ドイツのキンダー誕生日会とは
誕生日会一般についての記事を書きましたが、今度は子供に特化して。
始まりは招待するところから
日本では「招かれない子がかわいそうだから学校で招待状なんかは配ってはいけない」と上からのお達しがあるとかないとかですが、ドイツではそういうことはいいません。どこでも配ってしまいます。そして招待状を作るところから親の熱量の見せ所です。
いままでで一番すごかったのは、暗号で構成された手作りの招待状。親は学校の先生でした。誕生日会のコンセプトは「探偵」ということで、かなり面白そうでした。(参加せずなので実際のところはわからず)
我が家の熱量は中級。タブレットで書かせた本人自筆の招待状をプリンターで量産して配布しました。
こんな感じです。ドイツ語で何を書くか迷うところですが、ネットで検索すると定番のフレーズが出てきます。
三人の子供の誕生日会のたびにこういうことをしていますが、「いつまでに返事が欲しい」と明記しても、来るとも来ないとも返事が返ってこないのはよくあること。来るつもりがないから返事をしないとも限らず、親のほうから手をまわして聞くと結構「来る」という返事がくるから要注意です。
どこで、どんなふうに
誕生日パーティというのは自宅でやるよりも何かしらの外部施設に頼って開催する場合のほうが多い印象です。同じクラスのドイツ人ママに聞くと、親世代の時は自宅パーティが普通だったということなので、時代の流れなのでしょう。
外部施設というのは博物館、動物園、遊園地、映画館、レストランなど。絵画教室、体操教室、乗馬教室、陶芸教室なんかでも誕生日会特別コースがあるし、空港なんかでもできる場合も。「ここで誕生日会ができるよ」と案内がある場合は、その施設の職員がついて誕生日会を仕切ってくれます。親は食べ物だけ用意をすればいい場合もあれば、全部そこで購入できるけれど、逆に持ち込んではいけない、という場合も。
手を変え品を変え色んな場所で誕生日会が催される時代。それに慣れた子供達の誕生日会への期待値も容赦ありません。いいなぁ、私もこういう誕生日会によばれる側がよかった。
今回の誕生日のために用意した会場は屋内遊技場です。空気で膨らませたトランポリンやら、ジャングルジム、ボールプール、大きな滑り台、巨大なプラスチックの積み木なんかがあって、幼稚園児から小学校低学年くらいの子が楽しく遊べる施設です。
プレゼント問題
経験値がゼロでなくとも、招かれた側の場合に迷いが出るのがプレゼント。「どういうものを用意すればいい?」と聞くのもありなのですが、聞いたことを後悔するような物を指定された経験から、私は子供からのアドバイスを参考に独自の判断で選んでいます。予算は15ユーロ前後で流動的。お世話になったことがある関係だと多めに。過去にプレゼントのやり取りがあれば、その時にもらった物のレベルにも合わせます。
そうそう、招待側がおもちゃ屋さんに「この中からどれか買って持ってきて」と、キープバスケットを用意してあるパターンもあります。指定されたお店に行くと名前が書かれた箱があり、その子のプレゼント候補が入っているので、その中から見繕って買ってくる形式です。
何を用意すればいいか聞いて後悔した物とは
まずは、ちょっと高いものです。本当に高いものになると、招かれた側が何人かで負担を分け合って連名で買うという手もあります。ただ、他によばれる人たちを知らなかったり、連名にするほどでもないけれど個人で出すのもちょっと、という金額の時には困るのです。
また、〇〇ユーロのAmazonの商品券が欲しい、と言われた時も「聞かなきゃ良かった」と思いました。本屋さんの商品券とかならまだしも、Amazonの商品券はほぼ現金と同じ扱いでは?小学生のプレゼントのリクエストとしては可愛さがなさすぎる、と思いました。
おみやげも用意する
私の時代はお土産なんてもらった記憶がありませんが、いまの日本の子供の誕生日会はどうなんでしょう?こちらでは招待する側が来客に土産を用意することが多いです。
お土産として渡すものは主にお菓子。それに加えて鉛筆や消しゴム、シャボン玉だとかのチープなおもちゃです。日本の100円ショップで買ってきたようなものを入れると、こちらがびっくりするくらい喜ばれます。
この習慣ですが、子供が10歳くらいになると廃止する家が増えていきます。
自宅でする誕生日会でやること
誕生日会は評価される。かもしれない。
この誕生日会を開く前に、ドイツ人のママ友と誕生日会の話題になったのですが、「あそこの家では誕生日会にテレビを見せたんだって」と批判されているのを聞いて緊張が走りました。
やるのならちゃんとやらないと、「そういうおうち」というレッテルを貼られかねない、と思ったのです。
お誕生日会の定番の題目
もし自分が子供の誕生日会を仕切ることになったら何をするか?
ケーキを食べる
招待する側になった時には覚悟しておいてください。周りに聞いてもみな言うことです。
「ケーキたべません」
まずケーキを食べるといっておいてどういうことか?という話ですが、小学生は基本的にケーキはつつきまわして終わりだと割り切っておけばガッカリしません。
プレゼント開封の儀をする
定番のゲームがあるのです。招待客を車座に座らせ、その中央で瓶を回転させ、その瓶の頭が止まったところにいる子のプレゼントから順番に開封する、という定番のゲームがあります。同じ子のところで瓶がとまったりすると再び回すのと、招待客もプレゼントを一緒に見るので、それだけでも楽しい時間が過ごせます。
宝探しゲーム
屋内なり屋外なりでやります。メモ用紙を用意します。最初の紙には「赤いソファのカバーの下を見よ」、そのカバーの下には二つ目の紙を置き、「サイドボードの中央の引き出しの中」、そしてサイドボードの引き出しの中には「次はどこへ行け」と書かれたメモが・・・というやつです。
最後の場所には箱を用意しておき、その中には主役の子供のために親が用意したプレゼントを入れておいたり、招待客に持ち帰ってもらう小さいプレゼントを入れておいたりします。
鍋叩きゲーム
これも誕生日会といえば、のゲーム。目隠しした子供に木ベラを持たせ、木べらで床をコンコンさせて、床に伏せた鍋を探させるというルールらしい。それ以外の人は目隠しされた子が鍋から遠ざかれば「寒い!(カルト)」、鍋にちかづけば「温かい!(ヴァーム)」と呼び立ててヒントを与えます。
夕飯を出す
午後に始まる会だと、夕飯を食べさせて返す場合がおおいです。
ただし、夕飯はカジュアルに済ませる文化なうえに、子供が嫌いそうなものは無理に食べさせないお国柄。
ソーセージとフライドポテト。フライドポテトとフライドチキン。チーズとトマトソースだけのピザ。トマトソースとサラミだけのピザ。ホットドッグ。
こういったものが提供されるのが普通だし、こちらが振る舞う側だとしても、低年齢の子ほど保守的で、結局食べてもらえないことが多いので頑張っても報われません。
誕生日会が終わると
自宅の場合は終わった解放感と疲労感の中で片付けが始まることを考えれば、それがないだけ外部施設は費用を投じる意味があります。
また、自宅だと、終わっても居座る親子を帰すのにも苦労するという弊害が。
そんなこんなで、誕生日会は幕を引きます。
最後にひとつ、超重要なこと
書き落としていたことに気がつきました。周辺ヨーロッパ諸国の文化ではどうなのか知りませんが、ドイツでは誕生日を前倒しで祝うのはタブーです。大人の誕生日でも同様。
迷信とか幽霊とかを否定するくせに、数少ないこだわりポイントです。誕生会の予定を組む時には忘れずに!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?