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内発的ー外発的の二項対立を越える動機付けに関する視点

noteを開いていただきありがとうございます。

にーぜろです。

かなり久しぶりの投稿になりますが、ぜひお読みいただけたらと思います。

さて、今回は、速水敏彦(2019)『内発的動機づけと自律的動機づけ 教育心理学の神話を問い直す』金子書房。 (以下、速水(2019))を読んだので、以下の要領で、紹介したいと思います。

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1.内容紹介

速水(2019)では、内発的動機づけという言葉に着目し、その概念の捉え直しを試みている。

一般的には、内発的動機づけは、外発的動機づけよりいいものとして捉えられている。
そして教育においては、外発的動機づけではなく、内発的動機づけを促すべきであるとされている。

一方で速水(2019)では、内発的動機づけと外発的動機づけを一つの直線軸(より良いーより悪い)におかず、別個のものとして捉える。
この際、内発的動機づけを個性化、外発的動機づけを社会化の観点から捉える。


より詳しく説明すると、内発的動機づけは、刺激(内発的快楽)からくるもので、興味や快楽に基づく動機づけであるとする。

例えば小さい子が様々なものに興味を持ち、色々試行錯誤することがあるが、これは情動的、感情的に動かされていることがあり、必ずしも自律的な行動であるとは限らないとする。
(なお、自律的であるとは、自己管理、自己による調整を行っていることとされている)。


一方で、外発的動機づけについてであるが、これは、自律性の度合いによって、いくつかの動機づけに分類することができるとする。
自律性の低い順に、「外的動機づけ」「取り入れ的動機づけ」「同一化的動機づけ」「統合的動機づけ」である。

これらは、外からの動機づけをされているものの、それを自己の中でどれぐらい価値あるものとして見なし、内的なものとして取り込むことが出来ているかどうかによって分類されている。

そして速水(2019)では、如何に外的動機づけから統合的動機づけへと変えていけるかが重要であると指摘されている。


**各動機付けの説明**

なお、各動機づけについて、速水(2019)では以下のように定義されている。

- 非動機づけ:活動する意図をもたない状態
- 外的動機づけ:他者から報酬をえるためや罰を避けるために動機づけられる。行動する理由は外的要求をみたすため。
- 取り入れ的動機づけ:外的統制を自分にとりこんでいるが十分自己受容できておらず、他者から統制された感覚がある。しかし、消極的だが自分から行動をおこそうとする。
- 同一化的動機づけ:行動目標や統制を意識的に価値づけ、自分にとって価値あるもの、重要なものとして行動する。
- 統合的動機づけ:同一化されたものが自己に完全に吸収され、他の欲求や価値と矛盾しないかたちで行動する。
- 内発的動機づけ:すること自体が目的が行動する。自己目的的な行動の生起、維持、発展過程をいう。


勉強になった点

以上が、簡単な内容紹介になります。

「内発的動機づけ=善」「外発的動機づけ=悪」と捉えていた私にとって、かなり驚きの内容でありつつ、どこかしっくりくる指摘でした。

というのも内発的動機づけに根差した学習が大事というのは頭の中でわかっていても、児童生徒によって、教科の好き嫌いはあります。

そして各教科の重要性を児童生徒に説明することはできたとしても、全員に「その教科を好きになれ」と言うこと(ないし強制すること)はできるのかと、疑問に思っていました。


そういう意味で、あくまで各教科ないし、授業時における内容は学ぶ価値があるということを内的に取り込むことが出来ているかどうかを基軸にすることは、一つ重要な指摘であると考えます。

(もちろん、全授業内容を児童生徒に重要であると認識してもらうことが出来るのかや、強制できるのかという疑問はやはり残りますが)。

とはいえ、好きか嫌いかという感情に左右されていないという点で、とある教科が嫌いな児童生徒でも、一定以上の価値づけを行うことで、勉強する方向へと持っていくことができるのではないかと思いました。



以上、速水(2019)を読んでの、内容紹介及び勉強になった点でした。

次回は、速水(2019)及び、別の本ないし論文の内容をもとに、授業案なるものを作成していってみようかなと思います。

もしよろしければそちらもお読みいただけたら幸いです。

それでは最後までお読みいただきありがとうございました。

失礼します。


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