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〈十七番歌〉【歴史を彩る秋の一幅】

ちはやぶる 神代も聞かず竜田川 からくれなゐに 水くくるとは

在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)六歌仙・三十六歌仙

【歌の鑑賞と真意】紅葉が竜田川に流れ川が真っ赤に染まっている。その様子は様々な不思議な事象が起こったという太古の神々の御代にさえ聞いたことがないほど見事なものだなあ。

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東京スカイツリー駅の以前の名前は「業平橋駅」でした。次の歌の作者は在原業平です。伊勢物語によると、東国への旅の道中、隅田川で目にした鳥の名前を都鳥と聞いて詠んだ歌となっています。

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この歌は、伊勢物語の九段『東下り』の最後に収録されている歌です。都を離れ、三河、駿河と旅をし、武蔵の国と下総の国の間に位置する隅田川まで足を運んだ一行。この歌からは、都や都に残してきた人を思う気持ちを、強く感じ取ることができます。

名にし負はば いざ言問はむ都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと

【意味】「都」という名を持っているのなら、(都の事情に詳しいであろうから)さあ尋ねよう、都鳥よ。私が恋い慕う人は無事でいるのかいないのかと。

紅葉が竜田川に流れ川が真っ赤に染まっている。その様子は様々な不思議な事象が起こったという太古の神々の御代にさえ聞いたことがないほど見事なものだなあ。

柿本人麻呂が努力努力で必死になってよい歌を考えているのに対して、業平は当意即妙、自然体で誰にもわかりやすい歌を即興で詠み、しかも美しい。卓越した才能の持ち主といえます。




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