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第四開『雨』

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第四開『雨』 ねん

昔から傘と縁がなくて、手に持っていたはずの傘がすぐにどこかへ行ってしまう。皮肉なもので、安物のビニール傘はなくしたことがないのに散々迷って買ったお気に入りの傘はよくなくした。なくすと言ってもどこかへ忘れてくるわけじゃなくて、学校やスーパーの入り口の傘立てに入れて、出てきたらもうないのだ。当然見つかるはずもなく、この次はもう高い傘なんか買わないと決意して泣く泣く諦めるしかなかった。

そんなことが何

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第四開『雨』.原井

「……ぁよざいまーす」
 気の抜けたバリトンがラボに響く。寝ぐせだらけの髪に、無精ひげ、よれよれの白衣。
「あ、遅刻ですよ!」
「大丈夫だいじょうぶ。大西はちゃんと時間通りに来たんだろ?」
「あたりまえです。じゃなくて、わたしと山崎さんのふたりシフトなんですから、ちゃんと来てくれないと」
「まあまあ。いまはボスも出張中なんだし。かたいこと言わずに」
「山崎さんが緩すぎるんだと思うけどなあ……」

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第四開『雨』 飴町ゆゆき

雨に遊ぶのが好きだ。打たれるのは好きじゃない。
雨を眺めるのが好きだ。見ざるを得ないのは耐えられない。
雨の音を聴きながら、静かな部屋で本のページをめくる。お気に入りの大きなカップに淹れたコーヒーを口に含む。ふと顔を上げると、壁の時計が朝の11時を指したところで一瞬停止したような顔をして、やおら動き出すのが見えた。今日という日のなにも予定がないことを噛み締めて、また本へと目を戻す、そんななんでもな

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