コロナが少し落ち着いたというので、二か月ぶりに電車に乗りました。すると、ちょっとした用を済ませて帰宅しただけなのに、なにか妙な疲れを感じたものです。新たな日常へは、いっぺんには移行できないものなのでしょうね。
先行きの不安、ストレス、自律神経の乱れなど、心の病に警鐘を鳴らす専門家もいます。「コロナうつ」という言葉も聞かれるようになりました。
新しい日常を創り上げ、そしてそれに慣れるために、KAIZEN(カイゼン=改善)の考え方が、今のわたしたちには有益なのではないかと思います。
KAIZENとは「少しずつ変化する」こと。いっぺんに変えようとしない。それよりも地道に毎日少しずつ、より良い方向へ変化していこうとする。日本のモノづくりやサービスの提供の背景に、KAIZENがあることは広く知られています。メイドインジャパンが世界に信頼されている理由です。
KAIZENでは生ぬるい、こんな時代はもっと急激に変化でしていかなければダメだ、という意見もあります。けれど、要は変わるべき方向に確実に変化できればいいのですから、やはりわたしたちはわたしたちの得意な方法を選んだ方が早道ではないでしょうか。
ところで、わたしは以前、仕事原則なるものを三つにまとめたことがあります。それは「少しずつ、一つずつ、ていねいに」。
あわただしい毎日の中で、そして時折、あせりやいらだちに襲われる中で、この原則をつぶやいて、気持ちがスーッと楽になったのを覚えています。つぶやいているうちに仕事への充実感も覚えるようになりました。いっぺんに変えようとするからあせるのです。少しずつでいいのです。わたしは経営コンサルタントとして30年ほど、各社のカイゼン活動の導入を手伝ってきましたが、小変化の蓄積が大変化に到達するのを何度も見届けてきました。
これまではコロナ禍が通り過ぎるのを、身を伏せてじっと待っていた感があります。これからしばらくは、新たな日常への慣らし運転です。
少しずつ、一つずつ、ていねいに。
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