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9限目:地方の大学生向けの講義(立花隆の速読術、シントピカル読書)

表題のキャベツの葉っぱみたいな図は何かわかりましたか?

正解は、
All roads do lead to Rome(すべての道はローマに通ず)
の地図です。

同じように、『全ての速読術本は、「本を読む本」に通ず』と言っても過言ではありません。

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そんな話を3限でしました。
さて、「本を読む本」に出てきた、4つのレベル思い出せるでしょうか?


正解は、以下の4つです。

①「初級読書」(1冊の本を小学生のように1ページ目から読む)

②「点検読書」(1冊の本を点検して読む)=速読術、フォトリーディング

③「分析読書」(1冊の本を精読する)

④「シントピカル読書」(2冊以上の本の論分執筆読み、コンサル読み)

④「シントピカル読書」を前提とした②「点検読書」をする際の様子

さて、本日は④「シントピカル読書」を前提とした②「点検読書」をする際の様子を知って貰います。

一言で言えば、④「シントピカル読書」は、「論文執筆読み」、「コンサル読み」です。

1つの主題(テーマ)に関して、2冊以上の本を読み、分類、統合して、多面的に理解する読み方です。

修士論文や博士論文を執筆された方、トップコンサルティングファームで活躍しているコンサルタントは、自然と身についている読み方です。

大学を卒業した方でも、大学の在学中に論文と呼べる論文を執筆していない方は、身についていない可能性があります。

正直、私、桐島は大学ではほとんど身に付きませんでした。1つのテーマを深堀りする機会が無かったためです。

それでは、本を選んだり、読んだりするプレッシャー(切迫感)がどのぐらいのものなのか? トップアスリートならぬ、トップ読書家を参考にしたいと思います。

知の巨人、立花隆の本の選び方・読み方(④「シントピ」を前提とした②「点検」)

まずは、言わずと知れた、知の巨人の立花隆さんからです。
読書欲がすべての欲(食欲や性欲)を通り超して、一番だと公言して憚らないプロフェショナル作家ですので、一般人に参考になるか分かりませんが、以下の本から引用します。

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 私がどの辺を自分の守備範囲としているかというと、政治、経済、サイエンス、テクノロジー、哲学、思想、現代芸術といったところだろうか。
 誰かがそれを割り振ったということではない。(中略) 好き勝手に本を選んでいくと、自然とそのあたりの本が多くなる。
 店頭ではページをパラパラめくる程度のことしかしない。時間的にそれしかできない。1時間で選ぶということは、1冊3分で20冊、1冊4分なら15冊ということである。実際には、第1次選択で15冊選ぶとしたら、40冊くらい手に取っている。うち15冊は1冊1分以内で、「あ、これはダメ」と判断して、すぐに本を閉じている。
 次の15冊は1冊当り2分くらいかけて「これはいけそう」と思うものを半分残す。次の10冊は1冊当り3分かけて、7割程度残すといったところだろうか。
 家に帰ると、もう少し丁寧に中身を見ていく。まず、頭の5、6ページを読む。これで、その本が期待通りの本か、期待外れの本か、おおむね見当がつく本当は店頭でこれまでやればいいのだろうが、そこまでやるためには、1冊6、7分余計にかかり、先の1時間に加え、第1次選択に使う時間が計2、3時間になる。店頭で立ちっぱなしでいるのはそれは肉体的につらすぎる。そこで、当り外れがあるのは承知の上で、取りあえず「当る」可能性があるものをまとめて買ってしまうのである。
 全冊自分のポケットマネーで買う場合には、もっと時間をかけて慎重に店頭で選ぶが、「私の読書日記」用は、「外れ」も含めて、あとで「週刊文春」に請求できるから、とりあえず買ってしまい、家でじっくり選ぶ。
 家では、まず1冊6、7分かけて、本文部分をじっくり数ページ読んでみる。全冊一気にそうするわけではない。他の仕事をしながら、ちょっとした時間ができるたびに、ポツリポツリやっていく。すると、半分くらいは、「あ、これはダメだったか」と期待外れであることがすぐにわかるものが出てくる。
 外れには、いろんな意味の外れがあるが、数ページでダメとわかるものは、どこか根本的にいけない要素がある。拙速で選ぶと、「意味不明の文章」「バカ丸出しの知識羅列」「こじつけとしかいえない論理展開」などなど、「まかりまちがってもこの人は『自分にも本が書ける』などと思ってはいけない」というレベルの著者の本まで、オビに騙されたりして、買ってしまうものだ。第1次選択で残ったものが15冊あったとすれば、3分の1の5冊くらいはそういう”ハシ棒”(ハシにもボウにもかからない)レベルである。その見きわめがついたら一刻も早く読むのをやめる
 残りの10冊は、さらに読みすすめる。10ページ、20ページと読みすすめるうちにグイグイ引きつけられ、止まらなくなって、ついに完読してしまうというものもあれば、「いやあ、これはなかなか」と思いつつ、「何冊か同時並行で読みすすめていく」範疇の本が出てくる。これはかなりの確率で、最終的に残るものとなるが、読みすすめていくうちに、疑問点が次々と出てきて、「これはやっぱりもうひとつ」と落とすものも出てくる。
 2日かけて、10冊を5冊にできたら、あとは取り合わせを考える。カテゴリーの取り合わせ、本の性格(読みやすさ、スタイル、著者など)の取り合わせを考えて流れを作る。
(「ぼくの血となり肉となった500冊そして血にも肉にもならなかった100冊」P22~24)

これは、本の紹介の記事を書く際の、本の選び方・読み方になりますが、
1つのテーマに多面的にアプローチする際の方法です。

すなわち、これが、④「シントピカル読書」を前提とした②「点検読書」です。

立花さんの守備範囲は、「政治、経済、サイエンス、テクノロジー、哲学、思想、現代芸術」に及び、その分野から複数冊を選ぶことで、平面(1冊)ではなく、立体(複数冊)を作っていく様子が描写されています。

我々のように、自腹で本を購入する場合は、もっと時間をかけて書店で吟味すればいいのですが、立花さんの高速チェックは、まさに必要な個所だけをざざざっと読む、速読術に他なりません。

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https://brutus.jp/article/771/31487より引用した立花隆さん

トップレベルの読書家の雰囲気を体感できたでしょうか?!

コロナ禍下で、時間がある学生の方は、是非とも書店で、こういった本の読み方、選び方、買い方をしてみて下さい。国内旅行や海外旅行代わりだと思って、本の世界を旅行するのは、愉しいですよ(*'▽')

社会人の方で、1つの分野の専門家になりたい、他の分野も知りたい・深く掘り下げたいという方は、こういった本の選び方がお勧めです。

私も本屋に行くと、本の購入に迷い、気づけば高速で速読を繰り返していたりします。その結果、一気に世界が広がる経験をしています。

See you soon.

次回は、10限目です。


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