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99歳の祖母+老犬をかさねる


昨日、99歳の祖母に2年ぶりに会ってきました。
祖母は私もよくかわいがってくれましたが、嫁姑で母との関係が悪くなり、祖母とは疎遠になっていました。昔は母の肩を持っていましたが、30年の月日が流れ、私はドッグトレーニングを通して、動物の心理や行動を学び、祖母と母の関係、そしてその周囲を取り巻く環境としての私を改めて考え直すと、自然と祖母には優しくなれる自分がいます。


さて、今回は、祖母とのおしゃべりの中で気づいたことを書き留めておこうと思います。

おしゃべりをしていて、祖母の口から出る言葉は

友達も皆亡くなってしまったし
施設に入っても周りは自分と同じ年寄りばかり
それも
認知症が進んでいる人
世の中の話題に無関心な人
耳の遠い人
寝たきりの人ばかり。
まるで話す相手がいない。
スタッフの人が来たときにせっせと話すが、スタッフの人も忙しそうに話を切り上げていく。あまりわがままも言えないので、指先を動かしたり、体操だったり、与えられた課題をこなし、毎日何も面白くない。

しかし話している中でときどき目がキラキラする瞬間がありました。

昨日はテレビで歌舞伎をやっていて、それはずっと見ちゃった。
すごくよかったわー。

その目はうっとりしていて、こういう瞬間をもっと沢山味わってもらいたいと思いました。もしかしたら、「面白くない日常」の中にたまにある楽しみだからこそその楽しみが際立つのかもしれませんが、祖母に残されている時間はきっと片手で数えられるくらい。(両手かもしれないが)
その時間の中で「つまらない」よりも「たのしい」が多い方がいいでしょう、、おそらく。

長生きをすること

歳を重ねると、思うように体が動かせなくなり、周りに迷惑ばかりかけてしまうと言って、泣いたり、落ち込んだり、あるいは自ら命を絶つ人もいます。昨年、私の身近にもいらっしゃいました。

私は犬と関わる中で、犬の限られた時間を輝いた時間にするために、どうすればいいか、、そんなことを考えています。

美味しいものを美味しく食べ
あたたかい日差しの中でうとうととして
昔好きだったものを取り出してみてワクワクしたり

年老いた犬を前に、飼い主は無力感を感じ、獣医療に頼り、延命治療をついつい一生懸命してしまいがちですが、私自身は飼い主こそが最後の最後まで何かしてあげられる立場にあると思っています。

祖母の「何も面白いことない」という言葉は、わたしたち家族が祖母を施設に預けたきりで、相手をしていないことも原因なのだろうと思ました。

大きなことをする必要はなく、小さくても沢山心が通うようなことが必要なのかもしれない、、、それは人間の家族のみならず、犬たちとも同じ。そんなふうに感じた一日でした。

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