数おかけしました。ありがとうございました」と言って、早急に立ち去りましょう。

あなたのところに店員さんが複数の紺無地の生地を持ってきました。なお、シャドーストライプとかヘリンボーンとかを勧められる可能性がありますが、その場合は「紺の無地でお願いします」と言って断りましょう。

この複数の紺無地の生地をどう選ぶかですが、ぶっちゃけ光沢がどうのとか手触りがどうのとか言われてもほとんどわからないと思います。わかったら天才です。服飾業界への就職をおすすめします。慣れてくると一定わかるようになりますが、今は慣れてないのでわからないはずです。別にわからなくてもいいのです。今のあなたには店員さんという味方がいます。店員さんにこう言いましょう。「予算5万円の範囲内で一番仕立て映えするビジネス向きの生地はどれですか」

これでひとつに絞れます。絞れなかった場合、「店員さんから見てビジネス向きの無難な生地はどれですか」と聞いてみてもいいかもしれません。それでも絞れない場合、その店員はポンコツの可能性があるのでその店で買うのはやめましょう。「ちょっと自分でも絞れないですね。もう一度イメージを考え直したいので、今日は失礼します。ありがとうございました」などと言って早急に立ち去りましょう。

というわけで生地が決まりました。あとはボタンや裏地、その他ディテールを決めていく形になるのですが、わからない人には全くわかりません。そもそもボタンとか言われても、生地にボタンが付いているイメージが湧きません。「これにします」とか言って適当に決めた場合、変なスーツができあがる可能性もあります。ボタンの印象って結構大きいですからね。

なので、ここでも店員さんを使いましょう。「ビジネス向けで、黒の靴を履くとしたらどんなボタンがいいですか」

これでかなり絞れますし、その中から適当に選べば少なくとも変なスーツはできあがりません。ちなみにボタンはスーツを作ったあとに付け替えることも可能です。裏地も同様の方法で乗り切りましょう。

ディテールを決めるときに、「こんなスーツがほしいです」という画像を見せてもいいかもしれません。この画像はブリオーニのホームページでもなんら問題ありません。むしろその方が正確に意図が伝わるので、画像はおすすめかも。わたしはやったことありませんが。

画像を持って行かない場合、店員さんにちゃんと伝える必要があります。「シングル2つボタン、腰ポケットはフラップ付のまっすぐ、胸ポケットはバルカ、サイドベンツで、パンツはシングルノータック」

サイドベンツはセンターベントでも良いと思います。そこはお好みです。ホントにどっちでも良いのですが、今回は例に出したブリオーニのスーツがサイドベンツだったのでそうしています。ちなみにわたしはサイドベンツが好きです。他に何かよくわからないことを聞かれた場合は、わからない旨をキチンと伝えて疑問を解消しましょう。

有料オプションは基本的に何もつけなくて良いですが、AMFフロントステッチはあった方が良いと思います。店によっては無料でやってくれるところもありますが、だいたいプラス3000円くらいです。「襟にステッチを入れてください」と言えば入ります。

あとは採寸→支払いで、1ヶ月後にはスーツができあがります。できあがったときの試着はちゃんとした方がいいでしょう。変なところがあったら、その時に言うと無料で対応してくれますが、家に持って帰ってしまってしばらく経つと有料対応になります。気をつけましょう。

さあ、これであなたは非の打ちどころの無い謝罪用のスーツを手にしました。道が開けました…。おっと、その変なプリント柄のネクタイを締めるんですか?それはやめておいた方が良いですよ。また次回説明しましょうか。

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