令和3年度筑波大学情報学群情報メディア創成学類3年次編入試験合格体験記(+2校)

筑波大学に3年次編入学してそろそろ1ヵ月経つので、ここらで編入の事を振り返ってみようかと思います。

僕自身、受験生時代にこの「体験記」なるものにとても助けられたので、今後編入学を志す方々の助けに少しでもなってくれたら嬉しいです。

めっちゃくちゃ長いので、目次をみて、気になる内容だけ読んでいってくれたら、と思います。

自己紹介

僕は1,2年次は某地方国立大学理学部在籍で、そこから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に編入しました。

大学での順位は60人中30位くらいでまぁ普通、もしくは悪いくらいでした。まぁ、こんなでも受かるので席次とかは気にしなくてもいいと思います。

もちろん、成績が関係する大学に編入するつもりなら頑張っていい成績取りましょう。筑波は多分関係ないです。

また、受験校としては、

1.筑波大学情報学群情報メディア創成学類(合格)

2.広島大学情報科学部(合格)

3.名古屋大学情報学部人間・社会情報学科(不合格)

です。筑波以外はざっと書こうと思ってます。

勉強開始(高校3年の春休み~大学1年4月)

勉強開始時期を見て、察した方もいるかもしれませんが、大学受験時代に筑波大学を受けて落ちたので、動機自体はそのリベンジ的な感じです。後期で他大学に合格が分かったあと、編入学の存在を知り、すぐに勉強に取り掛かりました。

このころは、ぼんやりTOEICの文法の本読んでました。大学受験で長文読解とか、単語とかは結構やってたので、「英語あんまやってないよ!」って人はまず単語やってからの方が良いかなぁと思います。

なお、使った教材は最後にまとめて書きます。

大学1年春学期

筑波メ創編入の科目は、

・数学

・情報基礎(プログラミングとか)

・TOEIC

なのですが、春学期の間は主に数学をやってました。

編入数学界隈では有名な徹底研究過去問特訓をやってました。数弱なので、始めたころは全然分かんなかったです。

英語に関しては、筑波大学の編入英語は730点で満点扱いらしいのですが、大学入学後のTOEICとかで630点くらいだったのであんまりやってなかったです。多分大学受験英語やった人とかならこのくらいに大体落ち着くかと思います。

情報基礎は全くやってなかったです。高専の方とかは「プログラミングなんてノー勉でいけるべ^^」ってイメージなんですが(偏見)、僕はただの大学生だったので、秋学期から大学の講義でC言語プログラミングが始まって、その時から勉強を開始しました。

大学1年秋学期

ここから本格的に情報基礎、というかC言語の勉強を本格的に始めました。大学1年秋学期はアルゴリズムやら競プロやらの勉強をメインでしてました。

秋学期の講義が始まって、大体2週間くらいでC言語の文法の本を読んで、こちらも定番なのですが、いわゆる定本を読み始めました。ただ、始めたころは「ポインタ」やら「構造体」やらが理解できていなくて、定本は全く分かんなかったです。

「定本は易しい、基本でしょ」みたいなこと聞いていたので焦った記憶があります。が、「分からない」と思った場合はおそらくC言語の知識不足なので、一度C言語の基礎に戻ってみるとよいと思います。C言語がきちんと理解できていれば、「これは基本やな」と思えるはずです。

とは言え、定本よりメ創編入に役に立つのは圧倒的に螺旋本蟻本だと思います。螺旋本蟻本は競技プログラミング用の本です。が、しかし、メ創の過去問を見た方はわかると思いますが、最近では競プロで使われるアルゴリズムとかが主な出題内容になっています。一昔前は、定本最強!って感じなのですが、最近の内容は蟻本最強!って感じがします。(知らんけど)

数学はこれに加えて、徹底演習もやってました。

英語は12月に外部のTOEICを受けて625点でした。

大学1年の春休み

ここでとんでもない事件が発生します。お察しの方はいるかと思いますが、某ウィルスが大暴れし始めてTOEICの受験可否が怪しくなりはじめたのです。

元々3月のTOEICを受けようと思って、春休みに入ってから、730点目指して、毎日4時間で2週間くらい勉強してたのですが、まさかの中止になってしまいました。

結局最後のTOEICまで受けられず、結局625点(IPは不可なので大学で受けたやつは出せない)で提出しました。

代替案として「TOEFLなんとか」みたいなやつの提出も可能になったのですが、受験費用が$235だったので諦めました。気持ちとしては「単位がドルやから........2万やんけ!!」って感じでした。

