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連載再開! 【コロナ緊急事態から2年を過ぎて、2022年日本リアタイ定点観測】 ⒋ あれから2年、大阪ミナミはコロナ前に戻った?  だが感染は横ばい、これから第7波の地獄が?


連載再開!
【コロナ緊急事態から2年を過ぎて、2022年日本リアタイ定点観測】
⒋ あれから2年、大阪ミナミはコロナ前に戻った?だが感染は横ばい、これから第7波の地獄が?


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【定点観測の比較】


2022年4月末の道頓堀、コロナ危機以来初の規制なしの大型連休

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2020年2月の道頓堀、まだ日本がコロナ危機に油断していた頃、「がんばれ武漢」という、今から見れば見当はずれな応援の垂れ幕も

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(1)コロナ禍2年、中学校の卒業式


コロナ禍2年が過ぎて、中学校の卒業式の送辞と答辞を聞いて気づいた。
送辞も答辞も、行事と部活の話がメインなのだ。コロナでなくなった行事、部活が残念、と。これまでは、それで特に違和感はなかったのだが、今回は、コロナ危機が学年途中で襲ってきた学年の卒業式だから、はたと気づいた。この学年、1年生の三学期までこれまで通りの学校生活を送ってきて、三学期の最後で突然、コロナ禍のため一斉休校で日常をバッサリ断ち切られた、異常事態を体験した世代なのだ。
それに加えて、2020年の春以降、この学年は中学2、3年でグループ学習が出来なかったという話もあった。
その話を聞いて、これも気づかされたのだが、今の中学校のカリキュラムはグループ学習がないと成り立たないように組まれているのだ。
コロナ以前は、グループ学習がいかに多いか、意識しなかったのだが、現在の中学校のカリキュラムは何かといえばグループ学習だ。
その反映で、高校入試の問題にも、大学入試、特に共通テストの問題には、グループ学習の討論形式の設問が異様なまでに多い。
それが、今年卒業の全国中学3年生は、グループ学習を2年間、すっ飛ばして卒業したわけだ。
だとすると、コロナ危機で抜けた分のグループ学習の習得は、全国中3生の多くが、十分できていないはずなのだ。
もしこのまま、習得すべきグループ学習の習得抜きで高校3年間を過ごし、共通テストに挑むとなると、大学入試センターが教育課程上想定しているレベルのグループ学習を欠いていることになる。
それは、大した不足ではないのかもしれない。それでも、習得すべきカリキュラムを、生徒本人の落ち度ではなく、日本国中の同じ世代の子どもが欠いているという事実には、違いない。
文科省がコロナ危機で抜けたグループ学習の補習を手配しなければ、ある特定の世代だけ、本来の義務教育カリキュラムを習得できないまま放置される。
これを放置するなら、日本国は義務教育を全国民に習得させる義務を放棄したことになる。
一事が万事、こうなのだ。日本国の教育行政は、コロナ危機を言い訳に、子どもたちの教育をあまりにも放置しすぎだ。




(2)コロナ禍の第6波の直前、疑惑の大阪府立高校感染クラスター事例


北野高校クラスターは大阪府と教育庁、学校長の判断ミスだが、昨年末の文科省「オミクロン濃厚接触受験不可方針」がまねいた検査忌避の可能性も?

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12719587073.html


北野高校で感染発覚の報道、大阪府の対応がひどい。これは昨年12月25日に最初の感染がわかっていた

以下の記事より引用《府立北野高校では生徒や教職員あわせて19人が新型コロナに感染していることがわかり、府はクラスターと認定しました。うち8人はオミクロン株への感染が確認されたということです》

※参考報道
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4440112.html

《大阪で新たに79人感染 高校でクラスターも
(TBS 1月4日 1時45分)
大阪府では新たに79人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。一日あたりの感染者数が50人を超えるのは7日連続です。
大阪府ではきのう、新たに79人の新型コロナウイルスへの感染が確認され、7日連続で一日あたりの感染者数が50人を超えました。また、オミクロン株への感染も新たに16人確認されました。このうち15人は海外への渡航歴がなく、市中感染とみられるということです。これで、府内のオミクロン株への感染者はあわせて87人となりました。
一方、府立北野高校では生徒や教職員あわせて19人が新型コロナに感染していることがわかり、府はクラスターと認定しました。うち8人はオミクロン株への感染が確認されたということです。》


