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森の日だまりで秋の蝶と戯れる

9時50分、小さな森で朝の日だまりに佇む。
毎年会っている秋の小さな蝶と戯れるため。
そこに向かうまで、朽ちかけのキノコに見惚れる。
そんなキノコをみてると、会えなくても、まあいいやと思えてきた。

生をまっとうした老菌

ぽっかりと開いた森の日だまりはおどろくほど穏やかで人は来ない。

地を覆う森の木々がここだけは温かな陽をおとす

到着するといきなり2頭の蝶が出迎えてくれた。
ルリタテハとアカタテハ。
並んだ木を1本ずつ独占して日向ぼっこをしている。
珍しい蝶ではないが、今日、この時間に、この日だまりで会うとほっとする。

瑠璃色
少しつかれているかな。

ルリもアカも成虫のまま越冬する。そんな蝶が冬をまえに秋の陽を身体に貯め込むようだ。
5分ほどルリやアカと戯れていたけど、お目当ての蝶は現れない。少しだけ日だまりを離れて周辺を歩いてみる。
ああ、そうだ、野良山茶花が1本だけあったことを思い出す。

枯れ始めた森に鮮やかなピンク
もう少し狙って撮ってみようか、笑
あの幼菌だったオオワライタケ(?)が成長しきって老菌になっていた

う〜ん、いいなぁ。
さて日だまりに戻って、呆けてみるか。ちがうな、蝶を飛ぶのを待ってみるか。10分たっても蝶は現れないんだけど、なんだか、とても幸せな気持ちになってきた。

壊れた蜘蛛の巣に枯れた落ち葉

高さ2mもありそうな蜘蛛の巣に落ち葉がかかり、日だまりへの光がそれを浮かび上がらせている。風雨に晒されてここまでになっただろう蜘蛛の巣に物語が浮かんでくるけどストーリーにならず消えていく。
と、一頭の蝶が飛んだ。ランダムにジグザグに早く遅く飛ぶ。必死で目で追うと木の上の方の葉にとまった。
やった、会えた、、、けど

高すぎて見えない。

飛び立つまでまってまた目で追うけど、今度はロスト。
いることはわかったんだ、また待てば飛ぶさ。
あ、飛んだ、、、止まった草むらを確認してゆっくり近寄る。

ひさびさの紫

なんだ、おまえか〜。
なんていいながら、久々の出会いにちょっとうれしい。
しかも結構綺麗だからね。
また少しまっていると、小さな蝶が飛んで、草むらに止まる。

今年も出会えた

あ突起がある。ビンゴ。そっと近づく。
目的のムラサキツバメのメス。でもちょっとお疲れかな。背景もイマイチだし。会えただけで嬉しかったくせに、会えたら会えたで注文をつける。
人間なんてララララララ、らら。

これはオスかな

今度は遠くの草むらに止まった。
望遠でとりあえず撮ってみる。とりあえず撮ったところですぐに舞い上がっていいってしまう。キレイなヤツだったぁ、、残念。
そうこうしているうちに、目の前の枝に上に止まった。どうやらキレイなヤツだ。尾状突起の先の白いのまでキレイだ。
そっと、カメラを構え翅を広げるのを待つことにした。

ここで開いておくれ。

5分 10分、15分じっと佇み見つめ続ける。その間にも他の蝶が飛ぶ。
気になりながら、これ以上のスチュエーションはないんだと言い聞かせる。
あ、紫が止まった。近くにとまったムラサキシジミを上半身だけひねって撮る。

これもきれいなムラサキ

すぐに上半身を戻し、木の葉をみつめる。さらに5分、あ、日が陰ってしまった。上半身だけ上をむけて空をみると雲が大きい。
こうなると翅をひらくのは絶望的になる。絶望的になると思いながら上半身を左にふると、さっきの幹のルリが思いっきり翅を広げている。
曇っとるやないか〜い。
声なき声に気づいたのかルリも翅を閉じてしまった。
諦めるて遠回りして逆側にまわる。

違う蝶のようだ

こちら側が順光だったんだ。はっきり写る。
もう一枚とおもったとこで飛んでいってしまった。
結局一度も開くことなくね。
まだもう少し楽しめるかな。
また、来てみるとするか。
佇んでいるだけでも幸せな気持ちになれる日だまりに。

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