ちなみに、そのあとに大学受けたIPでは765点でした。広島大学情報科学部はIPでの提出が可能なので、広島大学はこちらの結果が使えました。

まとめると、「TOEICは冬休み前までには、730取っておこうね」という話です。

大学2年春学期から受験前まで

このころになると、もうだいぶ仕上がっていたと思います。

情報は競プロのおかげで筑波の過去問、他大学院のアルゴリズムの入試問題などは、だいぶ解けるようになってました。競プロは本当におすすめなので、絶対にやった方が良いと思います。これのおかげで受かったといっても過言ではないと思います。

英語はTOEICが逝ってしまわれたので、このころのメインは数学でした。

このころは実践力、というか問題集でバラバラになっていた知識をつなげるために、ネットに転がっていた大学編入数学の過去問をA3の紙を買って、解きまくってました。ただ、模範解答が無いものもあるので、先生などに添削を頼んでみるとよいと思います。あと、新しい問題が解きたくて大学編入のための数学問題集もやってました。

筑波の過去問も一応解きましたが、結果を言えばあまり役には立たなかったと思います。ただ、筑波の出題の雰囲気が分かるのでやってみるのも良いと思います。個人的には筑波の問題はかなり独特な雰囲気があって怖いです。毎年傾向が変わる上に、筑波はボーダーが高くて、「大問落としたら不合格かも...」って恐怖もあって結構神経削られます。

編入学試験本番

ここからは大学毎に編入学試験の感想を書いていこうと思います。

興味ない方は筑波大学まで飛ばしてください。


広島大学

僕は元々広島出身で、地元だったこともあり、滑り止めとしておそらく筑波よりは簡単であろう広島大学を受験しました。

広島大学情報科学部は、

受験科目

・数学

・面接

・TOEICやら学校の成績やら

の3つでした。多分最後のTOEICとかは参考程度に使われたのでは、と思います。なお、面接は何も対策せずに挑みました。

数学

あんまり内容は覚えてないですが、体感的には7割くらい解けたと思います。ただ、回収の時に見た感じ、白紙の方もちらほらいました。

大問がいくつかあったのですが、積分!積分!積分!積分!って感じでめちゃくちゃ疲れた記憶があります。大問ほとんどで積分したような・・・。なんとかすべて答えは埋めたのですが、見直しの時間が無くてつらかったです。

面接

なんかプログラミングに関する口頭試問を軽くして終わりました。

「再帰関数の実装で気を付けることは?」とか「プログラミングを使った、大学で作ったもので一番大変だったものと、工夫した点は?」とか聞かれました。

再帰関数の方はなんとかなったのですが、大学でシステム開発とかしたことなくて、大学の課題で作った「迷路生成器」の話をしました。正直、面接は手ごたえなさ過ぎて死にそうでした。

合格発表

結果としては合格だったのですが、結局数学はこのあと家で間違いに気付くわ、面接は死んだわで完全に心折れてました。正直、「広島大学落ちたら筑波大学も受からないんじゃないか」と思っていたので受かって本当に安心しました。

なお、この安心感のおかげで(せいで)、筑波の受験に影響が出ることになりますが、それが後述の筑波大学編でお話できればと思います。


名古屋大学

名古屋大学は「せっかくだし、旧帝大も受けとくかー」と思い、受験しました。

この年は、コロナの影響で受験地での受験が無く、選抜試験は出願時に出す志望理由書をもとにした、オンライン面接のみという異例の事態でした。

前述の通り、もちろん面接の練習などせず挑んだので、それはまぁひどい結果でした。

面接

ネットなどを見た感じ、「終始和やかな面接でした」とか、「圧迫面接など、そんなことは全然ありませんでした!」みたいな噂を聞いて舐め散らかしていました。

まぁ、結果から言うと、ゴリゴリ圧迫面接でした。

「ここじゃなくていいよね?」とか「いや、そういうことを聞いてるんじゃなくてね?(圧)」みたいな感じで言われて心折れました。マジで。

質問は「名古屋大学にきて”人間的”に成長したいことは?」って感じ内容でした。「あの、”人間的”ってなんすか?」って状態でした。

「強い人と一緒にプログラミングとかして強くなりたいです!」的なこと言ったんですが、「それって”人間的”なことじゃないよね?」って言われて、「???????????????????????」ってなりました。

もちろん、面接がボロボロだったうえに、成績もアレだったので、普通に不合格でした。大本命が筑波だったのもあり、名古屋に行きたかったわけじゃなかったのも見抜かれていたのかもしれません。


筑波大学

大本命の筑波大学になります。他2校は割とざっくりと書いたのですが、筑波大学に関しては、もう少し詳しく書こうと思います。

受験前日までの話

試験の時系列的には、

広島大学 試験 8/1 合格発表 8/21

名古屋大学 試験8/20 合格発表 8/31

筑波大学 試験9/5 合格発表 9/16

の順番で、筑波大学受験時にはすでに広島大学の合格は分かった状態でした。なので、広島大学合格が分かってから2週間ほど、全く勉強していませんでした(というよりモチベ低下と精神的なストレスで出来なくなった)。正直、安心感で気が抜けたのと、精神的にすり減っていたので、筑波の受験はやめようと考えていました。ただ、親から「受験料を払ってるんだから一応受けてこい。」とのお達しが下ったので、受験することにしました。

