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産前休業のすすめ

※別の場所で書いていた過去のブログ記事より転載、書き直しをしています。

有休消化として産前休業を獲得した

通常、男性が取得する育児に関するお休みは「育児休業」であり、妻が出産をした後に取得する休業である。
産前には取得できないので、多くの妻は「里帰り」などをして、実家の親や兄弟姉妹、親戚などに頼って出産の時を待つ。

今回、私の嫁さんは出産にあたり、「里帰り」を選択しなかった。
理由は、里帰りをして生活基盤がそっくり移り変わることによって、6歳3歳の息子たちの生活を乱したくなかったからだ。
なので現在暮らしている自宅で過ごしながら出産の時を待つことになる。
その嫁さんの選択を絶賛支持し、実際に支援する人が自分以外にいないので、私が産前有給消化として産前休業を確保して産後に育児休業を取得することになった。

3度目の育児休業

私は今現在働いている会社で、唯一の男性育児休業取得者である。
唯一の人が3度も育児休業を取っているので、社内では少し異彩を放っている。
私が勤めている会社はなかなか古めかしい体質の会社なので、仕事より家族を最優先にする私のスタイルが浮いているからだ。
今回の育児休業について、男性社員からは一言もコメントはもらっていないが、逆に女性社員からは、すでに子育てが終わったベテランママや、同じライフステージにいるママさん、独身の方に至るまで暖かい言葉で応援をいただいた。
この男女の温度差が解消されなければまだまだ男性の育児休業取得率は上がらんだろうなあーと思う。
まあそんなこんなで会社と戦う、とまでは言わないが、せめて後進のためにも道を作っておかないとなーという感じで3度目の育児休業に入った。

専業主夫の孤独

今回のnoteで伝えたいのは、「産前休業最高に楽しいよ!」ということだ。
もう一回書こう。産前にとる休暇はかけがえのない素晴らしい時間をゲットできるよ!
夫が「産前休業」に入るということは、そのまま夫が「専業主夫」になるということに等しい。
嫁さんがほとんど動けなくなるので、ほぼ一人で一家(私の場合は嫁さん、6歳長男、3歳次男)の運営を任される。

・嫁さんの手伝い(手足になること)
・子供たちの保育園送り迎え、行事対応
・毎三食のご飯作り
・食材の買い出し
・掃除、洗濯、片付け、ゴミ出し
・子どもたちの世話(通院なども含む)
・その他たくさんの名もなき家事たち

上記がどさっとのしかかってくるが、日々アグレッシブに仕事を片付けているビジネスパーソンなら赤子の手をひねるような簡単な作業であろう。
‥‥正直に書けば、毎日ヘトヘトになるくらいに疲れる。
↓その過酷な記録がこちら

いつも会社で机に向かってやっている仕事であれば、進捗を見てスケジュールを組み直しながら自分のペースで進められるが、子どもが相手だとまったく予定が立てられない。すべての出来事が起こった瞬間に「突発的最優先事項」になる。
自分がどんなに崇高な仕事をしていたとしても、子供が
「うんこでたー!」
と叫べば崇高な仕事を止めてオムツ替えが最優先事項となるのだ。
あと「のどかわいたー!」とかね。

気がつけば毎日あっという間に夕方になり、晩ご飯を作って食べてからは怒涛の流れでお風呂タイム歯磨きタイムおもちゃ片付けタイムと続き、寝かしつけは嫁さんがやってくれるので、21〜22時ごろにようやく一人の時間がやってくる。
しかしそのころにはヘトヘトに疲れてしまっていて、自分のために何かを能動的にこなす体力気力は残っていない。
しかも専業主夫初心者なので、翌日の献立も冷蔵庫の中身と相談して想定しなくてはならない。
あーあれ買わなきゃ明日これやらなきゃとevernoteに記録する。

たった数日経験しただけでいうのもアレだが、専業主婦の方の労働の大変さを身を以て感じることができた。
身を粉にして働いて得られる結果が
「普通の暮らし」で、
特に感謝されるような感動的なポイントもない。
逆に一生懸命考えた献立なのに、子どもたちに不評でほとんどが残飯になりがっかりすることも。
これだけ多くの作業仕事をこなしていても無賃金で、特別感謝されることもなく、最終的に得られる対価が「家族が普通に暮らせること」だけなのだ。
しかも単調で地味な作業が多く、外へ出てもスーパーや公園、小児科や薬局など、決まった場所ばかりを回る。
目にする景色や聞こえる音に変化が乏しく、日々同じような生活の繰り返しになり、「話題」というものが枯れてくる。
意識して情報を取ったり視野を広く持たなければあっという間に孤独に包まれてしまいそうだ。
ほんと、「普通の暮らし」って、それだけでも大変にありがたいものなんだとしみじみと分かった。

