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㉓ミャンマーでのインターンシップ(ダウェイ経済特区開発の現状、Current situation of Dawei SEZ)

2017年7月の記事です。

7月25日にベイ、26日にダウェイに行ってきました。ダウェイはJICAの友人に以前から話を聞いていて関心があったので、ミャンマー滞在中に念願の夢が叶ってよかったです。

この場にて、インターン先に報告しましたレポートを共有させていただきます。今回は40分ほどでダウェイ経済特区への道のりを撮影しました。
2017年7月26日の光景が今後どう変化していくのかが楽しみです。

補足説明になりますが、ダウェイSEZはベトナム・ホーチミンから西に向かって伸びる「南部経済回廊」の西側の終着点になり、地政学上重要な位置と日本政府が認識しているため、この場所に工業団地を作ろうとしています。

最初に、2008年にタイとビルマ両国政府が二国間で協力して進めることを確認したのですが、2013年に資金調達の目途がたたず、イタルタイ社というタイ企業が撤退した後は、開発主体がタイ・ビルマ両国政府の出資する特別目的事業体(SPV)の手に移りました。

その後、タイの政情不安等から、約1年間、同事業の先行きは不透明な状況が続いていました。しかし、2014年10月に入り、両国政府が同SEZ事業の再開を確認した後、新たな投資元として、日本からの新規の支援・投資への期待が高まっていました。
そして、2015年7月、日・タイ・ビルマ政府による意図表明覚書(MOI)が結ばれ、同年12月には国際協力銀行(JBIC)によるSPVへの均等出資契約が締結されました。

このような流れのなかで日本が関わっているため、ヤンゴンから近いティラワSEZの発展が優先ですが、次にティラワの開発も重要ということになります。以上補足説明です。

ダウェイ経済特区開発の現状

2017年7月26日(水)8:00-10:00(0地点に9時到着)。初のダウェイ訪問の感想としては以下。

経済合理性の観点

●タイとミャンマーの友好関係を深化させるシンボル的なプロジェクトとしては有用。ただし、第三国が支援や介入することによって同国が得られる利益は極めて限定的。(例えば、戦後賠償の一貫という情が入り込む必要あり)。
●経済的な利益を期待して、第三国が同プロジェクトの支援する意義は皆無(委託事業報告書においても、天然ガス権益の日本企業への付与が無ければ、日本企業へのインセンティブは無いと記載あり)。

国道8号から港予定地

●経済回廊によって物流が効率化するには大胆なインフラ投資が必要であり、幹線道路国道8号(南北リンク)でさえも物流に適しているとは言えないのが現状(ダウェイからヤンゴンまで600キロあるが、標準速度は時速50キロで現状12時間かかる)。
●国道8号と港の予定地を結ぶルート18キロの現状(2017年7月26日時点)は以下の動画の通り。
●雨季のため、時速50キロも出せない悪路が多く18キロで40分かかった。タイヤがくぼみや砂利にとらわれて車が痛んだ。
●雨季は、工事をするにあたっても足場もコンディションも悪く思い通りにはいかない(至る所に大きな池ができる)。また、降雨時に積載量の大きいトラックを走らせると舗装された道路へのダメージが大きい。
●初心者感覚では、同18キロの2車線を整備するだけで残り5年以上はかかると感じる。アジアンハイウェイ水準の4車線にするには何年かかるか全く想像がつかない。
●港の予定地近くにあるイタルタイの事務所のタイ人常駐スタッフは6人、特段プロジェクトに対する熱意は無い(話かけてみて得た反応ですので、完全なる主観)。

国道8号から東側(ミャンマー~タイ国境)

●国道8号の東側に位置するミャンマー側のセクション1の51キロは開発の痕跡が全く見られない。
●海抜3~450mのアップダウンの激しい山岳地帯(ミャンマー側に開発を任されているセクション1.2.3)を切り拓く作業は、日本軍が捕虜を強制労働したタイ•ミャンマー鉄道を彷彿させる。
●港やSEZの建設の議論が多いが、最難関なのが、138キロに渡るミャンマーからタイの国境側の路。

まとめ

●国道8号から西側のSEZは、2013年の委託事業報告書の様子から変化無し。今後の期待も沖合に天然ガス油田が発見されるというサプライズ等がない限り薄い。
●肝はSEZ以上に国道8号から東の138キロ。

P.S.タクシー料金

●人口、経済規模でもベイに敵わない割には、タクシーが強気の価格設定。空港から市内までの10分の距離で5,000チャットが標準。
●マウンマガンビーチまでの往復とSEZまでの往復でタクシー料金60,000チャットだった(なお、マンダレーでは1日レンタルで50,000チャット、バガンは88,000チャット(朝4時45分からなので割高))。

観光地でなく1日レンタルでない割には高いと思ったが、雨季でSEZが悪路のため仕方なしです。

国道8号線から少し入って川を越えた地点で水浸しの池と言う難所(青の点のスポット)

通れないため迂回ルートを行く。目的の東西回廊0㌔地点は、Nobuleの西の☆マークと事前に聞き取っていました。

通ったら車体が半分浸かりそうなほどの水たまり
迂回しようとした道に阻むクレーン。この道は車1台分の幅しかありませんでした
その後はだいたいこんな道が続きました
ついに、0㌔地点や、少し感動すると共にモニュメントのあまりのショボさにがっかり
場所を確認したところ、Nabuleの西の☆の場所ではなく、こちらの青い点でした
どこかで見覚えのあるビーチ。。。と思ったら昨日25日に行ったDawei市内から1時間のマラウマガンビーチと一緒でした。海はひと繋がりなので当たり前でした。こんなどこからどう見ても普通の海に港を作ろうとしているのだから、ロマンチック以外の何物でもありません
帰りはイタルタイ社のオフィス見学です
中身はこんな感じで10年ぐらい同じ展示物を飾っているだろうなと思うほど年期が入っています
平和の象徴である鳩が飛んでいます。将来への期待は膨らむばかりです
再定住という名で、もともとの住民には素敵な家に移動して貰うということでしょう
なぜDawai SEZかという深淵なる問いに対する答えが載っています
Dawaiをハブにして各地が結ばれています。Dawaiがアジアの中心に来る日が待ち遠しいです
素晴らしい想像力です。ここにも鳩が飛んでいます
ダウェイからバンコクがきついのです。他の全ての都市が結ばれたとしても最後まで残るでしょう
Section1と2と3に分けたのはいいのですが、タイの国境までここ全てがボトルネックなのです
地図自体がつぎはぎだらけで胡散臭いです。中央なんて破れてますし
沢山の人が住めるようになるのは、まだまだ先のことです。現状車が通るのがやっとです

以上、2017年7月当時の状況の報告でした。

See you soon.



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