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選書と私

ある文学ラジオのリスナーセレクト配信回の抽選に当選しました。その時の選書のお話です。

ラジオでは案内人の方々がセレクトした作品紹介が基本です。所謂、選書をしてもらっていた側にありました。

抽選のことを知って、考えたこと。
それは普段とあまり変わらないことでした。

ラジオで皆んなと聴きたいこと。読みたいこと。
そして、案内人達の語り合いを聴きたいこと。

ラジオのコンセプトは「色んな人に読んでもらいたい、色んな人と語りたい文学作品を紹介しよう」とあり、案内人達がゆる〜く作品について語り合うというものです。基本は硬派な文学作品です。

海外文学が好きな方々でしたので、海外文学に絞って、著者・訳者・あらすじ・出版社を検討していきました。当選した特典として意識したのは、あらすじとタイトルです。ここに自分の意思を投影しました。

選書にあたって、出版年も意識しました。
なるべくたくさんの方と共有したい。
本を手に取って読んでもらいたい。
本屋さんでも買えて、図書館で借りるにも、話題が落ち着いていて、すぐに手に取れる本。
買うというのは、出来ればそうしたいものです。
だけど、生活の中で捻出出来ない時期もありますし、それでも読んでみたいというところも在る。

たくさんの方と共有したいことを考えたとき、短篇集が想い浮かびました。本当に短いものから、ちょこっと長いもの。ちょこっと試しに読みたい方、時間があまり取れない方、タイトルで繋がる短篇達はひとつの長篇にも感じられるのではと。
ユーモアもあって、だけど現実もちょこっと垣間見える。寄り添う、普遍的に、ただ在るもの。

選書にあたって、考えたことがもうひとつあります。

「ラジオで」その作品を知りたいこと。

なおざりにしがちですが、決まったら捨て置けない大事なことのひとつでした。
なので、あらすじは加味しましたがラジオ配信回までは、パラパラとしか本を開きませんでした。

ラジオの魅力を存分に味わいたかった。
自分が選書した作品を、作品を読んでもらえること、語り合ってもらえること、それを皆んなで共有出来ること。

知ってる作品の配信回もあります。
だけど、案内人達が案内する、自分が選書した作品をただ、聴いてみたかった。今回の「特典」というところを自分として、加味しました。

配信回を聴いて、選書した作品を、読んだ感想を、聴かせてもらえることがどれ程嬉しいかということを想いました。

選書しても、感想を聴く機会は滅多にありません。
そんなところも含めて、とても嬉しい選書でした。

そして、これは私にとって初めての

「自分のための、誰かのための、ラジオで聴きたい作品の選書」です。

きっと、自分のためだけなら今熱中しているシリーズ作品。誰かのためだけなら。ラジオで聴きたいだけなら…。

そうではない、あたたかな選書が出来たのかなと、想います。