「髪と波」2024年2月3日の日記

クセになってんだ
しれっと日記サボんの

2月1日はアニメ「僕の心のヤバイやつ」を最新話まで観ました。久しぶりになにかを一気見した。早い内に評を書きたい。そのためのアイデアをメモする。第1話で市川の一人称視点に彼の片目を隠す前髪が映った時に、このアニメを観通そうと思った。頻出するこの演出は、図書館を「聖なる箱」と呼び、書架に隠れて山田を覗いていた市川の視線と関わっている。また、シーズン1のオープニング映像で、山田の髪がカラフルに描かれ、波のような背景と交換可能なものとなっていた、あるいは市川を包む、より大きな存在でもあったことから、「僕ヤバ」における「髪」は最も重要なモチーフと言えると思う。

1月に買って併読している本
佐藤康邦『絵画空間の哲学 思想史の中の遠近法』
浅田彰『構造と力 記号論を超えて』
大澤聡『定本 批評メディア論 戦前期日本の論壇と文壇』
結城正美『文学は地球を想像する エコクリティシズムの挑戦』

『絵画空間の哲学』
私の好きな批評家・後藤護が擁護するマニエリスムという思想は美術史の内に位置づけられるのだが、遠近法という概念と深く関わっているので、その観点から、よく整理されてそうなこの本を買った。哲学史や科学史と往復しながら、遠近法について知れる。

『構造と力』
私は脱構築と精神分析を全く異なるもとのして、それぞれ興味深く思っていたのだが、本書では「エクセ」なり「剰余」なり「力」なり、まあ、秩序立った構造の裏に控えていて、私たちを脅かしている存在があり、それを例えば精神分析の「無意識」なんかと接続していそうで面白かった。千葉雅也の解説を先に読むと分かりやすいのかも。あと、単純に浅田の文章が面白すぎる。読ませる批評だ。贈与論についてが面白かった。

『批評メディア論』
めっちゃ面白いんだけど、感想を言うとなると難しい。思うに、いまの批評界隈の問題って、ずっと以前から存在するんだなと。研究するってなると、過ぎし時代の方が扱いやすいのはもちろん、その時期(本書では戦前期)を扱うと断言する迫力があって良かった。序章まで読んで、第5章を読み始めるという、めちゃくちゃな読み方をしているが、読書ってこんなもんで良いでしょ(適当)

『文学は地球を想像する』
「エコクリティシズム」と「環境批評」の違いみたいな、かゆいところに手が届く知識が得られる。私が関心を持っているダーク・エコロジーよりはラディカルでないが、やはり、ただの自然崇拝とも距離を取っていて良い。エコロジー関連のパンチラインが多く引用されており、先行研究リストとしても機能しそう。

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