スタンド攻撃

なんだかんだで、鬱病と診断されて1年が経過しました。
今にして思えば、一番最初に「変だな」と感じたのは「玄関のカギ」だった気がする。
あの感覚は、いまだに覚えている。

その日は妻が実家に行ってて、うちには自分一人だったんだよね。
朝出掛けるとき、フツーに家を出て、少し歩いた時に

「あれ?鍵かけったっけ???」

と言い知れぬ不安に襲われたんだよね。
「やっべー、忘れたわ、てへぺろ」程度にうちに戻って確認したら、鍵はかかってた。
「なーんだ、やっぱ鍵かけてんじゃん」と思ってまた歩き出して、さっきと同じ場所で、

「あれ?今確認して閉まってたけど、そのあと開けたよな。閉めたっけ?」

さすがに「鍵かけ忘れ(2回目)」は過去に経験したことがなかったので、
「いやいや、おかしいだろw」と笑ってみたものの、不安。とにかく不安。
「もしこれで鍵かけてなくて泥棒入ったらどうしよう」
そう思って、もう一度戻って確認したら、やっぱり閉まってる。

いやいい加減、電車間に合わないから。つーかいつもの電車には間に合わないから。だんだん自分に腹が立ってきた。でも不安なの。

ガチャガチャ「うん、鍵OK!大丈夫!」
ちょっと小走りで駅までの道を行くと、またさっきと同じ場所で、今度は凄まじい動悸。胸が苦しい。心臓がばっくんばっくん言ってる。
いや小走りした程度のソレじゃないのよ。冷や汗、震え、全部盛り。

「あーこれ、アカンやつや」

なぜか関西弁で言いたくなるような感じ。
なんだろ?指さし確認までして「オレ完璧!」という心の逃げ道を奪ったせいなのか、今度は体全体に異常信号を発してでも会社に行かせない、そんな感じにすら思えた。
もしかしたら、指さし確認しなかったら、もう一回「あれ?カギかけた?」という流れを繰り返してたのかもしれない。
まるでドリフだ。いやドリフにはそんなコントないけど。

とにかく頭がぼーっとしてフラフラして「いやコレまじで歩けないわ」という状況に、わずか数秒で達した自分に、さすがに「鍵より自分のほうが不安だわ」というふうになり、自宅に戻った。

そうだ、あれが始まりだったんだ。

もちろん、仕事は急遽休んだ。
明らかに異常だったもん。クレイジーだったもん。
あんな状態で駅行ったらヤバかったもん。
うん、あれムリして行ってたら、どうなってたか本当に分からない。

ま、実際、熱も出たから会社にはそう伝えて休みましたよ。
でも不思議なことに、うちに帰るとなんともないんだよねぇ。
でもそんなこと誰にも言えないから、どうすりゃいいのか分からなかった。
あれがいわゆる「強迫性障害」「強迫観念」ってヤツだったんだね。

もともと神経質なA型なので、どうでもいいことに強いこだわりがあったりするんですが、そういうのとは全く違って、まるで「家から離れることができない呪いにかけらた」かのような感じでした。
ある一定の距離離れると自動的に発動する「スタンド攻撃」のような感じ。

あれは地味にやられたなぁ。
それ以降、あの感覚には陥っていないので問題はないのだけれど、もしまたあの感覚になったら、ちょっと怖いな。

あ、でもまたそうなったら休めばいっかー(笑)
・・・とまぁ、こういう考え方が、自分自身を救うのです(と言い張る)

「すいません、家から離れられないスタンド攻撃受けたんで、休みます」

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