受験前日の話

メ創の試験は春日エリアであるので、近くのホテルのホテル日航つくばに前日にチェックインして宿泊しました。ホテルについてからは、ホテルから試験会場に行く方法を下見したり、コンビニで次の日のご飯やモンスターを買ったりして過ごしていました。

下見の時に、試験会場で受験者数を確認したら大体100人くらい受験することが分かり、例年の合格者数なら情報科学類を含めて30人程度なので、倍率は3倍くらいかなぁと思ったりしました。

そんなこんなでホテルについて、明日の身支度を済ませて12時くらいに「そろそろ寝るか」と思ったのですが、僕は結構遠足の前日は寝れないタイプで、さらにホテルでなれない環境ってこともあり結局、朝の5時くらいまで寝れませんでした。

また、この日も特に勉強はしなかったのですが、前日に足掻いても多分そんなに変わらないので、体調管理に徹底した方が良いと思います。もちろん、「勉強しないと不安で死んじまうよ!」って人は精神安定剤的な意味で軽くやるのもいいと思います。

受験当日の話

朝10時から試験だったので、朝8時に起きて、クノールのスープDELIとかいうめちゃくちゃ美味しいやつと前日に買っておいた魔剤モンスターをキメて試験会場に向かいました。

なお、開始2時間前に起きたのは、魔剤がキマって頭がクールになるまでのラグを考慮したのと、過敏性腸症候群でご飯食べたら腹痛になるので、余裕をもって早く起きました。

もちろん腹痛になり、眠いわ腹痛いわで試験前のコンディションとしては最悪でした。「体調管理に徹底した方が良いと思います」というのは何だったのか、という感じです。

で、死にそうになりながらホテルを出て試験会場に向かったのですが、道中で白上フ〇キ氏の”Say!ファンファーレ!"やY〇AS〇BI氏の”夜に駆ける”をキメました。特に”Say!ファンファーレ!"は頑張る朝にはとてもよい起爆剤でした。

命からがら試験会場に着いて、試験室に入りました。試験室内を見た感じ、空席もちょいちょいある感じでした。また、受験生たちは徹底研究を読んでる人とか、精神統一をしてる人とかもいて、各々試験に備えている感じでした。

そして、試験の説明、TOEICやらTOEFLやらのスコアシートの回収のあと、試験が始まりました。

まず、試験開始直後の感想としては、「アレ、全然分かんねぇ」でした。ぼちぼち試験の問題は公開されると思うので、詳細はそちらを見てください。

大問1 微積

パッと見、難しくて最初焦ったのですが、解ける問題解いてから戻ってきたら解けました。

大問2 線形代数

パッと見、難しくて最初焦ったのですが、解ける問題解いてから戻ってきたら解けました。

ふざけているわけではなく、筑波の問題はこういう問題が多いように思います。難しそうに見えるけど、冷静に見れば大丈夫、というパターンが大半な気がします。

もちろん、冷静になる、というのが難しいのですが、僕の場合は「まぁ、落ちても広島大学行けばいいし」と思った瞬間、スッと吹っ切れた感覚がありました。これに関しては広島大学合格の最大のメリットになります。

精神的な安心感は試験において大きなアドバンテージになるので、滑り止めは絶対に受けておいた方が良いと思います。

また、1周解けるやつを解き終わったくらい(試験開始30分くらい)に魔剤モンスターのカフェインが効き始めて頭がどんどんクリアになっていく感じがしました。

大問3 なんとかソートを色んなパターンで実装する問題

記憶が定かではないのですが、ソートの問題だったと思います。これも結構難しくて、1周目は解けるやつだけ埋めて、そのあと2周目にじっくり考えて解きました。記述問題もあったと思います。

大問4 最長共通部分列の問題

これはかなり想定外でした。DPは競プロでは必須スキルなので、「もし試験に出たら競プロやってない人と差が付くぞ!」と思っていたのですが、まさか本当に出るとは思いませんでした。

ちなみに、蟻本螺旋本かにそのまんまの実装があったので読んでいた人は有利だったと思います。これは結構できたと思います。

総評

全体としては、「結構手ごたえあったぞ!」って感じでした。序盤は全く分からなくて、どうなるか不安でしたが、最終的には一応全部空欄は埋められました。ただ、合ってるか分からないので不安でしたが、結果としては合格だったのでおそらく解けていたのだと思います。

