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長夜の長兵衛 七十二候シリーズ <短編小説>

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長夜の長兵衛 二十四節気シリーズに続き、七十二候のシリーズです。 短編の連作です。読み切りですので、どこからでも、お読みいただけます。全部地の文で出来ているこの世界は、一体いつ、…
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2024年4月の記事一覧

長夜の長兵衛 葭始生(あしはじめてしょうず)

目刺  細く尖った芽が水面を穿つように、あちこち姿をあらわしている。  葦の角に出会うと…

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長夜の長兵衛 虹始見(にじはじめてあらわる)

躑躅の衣  丁寧に衣を広げ衣紋掛けに吊るすと、蘇芳の色目が金兵衛の心の奥を掴んでくる。や…

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長夜の長兵衛 鴻雁北(こうがんかえる)

花筏  吉野の山桜は、夢かうつつかわからぬほどの見事さと聞きおよびます。行者さんの御神木…

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長夜の長兵衛 玄鳥至(つばめきたる)

駘蕩  辻にて長兵衛は一旦立ち止まる。左へ行けばお社さん、右なら畑へ至る道、まっすぐ進め…

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長夜の長兵衛 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)

海猫渡る  鳥居をくぐると、すぐのところに宮司さんが待っておられた。  金兵衛さん。初雷…

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