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台南の風
台北から台南へ移動すると、南に来たはずなのに涼しくて驚く。台北は盆地で空気が溜まっているが、台南は風があるのがその理由だ。
幼少の時期が昭和30年代の僕にとって、台南は懐かしいものに出会える場所だ。通りから入った細い迷路のような路地を歩いていると、小さい頃初めて行った町をちょっとドキドキしながら歩いた感覚を思い出す。
全美戱院という台湾で1番古い映画館では今でも手描きの看板を使っている。この映画館のお向かいが看板屋のおじちゃんの作業場だ。そこには描きかけの看板が無造作に置いてある。イラストレーターを生業にしている僕が絵に興味を持つきっかけは、小さい頃見た映画館のこんな絵看板だった。ゴジラや007、好きな映画の看板は何度も何度も見に行った。
そして夜お寺でやってる映画。小学校低学年までは近くの神社で夏場ちょくちょくやっていた。東映の時代劇とかじゃなかったろうか。台湾にこれがあるのはおそらく日本統治時代があったからだろう。日本ではなくなってしまったけど、ここ台南では今も老人たちのお楽しみになっている。
台南が好きだ。街も人も。日本から台湾へ、空間の移動だけではなく、時間も移動したのではないかと思えてしまう。ここにいると自分の年齢も忘れてしまう。台南の風が心地よい。
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