5月25日(月)日記

散歩をしていると、

目の前からとても可愛い犬、コーギーがやってきた。
飼い主に連れられ嬉しそうに歩いている。
とても可愛い。

だが飼い主を見てみると、全然可愛くない。
本当にムスッとした顔で歩いているおじさん。
何があったか知らないが
もっと嬉しそうに歩けよ。

コーギーと触れ合いたいから話しかけようと思ったけど、おじさんが可愛くなかったので話しかけなかった。

しばらくすると、
目の前から可愛いトイプードルがやってきた。
ぴょんぴょんと跳ねるように散歩を楽しんでいる。
幸せになってほしい。

飼い主を見てみると
もう本当に可愛くない。
サングラスをかけて、
本当に楽しくなさそうな顔をしている若い女だ。
つまらなそうに携帯もいじっている。

そんな顔をしているもんだから
トイプードルがすべっている様にも見えてしまう。

そんな顔するな。

犬は可愛いけど、君には話しかけたくない。
すまない。

またしばらくすると、
目の前からすごく楽しそうに歩いているおじさんがやってきた。
るんるんという文字が見えてきそうなくらい楽しそう。
腕も大きく振って、顔もにこにこ。
ぴょんぴょんと跳ねるように散歩している。

ただ、犬を散歩させていない。
おじさんのソロウォークだ。
可愛い犬を散歩させていたら間違いなく話しかけたのに。

でも僕は、1パーセントでも可能性があるならそれに賭ける男なので

｢可愛いワンちゃんですね｣
と話しかけた。

するとおじさんが
｢え！？僕ですか？
へへっ。ありがとうだワン｣
と言った。

少しハゲている頭を撫でてあげると
ぬるっとした頭皮の皮脂をひしひしと感じた。

撫でられたおじさんは
｢おほっ、え？
えーっと、はい、ありがとうございます。
ありがとうございますワン｣
と言った。