電車

鬱以降、電車に乗れない体になった。
電車に乗ると、右半身が痙攣するのだ。
ウッソくせぇーー、いや本当。
むしろ逆におもしろい反応。

電車に乗る、震える、電車から降りる、震え止まる。
ワックスかける、ワックス拭き取る、ベストキッドかお前は。

会社の産業医との面談で、最初は一人で電車に乗れなかった。
危険だった。
自分でどうなっちゃうか分からない、しっかり会社まで行けるという自信がなかった。途中で何かしちゃう可能性が少しあったと思う。

少し時間が経って、電車に乗ることも半年以上なくなって、自分的にはかなりいい感じだと思っている今日この頃。
数ヶ月前に、また産業医との面談で会社に行ったのだが、乗れた、一人で。
それ以降は、月イチで会社に行くのだが、電車はクリア出来たみたい。
あ、でも朝の通勤はどうだろう・・・
と思って、朝早い時間に駅のホームに行ったりしている。

コロナ禍とはいうものの、全然混んでるね、駅。
鬱とか関係なく、こんな電車乗りたくねーわ、令和って感じ。

ま、それでもなんとか電車乗れそうな感じがする、混んでいても。
そもそも、電車には罪はない。電車が嫌いで仕事に行けないわけじゃない。
むしろ電車は、少しでも苦痛な通勤時間を短くしようと、すっ飛ばしてくれてるのだ。ヤツは仲間だ。オレたちゃ友だ。
今度電車に乗ったら声かけてやらなきゃな。

「よぅ、ひさしぶり、どうしてる?」
『相変わらずさ、毎日すっ飛ばしてるぜ、たまに駅も飛ばしちゃうけどな』
「おいおい、駅飛ばしちゃマズいだろ、お前各駅停車だろう?」
『最近はダイヤが乱れて、たまに快速になるんだぜ』
「へぇ~そりゃ出世だなぁ、ところでアイツ、どうしてる?」
『アイツもおんなじようなもんさ、びゅうびゅう風を切って走ってるぜ』
「そうかい、みんな出世してるんだなぁ」
『ちょっと前のことなのに、だいぶ昔のことに思えるぜマッタク』
「乗客のみんなはどうしてるんだい?」
『相変わらずだったり、近頃はとんと見なくなっちまったヤツもいるさ』
「近く、またオレも乗ろうと思ってんだよね」
『そうかい、そりゃ歓迎だ、仲間にも伝えておかなくちゃな』
「あぁ、そん時ゃよろしく頼むぜ」
『おぅ、任せときなって。窓開けて換気して待ってるぜ』

そうだ、電車は何も悪くなかった。
あいつらはいつもの時間に待っててくれた。
オレが乗るのを拒否してただけだ。オレの心が。

あとはアレだ、運賃な。
意外と高いんだよ。都内まで行くのって。

『いや、そこはさぁ、ビジネスだからさ』
「お、おぅ・・・」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?