【エッセンス】三谷宏治著『すべての働く人のための新しい経営学』
経営学は主に6分野の専門領域の寄せ集めなので、その「基礎」も専門分野の基礎の集合体に過ぎない。
①経営戦略│企業としてどういう存在になりたいのか(ビジョン)、どの戦場(ドメイン)で戦うのかを定め、そこで何をウリにするのか(基本戦略)や敵とどう戦うのか(競合戦略)、どう取り込むのか(M&A)を立案すること。また企業が複数の事業を持つ場合には、事業ごとにそれらを行い、全体として統合(全社戦略)・資源配分すること。
②マーケティング│各々の事業で市場や顧客・競合を分析することで、誰に対してどんな価値を売り込むのか(STP、こちら参照)、それをどうやったら実現できるのかを4つの対顧客活動(4P:商品、価格、販促、販路)を組み合わせて立案すること。
③アカウンティング│特定の期間中、その企業・事業が儲かったのか否か(損益)、資金繰り(キャッシュフロー)はどうなっているかを把握するための財務会計と、それらの状況・要因分析を行う管理会計がある。年度予算の立案・管理も含まれる。
④ファイナンス│株式や債券発行、銀行借入、自己資金など多岐にわたる資金調達手法を最適化し、かつ各事業に配分する。そのためにはさまざまな事業・投資価値評価(NPV010やIRR011)が必要となる。
⑤人・組織論│企業とは結局、人の集まりでありそれらがどんな塊に分かれて、どんな役割を果たし、どんな責任権限を持つのか決めなくてはならない。それが組織論。そしてそこに集う人々を採用し、教育し、評価し、モチベイトし続けるのが人事(人間関係)論であり、そこにはリーダーシップ論なども含まれる。
⑥オペレーション│商品・サービスの提供のために必要な機器やプロセス、仕組みを立案すること。その範囲は調達、生産、物流、販売、サービスのすべてに渡る。
「新しい経営学」のビジネスモデル分析
①ターゲット(狙うべき相手)=利用者、支払者など
②バリュー(ターゲットに提供する価値)=基本価値とQCDS(企業向け)、ブランドや感覚などさまざま(消費者向け)
③ケイパビリティ(バリューをターゲットにどう提供するか)=リソース(経営資源)+オペレーション
④収益モデル(対価とコストは見合っているか)=売上-費用
①具体的なターゲットは誰で、どんなバリューを提供できているかを分析することが重要。
②基本的なバリューは、マズローの5段階欲求(生理→安全→愛・所属→自尊→自己実現)。
QCDS(Quality|品質。スペックを満たさない不良品がどれくらい少ないかCost|コスト。その商品がどれだけ安いか
Delivery|納期や入手性。いつまでに納入可能か、どこでも入手可能かService|サービス。問い合わせなどへの対応やサポート)。
③バリューをターゲットに提供するまで(研究開発、調達、生産、物流、マーケティング、営業、カスタマーサクセス、サービス)の模倣困難な独自の資産。
④損益分岐点を超えるためのキャッシュポイントを構築する。