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水墨画の美しさが見えるよう描くことで自分を解き放つ人間ドラマ【線は、僕を描く】


線は、僕を描く:砥上裕將

【本の基本情報】
〇ジャンル:日本文学
〇本の種類:単行本
〇著者名:砥上 裕將
〇出版社:講談社


線は、僕を描く:読書記録

水墨画の世界に生きる人たちを描いた作品。

両親を交通事故で失って
心の内側にいることが当たり前になってしまった大学生の青年。

彼はある日、水墨画の巨匠と出会います。

その出会いは彼の人生、生き方を大きく変えることになります。

水墨画の巨匠に、才能があると気に入られで弟子になった彼は、巨匠の弟子であり孫娘でもある女性と、翌年の水墨画の賞を賭けて勝負することになります。

初めて経験する水墨画。
しかし、彼はやがて、水墨画の魅力に気付き始めます。

自分の心の内側を知っている彼は、水墨画を描くために必要な感覚を徐々に身につけていきます。

物事は見えていることだけではない
心の内側にある宇宙で、その命を感じることができる。

水墨画の奥深さが、自分の感覚と繋がり出す。そして、水墨画の本質、描くということの本質に気付いた時、彼は自分の生き方すら水墨画によって変えられていることに気付きます。

水墨画という世界、水墨画そのものについて描きながら、感動の人間ドラマにも触れたとても深い作品。

水墨画との出会いで彼は悲しい過去と向き合い、その過去を受け入れ、乗越えようとしていく。その姿に感動します。

今回映画化ということで、再読してみましたが、やはり深く入り込める作品でした。

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