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いつから原神を愛と勇気の物語だと錯覚していた?

いや、私たちで愛と勇気の物語にするんだよ!

 天空島はどういう場所なの?
 神の心は無くなっても平気なの?
 ファデュイやアビスはどうして邪魔ばかりするの?

 拙文を読めば、読者のみなさんはそれぞれの答えを見つけると信じる。ゲームや漫画など、全コンテンツを通して考察するので、ストーリーを楽しみたいという方は一度自分で読んでから読んでください。そして極力出典を記すつもりではあるが、どうしても妄想の部分が入ってしまうため、予めご了承を。今後の展開に違いが出たら、「えへ」ということで適度にぼこぼこにしてください!
 原神の世界観は、同じ開発の崩壊シリーズと関係あるとか耳に挟んだことはあるかもしれないが、本体だけでも高度に完結している。この文章は原神に絞って考察していくので、他の事前知識については心配しないでください。なかなか頭に入らないシナリオや設定を、こちらでわかりやすく整理します。それでは、逐次に問題を見ていこう!

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天空島はどういう場所なの?
 設定では「神様が住む場所」とされており、ゲーム内でも視認できる。双子の主人公が最初に謎の女性と戦った場所に思われ、みんなが一番よく見かけるのは、多分ログイン画面のあれだろう。
 そして、ウェンティがモンド第3幕の終わりに、補足説明をしてくれた。
● 神の目を持つ者はみんな神になる資格があり、天空の島に登る資格がある
● 彼らは原神と呼ばれる。それらの秘密は神しか知らない
● 「神の心」は天空の島と共鳴する高等な魔力器官
 漫画でも、「世界中の英雄は選定の末、空にある島へ赴く。その後神になって、世界を守護する責務を担う。」の言い伝えがある。一方、ウェンティが天空の島について、複雑な表情を呈していた。
 ここで注目ポイントが二つ:「神になる資格」と「原神と呼ばれる」だ。「神の目」という具体的な資格が存在し、「原神」という共通認識が存在する。
 神の目について、鐘離先生は「神に認められし者が得られる外付けの魔力器官」と説明してくれた。パイモン曰く、それがティワット大陸共通の見解らしい。それらが天空の島と共鳴した強化版は、神の心だ。
 ん?神になるには、神の目を手に入れなければならない。そして神の目を手に入れるには、神がいなければならない。ニワトリが先か、卵が先かの問題になってしまう。ただのゲーム設定じゃん!と思う方もいるかもしれないが、そこからさらに掘り下げられる。次の問題を考えてみよう。
 「原神」という言葉を、最初に定義したのは誰だ?
 ゲーム外の話であれば開発者だけど、ゲーム内のウェンティたる人物がそれを語る以上、内の世界でも語源について設定しておく必要がある。少なくとも、誰かが実際に「原神」という言葉を使ってコミュニケーションしていた。そうじゃないと、辻褄が合わなくなる。
 ならば、「原神」を定義し、それを使ってコミュニケーションしたのは七神だろうか?現任の神同士が「原神」を使う例といえば、逝去や交代に際し、「後継者が欲しくてね、お前とこいい原神いる?」みたいな感じだろうか。
 あるいはもう一つの可能性、神以上の存在が神を選定する時に使う。その場合、天空の島は立場を持たないただの装置ではなくなるが、同時に数多くの疑問が解消される。その方向性に沿って考えてみよう。
 そもそも神の目をティワット一般人に授けるのは七神ではなく、天空の島である。それでニワトリと卵の問題は解決する。七神は資格を持つ者の中で有力候補なので、島に引き上げて神に昇格させた。まさにウェンティの言葉通り、七神は「俗世の七執政」である。一般人目線では、七神と天空の島を分別できるわけがなく、「神」って一緒くたにされるのも仕方ない。
 この世界の神、弱くね?と感じたことがあるなら、彼らを中間管理職だと想像しよう。神の目は平社員カードで、神の心は管理職カードだ。凝光曰く、「ティワットの七神は崩れない。」甘雨も、七神の空席がしっかり埋められていると証言してくれた。管理職がいなくなると、会社が困るからだ。
 ウェンティの天空の島に対する態度や、やや受動的な言葉遣いもこれで理解できる。
 そして問題2の答えも明白だ。神の心は失ったけど、世間の管理(言い伝えでは「守護」だが)という職能は続けられなくなるだけで、別に死に至るダメージでもない。ウェンティにとっては、むしろ絶妙なサボる口実になろう。

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ファデゥイやアビスはどうして邪魔ばかりするの?
 その答えは、天空の島が世界を管理する目的と深く関わっている。勢力別に見てみよう。
 先ず、天空の島側だ。頂点にあり、神を従えている彼らは、ティワット大陸の表舞台を掌握している。彼らの方針は現段階では不明だが、キーワードとして「天理」が存在する。判断材料が少なく、以下は筆者の個人的な想像に過ぎない。
● 観賞用。ティワット大陸は飼育箱で、実験台。
● 供給用。僕と契約して、ティワット大陸の住民になってよ!
● 処分用。ティワット大陸はゴミ箱で、流刑処。
 何一ついいイメージがない…その原因は、天空の島がなしてきた行為が、装備シリーズのストーリーに記されているからだ。
 火祭りの冠を例に挙げよう。