※参考資料
北野高校HP
https://www2.osaka-c.ed.jp/kitano/2021/12/25-027288.html

《新型コロナウイルス感染症に関わる臨時休業(一部休業)のお知らせとご協力のお願い
令和3年12月25日
保護者の皆さまへ
大阪府立北野高等学校
校長 天野 誠
新型コロナウイルス感染症に関わる臨時休業(一部休業)のお知らせとご協力のお願い
(中略)
さて、12月25日に、本校の生徒が新型コロナウイルス感染症にり患していることがわかりました。現在、保健所の指導のもと、府教育庁ならびに本校学校医とも連携しながら対応を進めているところです。
この度、学校が確認した教育活動における接触情報等を踏まえ、保健所による検査対象者の特定が行われた結果、一部の生徒について濃厚接触者に該当すると示されました。現在、該当する方については、自宅待機の要請等により自宅にて健康観察を実施しているところです。現時点で保健所又は学校から個別連絡のない方につきましては、濃厚接触者等には該当していないことをお知らせいたします。
つきましては、一部の学級2年1組、2年2組、2年3組、2年7組について、明日、12月26日から学級閉鎖とします。
なお、その他の学級・学年につきましては、今回の感染に関わっての影響はないとの見解が示されたため、通常どおりの教育活動を継続いたします。併せて、学校施設の消毒を実施したことを報告させていただきます。
臨時休業を実施する学級の、教育活動再開等に関するお知らせは、あらためて学校ホームページ(緊急時連絡ブログ)・ライデンメール等で連絡をいたします。なお、臨時休業中の学級に所属する生徒の皆さんは、臨時休業の趣旨(感染拡大防止)を踏まえ不要不急の外出は控えてください。
なお、今後、感染状況等に応じて再度、学校全体や学年単位での臨時休業を実施する場合もあります。ので、学校ホームページを適宜ご確認いただけますようお願いいたします。
(後段略)》

大阪府は学校側のこの感染発表(あくまで関係者向けだが)を、わざとメディア向けに発表はしないようにしたのでは?
もちろん、共通テスト前だから、報道されたくない気持ちはわかる。だが、学校と教委のコロナ感染対応は間違いだ。結果的に、感染拡大させたのだから。
しかも、最初の感染発覚から一週間以上経った昨夜、クラスターになってからの遅すぎる報道。おまけに学校内でオミクロン8人とは!
しかも共通テスト直前で最も報道されたくない時期に、これらのバッドニュースがまとめて出てしまった。
それぐらいなら、昨年12月24日の段階で、最初にきちんと発表、報道に出しておくべきだった。その上で、全数検査をやるべきだった。
だが、北野高校は全数検査せず、謎の判断で感染者の当該学年だけの休業にとどめた。
その間違った判断の結果が、一週間以上経過してのオミクロン8人なのだ。
大阪府も教委も北野高校学校長も、共通テスト前に騒がれたくないという気持ちだったのだろう。それはわかる。だが、対処を誤り、結果的に一番まずい事態になった。
なぜ北野高校学校長も大阪府も、最初の感染発覚で全数検査しようとしなかったのか? 推測だが、文科省がちょうどその前日に出した「オミクロン濃厚接触は大学入試受験不可」の方針が、検査忌避に走らせたかもしれない。

※参考報道
https://www.sankei.com/article/20211224-2YYZCFYYERKZJPJS3FBOS4NWHY/

《オミクロン接触者の受験不可 文科省が大学入試指針改定
(産経2021/12/24 20:47)
文部科学省は24日、国公私立大の個別入試における新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインを改定し、オミクロン株感染者の濃厚接触者は症状の有無にかかわらず受験を認めないことを決めた。同日付で各大学に通知した。来年1月15、16日に実施される大学入学共通テストでも同様の対応になるとみられる。
政府がオミクロン株感染者の濃厚接触者に14日間の宿泊施設での待機を要請することに対応した。文科省は各大学に対し、コロナの影響で受験できなかった受験生のために追試や日程の振り替えなどを求めており、「引き続き配慮を検討してほしい」としている。
オミクロン株以外のコロナ感染者の濃厚接触者はこれまでと同じく、①PCR検査で陰性②受験当日も無症状③公共の交通機関を利用せずに試験場に行く④別室で受験―を全て満たせば受験を認める。》

