妄想ヒーロー

教室での数学の時間。笑いどころのない先生の話に全く集中できず、うわの空の自分。そんな時に廊下から悲鳴が聞こえた。暫くするとなんとナイフを持った不審者が教室に乗り込んできた。不審者は明らかに様子がおかしく、なんの躊躇も無く先生の背中をひと突きした。倒れる先生。パニックに陥る教室。不審者は笑いながら近くにいた震えている女子に襲いかかろうとしている。その時、ドルジが女子と不審者の間に割って入る。そして、ナイフを持った腕を蹴り上げ、そのまま不審者の顎に渾身のアッパーを繰り出す。不審者は倒れ、学校の平穏は保たれたのだ！しかし、実は不審者と接触した時ドルジは脇腹を刺されていた。床に倒れ込むドルジ。涙ながらに女子にハグをされながらゆっくりと意識が遠のくドルジなのでした。
これはドルジの実家から母親が発掘したドルジの中学時代の妄想文である。この歳になってこの文章と対峙するのは大谷翔平以上の精神力を要するだろう。ドルジのメンタルでは耐えられなかった。母親に嘲笑されながら、ゆっくりと意識が遠のくドルジなのでした。