現代技術に阻まれる趣味

僕の趣味の話だ。物件を見ることが好きだ。
自分が住んでいる街、住む可能性のある街、住みたい街、住むことが無いであろう街。様々な街で、自分の好みの条件が当てはまる物件を探し、そこでの暮らしを想像する。暇を見つけてはそんなことをしている。

どれほどかというと、物件を調べすぎてネット広告にまで情報が表示される程だ。感心してしまう点でもあった。さすが現代の技術。ユーザーの好みを分析し、最適なものを表示してくれている。全幅の信頼を置いた僕は、そこをきっかけに理想の暮らしの舞台を決めるようにもなった。

ある日ネットサーフィンをしていると、いつものように(という枕詞が使える程だった)広告欄に物件情報が表示された。次回物件探しの旅をする際に参考にしようと目を向けると、「南青山、月880万円」の表示。
「探してばっかりで、こいつ中々決めねえな」
広告のシステムにそう思われたようで僕は怖くなり、それからしばらく「物件探し」を自粛している。

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