この一件は、報道が出たのちに大騒動になり、数日後に岸田総理が文科省方針を撤回したが、時すでに遅しだったといえる。
なぜなら、その後も、北野高校側は学校関係者の全数検査忌避ともとれる判断のままだからだ。
昨年突如出された文科省方針「オミクロンは受験不可」が、万が一そのまま適用されていたら、北野高校としては大変な事態になっていたのだ。北野高校はほぼ全員が共通テスト受験生だ。最初の感染発覚の12月25日段階で全数検査したとして、もしオミクロン株感染者がいたら、北野高校3年全員が共通テスト受験不可になりかねなかったのだ。
いくら岸田総理が方針撤回を指示しても、北野高校側はその最悪の可能性を考えて、3年生を検査から外し、事実上の学校ぐるみの検査忌避をしたのではないか?
つまり、今回クラスターを引き起こした北野高校側と大阪府の「全数検査しない」判断は、文科省の「オミクロン受験不可」方針がまねいた、当然の帰結だということもできるのだ。
岸田総理が、世間からの抗議に慌ててなのか、あるいはシナリオ通りなのか、文科省方針を急いで撤回しても、現場は疑心暗鬼のままだ。だから、校内感染でも全数検査はされないまま、結局クラスターになってしまった。しかも、北野高校の場合は、学校内でオミクロンがなんと8人!という最悪の展開になった。
これも憶測だが、もしかして感染発覚したのがよりによって北野高校だから、橋下氏など維新の会の北野卒業生経由で大阪府や学校長に対して、全数検査しないよう圧力があったかも?とも疑いたくなる。そのぐらい、今回の判断ミスは不可解な点がある。まさに絵に描いたような最悪の展開になったからだ。
ところで、
要注意なのは、昨年12月25日に最初の感染発覚してから、まさに予備校の冬季講習期間に入っていた点だ。
全数検査しなかったから、北野高生が予備校などの冬期講習で、他校生に感染拡大させている可能性はある。
しかも、オミクロン株の感染者がはたして予備校に行ってなかったか、全く不明なままだ。
それを考えると、周辺の他校も直ちに全数検査の必要がある。
なぜなら、昨年12月25日の最初の感染発覚段階から、複数の北野高生が無症状や風邪症状にみえる状態で、実はコロナ感染したまま予備校や部活などで他校生に接触している可能性は、低いとはいえないからだ。
よりによって冬休みの部活、予備校の冬期講習が、感染発覚後の一週間に集中的に行われた。もし感染者が無症状なら、すでに他校生の中で感染拡大していてもおかしくない。
大阪府と文科省、厚労省は、大阪府下の全高校にコロナの全数PCR検査を、直ちにやらなければならない。
今、見逃したら、このあと共通テストや大学入試に重なるタイミングで、府内の高校に感染が多発しかねない。しかも、元の感染者にオミクロン株が8人もいたのだ。今すぐ検査して、オミクロン株のゲノム解析を早急に進めなければ、高校生やその家族に一気に感染拡大しかねない。
同時に、文科省と大阪府は、1月中旬の共通テストでの感染者別室拡充や追試の手配拡充を、緊急的に対応しないと、今からでは間に合わないのではないか。

以下、加筆。

その後、なんと北野高校HPの連絡欄を見てびっくり!
今日(1月4日)から学校再開してる。全数検査しないまま、接触者はもういないと決めてしまったようだ。
共通テスト直前の判断のつもりなのだろうが、これでは他校や予備校に感染拡大していくのはほぼ確実。

※参考資料
北野高校HP
https://www.osaka-c.ed.jp/blog/kitano/kinkyuu/

《2022年01月03日 15:59 投稿者: 北野高等学校
生徒のみなさん、保護者の皆様
本校の複数生徒が、新型コロナウイルス感染症に罹患していたことから、12月28日より臨時休業とし、学校の教育活動を全て停止してきました。
12月29日には、1,2年生と教職員を対象としたPCR検査を本校にて実施し、保健所による疫学調査の結果、12月30日に陽性者、12月31日に濃厚接触者の特定が完了しました。
これを受け、保健所、教育庁と協議した結果、明日1月4日より、教育活動を全面的に再開します。
なお、教育活動再開にあたっては、感染予防対策を十分に行ってまいりますので、ご家庭でもご協力をよろしくお願いします。》


上記、北野高校HPの連絡欄の記述に疑問がある。12月29日に1、2年と教職員の検査済みとあるが、「全員」とは書いてない点だ。
しかも3年生は最初の感染発覚からずっと一切検査されないままだ。最初の感染生徒が校内で3年生と接触していない可能性は低い。しかももしオミクロンなら、廊下でも感染するかも。
北野高校が今日1月4日から学校再開するのは、そもそもは大阪府の保健所と教育庁の判断だ。
だが、これは間違った判断だといえる。大阪府は、直ちに北野高校を再度全校休業させ、全生徒と教職員の全数PCR検査をやり、オミクロンの他校や予備校、部活関連への感染拡大を止める義務がある。これは、吉村府知事の権限で即実行するべきだ。
北野高校のコロナクラスターとオミクロンの校内感染は学校側にも責任はあるが、悪いのは全数検査させなかった大阪府だ。
さらに、最終的な責任は、12月24日の「オミクロン濃厚接触は大学受験不可」方針を出した文科省にあるといえる。あの暴挙が、学校側に検査忌避させた可能性はあるからだ。これはまさしく、政府が教育現場を混乱させた最悪の事例だ。

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