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「ぬいぐるみのげんざいち」展①そもそも編

こんにちは、私は人形の博物館にて展示ディレクターをしているちーとん🐖です。

今回は2023年4月23日から7月23日まで開催の「ぬいぐるみのげんざいち」展について企画者の視点でご紹介します。
今回は単純な「ぬいぐるみ作家のグループ展」にとどまらない、ぬいぐるみと人との関係性を描くような展示をしたいと思い、これまでにない挑戦的な内容とイベントを試みました。
たくさんのことを詰め込んだ企画展なので、何回かにわけてこの展示について書こうと思います。今回は「ボーちゃんといろは」、そしていろはのお母さんひがしちかさん、ぬいぐるみのボーちゃんについて。

まず、私が最初に頭に思い浮かんだのが、デザイナーのひがしちかさん、娘のいろはちゃん、そしてぬいぐるみのボーちゃんでした(※ぬいぐるみ作家はFredericの貝戸由希さん)
ひがしちかさんは10年以上前から、娘のいろはちゃんとボーちゃんのことをSNSにアップしていて、私もその様子をのぞかせていただいていました。当時ちかさんはシングルマザーにも関わらず娘さんを育てながら、傘のデザインをするなどされていました。私はまだちかさんのブランド「コシラエル」の店舗ができる前、浅草橋のアトリエにお邪魔したことがあります。当時私も子育てをしながら自分の映像作品の制作をしていましたが、慣れない生活や、時間がうまく使えない中での創作活動に心が疲弊してゆくような毎日で。それなのに、ちかさんの目はキラキラと輝いて制作されるデザインもとても素敵なものばかりで、会った時、言いようのないそのちかさんの逞しく美しい姿に涙が出てしまいました。

そしてボーちゃんを大事に思ういろはちゃんの姿もとても愛おしくて、ボーちゃんがいなくなってしまった事件の時には祈るような気持ちでSNSの新しい投稿を待っていました。そんないろはちゃんとボーちゃんを、私以外にも多くの方が見守っていたのではないかと思います。

この展覧会を企画した際、いろはちゃんが施設に来てくれました。
17歳になったいろはちゃんは、私が知っているいろはちゃんよりもお姉さんになっていて色々なことに気づかってくれ、妹さんとも楽しそうに遊ぶ姿が印象的でした。だた、やっぱりあどけなさも残りながら、きっと様々なことに悩んだり考えている時期でもあるんだろうなとも感じました。きっと今しか書けないことがあるだろうなと、改めていろはちゃんの言葉が聞きたいと思いました。いろはちゃんは「ボーはいろはの涙がいっぱい染み込んでる」と言いいました。

ボーちゃんといろは 撮影:ひがしちか




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