【字幕投稿報告】Kurzgesagt:You Are an Impossible Machine
Kurzgesagtの「あなたは非現実なほどに精巧な機械なんですよ!」という動画に字幕を投稿した。数日で反映されると良いな。
字幕は無期限で休業のハズだったのだが、メイン担当のえんどうさんが多忙とのことで、ピンチヒッターである。得意の生物学系であること、12月の投稿ラッシュでかなり負担をかけていたことも理由となった。
雑感
遺伝の基礎であるセントラルドグマについてが7割ぐらいなので、DNAやタンパク質を学ぶ中高生にうってつけである。たとえ話と映像のクオリティが素晴らしいので、大まかな全体像を掴めるだろう。
特に生命の言語という比喩がとても良かった。
自分の場合、高3までは物理化学を選択しており、浪人生になってから物理生物に切り替えた。学校の授業は全く聞いていなかったため、ゼロからの独学に近い形になっていた。
だからこういった例え話に全然馴染みがなく、すごくダイレクトに勉強した覚えがある。生命の言語の比喩は一般的なものなのだろうか?そうでないなら、この動画の価値はとても大きいように思う。
また、単に「セントラルドグマをわかりやすく解説!」という動画にならないのがkurzgesagtの凄い所で、発展的な問いと内容が含まれている。
問いは「命を持たない物質が集まることで、なぜ生命が生じているのか」という根源的なものであり、その答えが「創発」である。
創発については、哲学の勉強をしたときにも重要な概念として登場したばかりであり、知識がヨコにつながる感覚が快感だった。
※創発については、過去に動画化もされていたのだが、実は未視聴だった。(途中から入ったファンだし、初期の動画は気まぐれに視聴しているのでヌケがあったりする。)
翻訳の苦労
①生命の言語の例え話
序盤、セントラルドグマ関連の話が、言語に例えられながら語られていく。何も考えずに訳すと、生物の話と言語の話がとっちらかってしまい、わかりづらくなる。
なので、たとえ話パートが明確になるよう、”単語”とか”文章”のように、くくってしまうことにした。
見栄えとしてクドくなっていなければいいのだが…
②dead thingの訳
今回のストーリーを面白くしているのは、「タンパク質という命をもたない存在があつまり、命を形成している」という、物質と生命の境界が扱われていることにある。
そして、タンパク質は"dead thing"としばしば表現されていた。dead thingでググると「死物」という訳があるようなのだが、一般的に知られていない言葉だろうし、字幕でシレっと出てくると突っかかってしまう。
そこで、非生物と訳すことにしたが、どうだろうか。同じく創発を扱った過去動画をみたら「無生物」とされており、やってしまったかもしれない…
③dumbの訳
創発を説明するくだりで、タンパク質やアリが「単体ではdumbだが、集まると優秀なことをする」というような表現が出てくる。
deepL先生は、このdumbを「マヌケ」と訳した。辞書的にも、バカ、アホ、マヌケと言った意味であり、また寡黙とか口のきけないと言った意味があるようだ。
しかし、タンパク質は「自我を持たず、思考もせずプログラムに従っているだけ」なのだ。これをバカ・アホ・マヌケなどと訳すと「自我を持っており、思考の末に頓珍漢なことをする」というニュアンスが出てくるように思う。
「自我があるのか、思考をしているのか」は、この動画のテーマでもあるのだから、そこでズレた訳をするのは避けたいと強く思ってしまった。なので勝手ながら、dumbを「単純」と訳すことにした。
同じく創発を扱った過去動画をみたら、テキストの方もstupidだし、それを「愚か」と訳していた。自分がこだわりすぎてるのかなぁ。でも、熟慮の末の決断なので、お許しを。
急いだ理由
今回、動画投稿の3日後に字幕を投稿した形になる。急いだのには理由がある。もちろん字幕反映が早い方が喜ばれるというのもあるが、もっとプライベートな動機だ。
実は、動画が投稿された日に次男が誕生したのである。まもなく入院先から妻と次男が帰ってくる。そうなったらもう壮絶である。長男の遊び相手業務に加え、次男のオムツ交換・ミルク対応・寝かしつけ業務がやってくる。
まとまった思考を練り上げ、一定の作業量を要するアウトプットは難しくなる。しばらく、オムツ交換AIのような存在になっていくのだろう。なんとしても、その前に終わらせたかったのだ。
そんなわけで、色々と思うところのあるピンチヒッターなのでした。
※※ブログのタイトルについて、Kurzgesagt関係の字幕を投稿した場合には【字幕投稿報告】、雑談の場合には【雑記】などをつけ、明確にすることにした。これまでのタイトルの付け方だと、メンバーが字幕投稿した動画について雑談記事を書いたとき、一見すると自分が字幕をつけたように見えてしまうためだ。