ボーダーは成績開示が出ていないので分かりませんが、自分の結果は分かり次第、追記しようと思います。

追記:2021/05/21 開示しました。

おそらく今年のボーダーは200-210点くらいだと思われます。

画像1

合格後

ここで注意なのですが、メ創のカリキュラムはかなり特徴的です。なので、いわゆる単位変換が結構大変です。

僕は、理学部から工学系?のメ創に転科ということになるのでカリキュラムが全く違い、おそらくこのままでは1年で55単位(MAX)になる雰囲気がしていたので、放送大学で単位を底上げしました。

結構大変なことになっている同期の方を見かけたので、「カリキュラム全然違うよ」って方は放送大学の利用をおすすめします。ちなみに、1単位5000円くらいなので10万くらいすぐに飛びます。

また、大学2年生の秋学期には合格が分かっているかと思うので、在籍大学の履修もメ創のカリキュラムを見ながら変換できそうなやつを履修すると良い感じに変換できます。

終わりに

以上が僕の編入試験のすべてになります。正直、1年間半ほどただの受験勉強をメインにやってきました。ただ、筑波に入学すると、いわゆる”お勉強”以外にも色々できる凄い人がたくさんいて、少し後悔もあります。

「自分も”お勉強”だけじゃなくて、ほかの事もチャレンジすればよかったな」とか、「なんのために勉強してきたんだろう」とか、合格してしまうと色々思うこともありました。もちろん、受験期は筑波合格がすべてだったので、そんなこと思う余裕はありませんでしたが、受験を考えている方はぜひ、一度立ち止まって、考えてみてください。

「それでもやっぱり筑波しか勝たん!!!!」って方は全力で頑張ってください。応援しています。




以下、受験勉強に使った教材になります。

数学

徹底研究:最初に使ったやつ。徹底演習とかの後に見ると意外な収穫がある。とてもためになる。

過去問特訓:C問題が死ぬほど難しい。なのでA,Bがメイン。ただ、C問題の考え方はとてもためになるので一応やった方が良いと思う。とてもためになる。

徹底演習:途中式がとても丁寧。とてもためになる。

数学問題集:これ最強。C問題が過去問特訓のC問題より難しい。ただ、この本を上記3冊をやったあとにやると割と無敵状態に入れる気がする。とてもとてもためになる。ちなみに、購入時期は2年になってから。つまり勉強を始めて1年たった頃。

色んな大学・大学院の過去問:試験を受ける以上、実戦形式をやるのに越したことはないと思う。A3のクソデカイ紙に書いて試験っぽさを演出。問題集でバラバラになっていた知識が繋がって、ここで物凄い成長したと思う。分からない問題とかは、上記問題集から該当箇所を復習していった。GW頃から夏休みにかけてやっていてこれで数学に自信がついた。「編入 数学 過去問」でググるとたくさん出てくる。

情報基礎

C言語のやつ:とりあえずこれだけで文法はすべて済むのでおすすめ。

ポインタのやつ:ポインタが分からなかったので、買った。1周軽く目を通したあと、C言語のやつに戻ったらポインタを理解できた。購入優先度は各々の理解に依存しそう。

定本:「簡単」というネットの噂に騙されてはいけない。理解している人の「簡単」なので、初学者にはもちろん難しい。だから、「分からん!」って人もじっくり基礎から1つ1つ確認して理解していけばよいと思う。さすれば明るい未来が待っている。

螺旋本定本の知識に加えて、実践的にデータ構造を利用する練習ができる。コードもたくさん載っているので写経もできて良い。なお競プロ用の本なので、C++で書かれている部分があるが、定本が理解できていればおそらく問題なく学習を進められる。

蟻本:上記の本たちの知識に加えて、さらにゴツい感じのアルゴリズムとかがでてくる。筑波の編入試験を突破するだけなら初級編を理解できていれば十分だと思う。中級以上は編入試験突破が目的ならオーバースペックになるが、もし筑波が超超超絶難化したときに無双できるかもしれない。僕は中級以上はよくわからない。競プロ用の本なのでほとんどC++で書かれている。

AtCoder:競技プログラミング、プロコンのサイト。チュートリアルもしっかりしていて、上記の本たちの知識を総動員でアウトプットできる。勉強はアウトプットしてなんぼなのでABCの過去の問題を色々解いてみるといい勉強になる。AtCoderはこちら

英語(TOEIC)

abceed:これさえあれば、何もいらない。これに課金して、文法、単語を勉強したあとに、模試・公式問題集を解きまくっているとすぐに730行ける。また、細かい勉強法に関しては、600点以下の人は単語・文法等、英語の基本的なところに問題がありそうなので、そこからやっていくと良いと思う。600点以上の人は基礎はしっかりしていると思うので、自分が苦手だと思う分野と公式問題集で演習しまくったらすぐに730点は超えられると思う。

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