産前休業による心の平穏
産前有休消化に入り専業主夫となってその作業の大変さや苦労も感じたが、家族と向き合って暮らすことが本当に素晴らしいことなんだと改めて感じることができた。

・嫁さんの日々の変化に対ししっかりサポートする体制を築ける。

嫁さんにしてみても、遠い実家でいつもと違う環境にいるよりも、暮らしやすい自宅で、夫が常に近くにいるほうが安心できる。
そのために自分が仕事を休んでいるのでこれが最優先の仕事だ。
休みに入った最初の数日間で家の中を整理し、ベビーベッドを組み立てたり嫁さんがくつろげるソファを購入したり、最適な環境を整えることができた。

・子どもたちと毎日肌を合わせているので細かな成長が感じられる。

仕事に行っていた頃よりも圧倒的に子どもたちと触れあう時間が多い。
子どもたちも、いつも不在だったパパが在宅なので、思い切り殴る蹴るの暴行を働ける相手がいるので嬉しい。
6歳長男は優しいので手加減してくれるが、3歳次男は手加減なしで殴りかかってくるし、いきなり目潰しなど暗殺者的な攻撃を仕掛けてくる。

すでにお兄ちゃんお姉ちゃんがいるパパの場合、ここが産前休暇を取って一番に楽しいことなのかもしれない。
嫁さんがアグレッシブに動けないので、このパートはパパが全力で対応したい。
まして我が家は男子ばかりなので、こちらも若干本気でやり返したりして息子たちを逞しく育てなければならない。
毎日たくさんのことを話すので、ちょっとした言葉遣いの変化や表情の変化に気づいて毎日少しづつ成長している姿を見ることができるのも嬉しい。

・健康が保てる。

そんな訳で毎日6歳3歳男児の相手をするには健康で強靭な精神と肉体がないと成り立たない。
筋トレは以前からやっているが、休みに入ってさらに身体を鍛えるようになった。また、子供たちが休みの日には公園に連れて行って結局自分も走り回るので体調は仕事をしているときよりもずっといい。
食事も毎食自宅で作るので、経済にも優しいし、健康にも(たぶん)いい。

・仕事に行っていないし通勤電車に乗っていないのでデトックス効果がある。

仕事というのは多かれ少なかれ「自分の意思に反した行動」を強要するものだと思うので、それが停止したことによるスカッと感は大きい。
東京の郊外で暮らしている方ならお分かりかと思うが、あのクソ通勤電車に乗らなくなるだけでも精神の健康は大幅に向上する。
いや本当にあのクソ通勤電車が諸悪の根源だったと理解できる。
めっちゃ電車内臭いし、マスクもしないでげほげほ咳するおっさんとかがストレスの発生源だったんだなーと再確認できた。
あれは人間が乗る乗り物ではない。
朝の通勤でイライラを蓄積して職場について新しいイライラをゲットしてそれを大切に育てながら帰りの電車でイライラの補充をして帰宅してイライラを酒で洗い流す…。
それらがすべて一時停止するので、そりゃあ頭の中がスカッと広くなる。

ざっと思い浮かぶだけでもこれだけの良い効果が得られる。

産前有給消化が始まった最初の頃は「やったー!もう仕事のこと考えなくてすむぞー!」程度の感想しかなかったが、休みの日々が進むにつれて感じること、得られるもの、理解できるものが次々と増えてくる。

男性は父親になるにあたり、体調の悪化もないし悪阻もないし身体が重たくなることもなく精神のバランスに変化もない。
なんにもない。
このタイミングで「ああなんにもなかったな」と感じて家族に寄り添わないと、すごくたくさんの感情や感触や景色や色や音や匂いやあれこれを受け取ることなく季節は過ぎてしまう。
この時期にしか体験できないものがとても多くあるので、これを読むパパさんにはぜひとも産前の休業をとることをおすすめする。

人生の中でもっとも素晴らしい休業になると思いますよ!

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