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 興味ある方は、水・雷・氷の方も確認するといいだろう。天空の島はどうやら、人類社会を未開から繁栄までは導いてくれるが、最終的には例外なく滅ぼしているようだ。ある意味、輪廻として捉えてもいいだろう。飼育箱の汚れをとるために、周期的に大掃除をする方針かもしれない。ともかく、ファデュイの散兵がイベントで「偽りの空」と嘲笑ったように、そのことは秘密裏にあるわけでもなく、ティワットの上層部にもわかっているようだ。
 次はファデュイ側だが、アビスとの関係性もあるため、合わせて述べよう。原神PV「足跡」の至冬国に対するテキストを引用する:

 彼女は再び人に愛されることも、愛することもしなくなった。人々が彼女に追随するのは、彼女はいつか天理に対し反旗を翻すことを信じているからだ。
 
 ウェンティによると、500年前の災害をきっかけに、氷の女神が他と連絡を断ち、性格も一変した。上のPVと合わせて、災害中、氷の女皇は天空の島によって愛する人を失い、天理に対抗する決意をしたと推測できる。災難で亡くなった愛する人について、装備「緑の狩人の決心」のストーリーを見てみよう。

 古国に災難が訪れてから、草木は喋らなくなった。
 それは草木を司る神が災難で亡くなったから。
 
 他の部位のストーリーも参照すれば、「古国」とはカーンルイアのことである。500年前、カーンルイアに漆黒の魔獣が大量発生し、その潮に飲まれた。吟遊詩人の叙事詩集『森の風』に、その様子が描かれており、時期こそ明記されていないが、「魔獣」という共通の単語から、同じ災難であろう。

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 ちなみに、カーンルイアはガイヤ先輩の故郷でもある。今ガイヤがモンドに送り込まれているが、国が滅んでいる事実を考えると、残存勢力の足掻きに属するだろう。
 モンドの旧貴族よりも遥か前の時代、カーンルイアは神を信じない国として、地上にも膨大な領土を誇っていた。その残骸は今の秘境となって、遺跡守衛によって守られている。災難が起こる時、地下に逃げたかの国は既に衰えていた。あるいは逃げたのではなく、自ら進んで地下に赴いたのかもしれない。なぜなら、カーンルイアは天空の島に服従せず、深淵の力を信奉しているからだ。
 雪山にある遺跡守衛の残骸が、その対抗の様子を語っている。パズルの部分は既に解読済みなので、結果だけ引用させていただく。
 
 「forthe nation we cant forgo this skyborne power but we failed(国のために、我々はこの空島の力を諦めるわけにはいかない。だが我々は失敗した)」

 雪山の国は天空の島によって壊滅されたが、その経験を活かそうとカーンルイアは軍を派遣して調査させた。
 深淵の力は何よ?っていう方、普段我々が周回している地脈だと思ってください。蔵金の花も、秘境にある白い木も、天空の島とは関係がなく、深淵に属するものだ。アビスの魔術師がドロップする枝も、その現れである。

 「遥か昔、世界各地を貫通したある巨木があり、この枝はまさにその一部らしい。」

 しかし残念ながら、カーンルイアの結末は変えられなかったようだ。装備「騎士が血に染めた時」はそれを物語る。

 偉大なる古国は不義の裁きを受けた
 偉大なる古国の民は化け物だと歪曲された
 我が騎士道、こんな不公平を断じて許さん
 彼の名前は深淵ならば、我は深淵に忠誠を誓う

 ちなみに、中国語のテキストを参照すると、「化け物だと歪曲された」のではなく「化け物に歪曲された」の方が正しい。カーンルイアが天空の島に敗れた結果、民は化け物にされ、当時ティワット大陸に席巻した魔物の潮の一部となっていただろう。アビス教団の表世界での動きは、全てその復讐の延長線上にあるかもしれない。
 滅亡前のカーンルイアの動きを見て、ファデュイと似ていることに気づく方も多いだろう。ファデュイが今七国で跋扈しているとはいえ、その目的は終始「力の収集」にある。天理に対抗する前準備とも言えよう。そのため、氷の女皇はあらゆる力を駆使し、邪悪とされるアビスといえども拒まないだろう。
 ここまで読んだ方が、七神とファデュイ、どっちが正義なの?って思うのも無理はないが、開発は既に答えを出している。かつて寒冷地域のモンドに今の豊作をもたらし、とんがり帽子山を地平線まで沈んだウェンティは、易々と淑女に「敗れた」。契約の神は、神の心と引き換えに謎の契約を結んだ。真の敵は姿を表しつつあり、味方の輪も拡大していくだろう。天空の島はどういう基準で地上文明の繁栄さを判断しているのかは不明だが、間もなく牙を剥いてくるだろう。それまでにパイモンの心を鹵獲し、天空の切り札を我が手にすることこそ、勝利の鍵となろう!

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