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私、ライターになれてたんだ。


今の会社に入ってちょうど5年。私はずっとライターであることに胸を張れていなかった。


挨拶のときは「ライターです」と名乗っているし、取材して文章は書いているけれど、現実は上司の朱書きで真っ赤になった原稿と向き合う日々。特に入社当初は千本ノックのように書いては直し、書いては直しの繰り返しだった。さらに今はコロナの影響で新刊が出版されないから書く仕事も少なくなり、業務の8割が校正・編集作業。たまに書く仕事をいただいても1発OKなんて稀で、今でも書けなくて泣きながら帰る日だってある。


私が書いた原稿は上司がチェックしてから出版社に納品をする。いつも(今でも)ビクビクしていて、上司に渡す前に何度も読み返すけれど、1つミスがあれば全部できていないことと同じ。私はこの5年間で100点を出せた記憶がない。100点じゃなければ0点だから、私は0点のライターなんだと心のどこかで勝手に決めつけていた。

このままじゃダメだと、ぶんしょう舎に入って、世の中にはいろんなライターさんがいるのだと知った。書きたいことを自ら取材し発信する方もいれば、自分の体験を面白いエッセイとして書く方もいて。そこにはちゃんと「自分」がいて、みんな生き生きと文章を書いていた。書くことを楽しんでいる姿が眩しくて仕方がない。私、楽しいって感じたことあったっけ?


企画メシに入り、ライター部を立ち上げた

私がなりたいライターって何だろう?100点を出せない自分がライターと名乗ってもいいのかな。同じ業界に知り合いがいないから、職場と関係ないライターさんとお話をしてみたかった。今思えば、私自身が本当にライターなのかを確かめたかったんだと思う。

集まってくれた現役のライターさんは2人。他のメンバーも含めて何度かお話をさせてもらったけれど、やっぱりお2人ともっと話してみたいと思い、3人でお茶会しませんか?とお誘いすることに。

そして色んなタイミングが重なり、そのお茶会はあれよあれよと企画メシ第7回、ラジオの企画の課題へと繋がっていった。ただのお茶会のはずがラジオで生配信することになるとは。


慎重な私たちは何度もzoomを繋ぎ直して話をして、「どんな話だったら役立ててもらえるかな」「noteって紙のことじゃなくて、ちゃんとSNSのことだよって説明したほうがいいかな」なんて細かいところまでじっくり打ち合わせをした。

普段どんなことを心がけているのか、どんな風にライティングしているのか、打ち合わせで2人のそんな話を聞くだけでも私にとっては学ぶことばかりだった。むしろそれを配信したいくらいにすごい2人なのだ。

ライティング技術の高さというより(もちろん技術もすごいのだけど)、仕事に対する姿勢や、言葉と丁寧に向き合っている姿がとにかくかっこいい。2人が苦しい思いもしながら諦めずに積み重ねてきた経験には、ライティングの教科書には載っていない大事なことがたくさん詰まっている。


いつも「私ネガティブだから」と謙遜するそよかさんだけど、その分リスクヘッジと相手への思いやりがとにかくすごい。取材相手に対して「人生の大切な時間を頂いているから、お互いに実りのある時間にしたい」という言葉が心にぐさりと刺さった。そよかさんが当たり前にされていることは、全然当たり前じゃなくて本当にすごいことばかりなのだ。しょこさんと「そよかさん語録を作りたい…!」と言っていたくらいに、そよかさんのすごさを皆に伝えたい。そして何よりもこの課題を通して「自分はありのままで良かったんだ」と言ってくれたことが涙が出るくらい嬉しかった。


かくいう私もネガティブ人間で、そんな私たちを優しく包んでくれていたのがしょこさんだった。しょこさんは、一旦全部受け止めてから自分の言葉でちゃんと伝えてくれる人。「最初は若い人たちを見守っているつもりだったけど、動きたくなって」と、放課後企画メシを企画したり、夜市の運営に積極的に参加してくれたり。ここでは年齢や経歴は関係なくて私たちは同級生だから、そんなしょこさんの姿に私も刺激をもらっている。


私、ライターになれてたんだ。

みなさんへ。
自分の中では当たり前だと思っていても、
それはぜんぜん当たり前ではなくて、
ライターの世界に興味がある人にとっては、
知りたくてたまらないことだったりする。
それぞれが、それぞれの現場で、
培ってきた経験を、すごく大切にしてほしいし、
胸をはってほしいし、これからも、
自然体で、自分を開いて、
伝え続けてほしい。

ライターって、
もくもくと書くだけじゃないよね。
話すことも愛してほしいなと思いました。


(いつでも見れるように、阿部さんの言葉をお守りにしたくて、ここに掲載をさせていただきました)

尊敬できるライター2人とのラジオは井上さんにピックアップしていただき、何人かから感想もいただき、ほんの少し自信がついた。そして最後に阿部さんからこの言葉をもらって、ようやく私はライターになれた気がした。というより、私はライターになれていたんだと思う。私が認めていなかっただけで、逃げずに書き続けているうちに私はライターになれていた。

気づけて良かった。気づかせてくれてありがとうございます。
これからは胸を張って自分は「ライター」だと言いたいし、今まで学んだことを誰かに伝えることでもっと存分に成長していきたい。後ろを振り向かずに、あとは前に進むだけ。(やっぱりライター部は続けるべきなのかな)


お茶会はラジオで配信するかはわからないけれど、これからも続ける予定。
次は「話すことを愛する」ってどういうことだろうって、3人で解釈しあう会になりそう。

そして実はもう1人、ラジオの企画に誘ってくれた方がいて。タイミングが合わず一緒にできなかったのだけど、私はその方の企画の大ファンなので、いつか一緒にラジオ配信できたら嬉しいなと思っている。(声をかけてくれて本当に嬉しかったです)


次回で企画メシ2021が終わる。終わりでもあり、始まりにできるように。覚悟を決めて宣言を。

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