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YONCO様@紅い花(2023.2.2~2.12)

血液を連想させる赤と包帯の白。そのコントラストが怖くもあり、安らぎも感じる。


楽しみにしていたYONCO様(@4_yon_fox)の個展。阿佐ヶ谷RED CUBE GALLERY様(@redcubegallery_)での開催だった。(会期終了)



RED CUBE GALLEARY様は真っ赤な壁が印象的なギャラリーだ。まず目に飛び込んできたのは、その真っ赤な壁を背景に浮かぶ真っ白なお人形さん。

YONCO様のお人形さんが見られるのはとても嬉しかった。人形もつくっていたというお話しは伺っていたが、お目にかかるのは初めて。

包帯の巻かれたお人形さんのボディはかなり華奢で、私はとても好きだと思った。頼りなさげなつま先がかわいい。このお人形さんは天使なのだそうだ。

天使もお人形もいいなあ。


そして、YONCO様といえば包帯だ。今回は写真作品。

包帯に巻かれた体の感触がいい。体に沿って盛り上がる包帯がかわいい。
そして悲しいのか苦しいのか嬉しいのかわからない表情が素敵。

包帯に包まれた姿からは、かわいそう、安心、苦悩、孤独、陶酔、孵化や羽化、様々なイメージが湧く。


そもそも、何のために包帯を巻くか?

本来ならば怪我などの異常事態に対する処置だ。しかしYONCO様は、そこに目的を限定していない。怪我をしたから包帯を巻いているわけではないという。
例えば「傷やあざの上から包帯を巻いている」状態だと、見る人は「怪我をしたから」包帯を巻いているととらえ、解釈はその方向にしか広がらない。自由な感覚で作品を見てほしいため、怪我や血液の要素はない方が良いとのことだった。

自由とはいえおかしな解釈をしていたら作家さんに申し訳ない気持ちになります、とお伝えすると、見た人が何を感じるかは作家さんの干渉するところではないので、何を思ってもらっても大丈夫、というようなことを言ってくれた。

人それぞれの痛みや苦しみを包帯によって癒してあげたい、というようなことも仰っていて、その熱量や使命感が心をぐっと掴んでくる作品を生んでいるのだと思った。
それに対する感動のような気持ちはもはや言葉にならなくて、出るのは感嘆のため息だけ。胸が苦しくなる。


YONCO様の包帯の作品には安心感がある。

弱くて脆く誰にも見られたくない私の心を隠してくれる。

皮膚が裂けて露出してしまった赤を覆ってくれる。

壊れた心がこれ以上砕けないように支えてくれる。


包まれた痛みは私だけのものである。

包帯の中から柔らかく新しい私が生まれたりするのだろうか。そんな誕生や再生が示唆される。

今回の展示が、生命の誕生や胎内を想起させるものだからかな。

天使たちが新しい生命を宿す準備が整ったことを知らせに来ている。
私自身は妊娠や出産をはじめとする生命の営みに抵抗があるが、YONCO様の表現を通すと「あ、そういうものか」と受容できる気がした。


YONCO BOXも素敵だった…
手当てが必要なときに開く


余談だが、今回の個展に向けて実は作品のモデル協力をさせていただいた。それもあって本当に楽しみにしていたのだ。
私の写真を使っていただいていることは素直に嬉しかったし、包帯を巻いてもらってYONCO様の世界に入った私はとても満たされているように見える。
作品にしていただけたことは、私の生き方や美徳をYONCO様が受け入れてくれたようで、今までにない幸せを感じた。

真っ赤なギャラリーと、YONCO様のお人形さんたちと、その他の素敵な写真作品と、私とが同じ空間にいたのは感無量だ。
あとお友達のじゅんさん(@moist_child)も今回この空間でファゴットのミニライブをしていて、それもすごく嬉しかった。すべてYONCO様が企画しているものなのでそこに私は関係ないんだけど笑っ
じゅんさんともしばらく会ってなかったけど、こういう形で会えたのもなんだかご縁だなと思った。YONCO様には感謝してもしきれない。


真っ赤でインパクトのある展示だが、不思議と穏やかな気持ちになった。天使にもお人形に憧れてやまないけれど、人は人でしかないんだな、と諦めがついたのかもしれない。
人だから怪我もするし悩みもあるし痛みも感じる。救いを求める私をそっと包んでもらったような気持ちになった。


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