マガジンのカバー画像

長夜の長兵衛 七十二候シリーズ <短編小説>

44
長夜の長兵衛 二十四節気シリーズに続き、七十二候のシリーズです。 短編の連作です。読み切りですので、どこからでも、お読みいただけます。全部地の文で出来ているこの世界は、一体いつ、…
運営しているクリエイター

2024年3月の記事一覧

長夜の長兵衛 桜始開(さくらはじめてひらく)

花時  久兵衛の手にある黒塗りの横笛を、お天道様が撫でていく。うららかな日和に、川べりを…

38

長夜の長兵衛 雀始巣(すずめはじめてすくう)

白木蓮  ときに木肌に触れながら、源兵衛はその周りをぐるり、と一周する。身を屈め、大きな…

39

長夜の長兵衛 菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

彼岸西風  橋の真ん中で、婆さまがじっと川を見つめておられる。どうなされたのであろう…

40

長夜の長兵衛 桃始笑(ももはじめてさく)

草雛  両手に抱えたものを揺らさぬよう気を配りながら、長兵衛は安兵衛の屋敷へ着いた。  …

41

長夜の長兵衛 蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

 蟇目鏑    お社さんで蔵の掃除を手伝っておると、見慣れぬ矢が仕舞われてある。矢尻に大き…

47

長夜の長兵衛 草木萠動(そうもくめばえいずる)

堅香子    おい、銅十郎。  坊は背を向けたままでものを言わぬ。銀兵衛は近づくことはせず…

39