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長夜の長兵衛 七十二候シリーズ <短編小説>

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長夜の長兵衛 二十四節気シリーズに続き、七十二候のシリーズです。 短編の連作です。読み切りですので、どこからでも、お読みいただけます。全部地の文で出来ているこの世界は、一体いつ、…
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2024年5月の記事一覧

長夜の長兵衛 蚕起食桑 (かいこおきてくわをはむ)

一夜酒  ひい、ふう、みっつくださるか。  源兵衛は甘酒売を呼び止め、長兵衛にもこちらへ…

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長夜の長兵衛 竹笋生 (たけのこしょうず)

常盤木落葉  遠くから仰ぎ見れば高き山も、  分け入れば林また林にて、  木立、大地、うご…

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長夜の長兵衛 蚯蚓出(みみずいずる)

車前草の花  鳥居の向こうでは風が変わる。 お社さんでは、綻びが繕われているような、と …

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長夜の長兵衛 蛙始鳴 (かわずはじめてなく)

袋角  一行は地蔵さんの辻を越えて峠へ向かい、山の深いところまで分け入った。金兵衛は夏…

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長夜の長兵衛 牡丹華(ぼたんはなさく)

春時雨     菓子屋の店先、右手に置かれた鉢に金兵衛は顔を寄せた。やさしい香りであるこ…

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長夜の長兵衛 霜止出苗(しもやみてなえいずる)

御玉杓子  苗代田に水が張られた。  畦道に草どもがゆらぐ。水面に映された雲が、流れたり…

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