見出し画像

メリー・暗い・鬱屈

 みんな~~~!!!クリスマスは、好きか~~~!?!?!?
 私は、ふつうです。
 アドベントノートシリーズ、今日は短歌を一旦お休みしてクリスマスの思い出の文章です。

 クリスマスソングが街で流れ始めるとうっすらと辛くなるのですが、「千年紀末に降る雪は」は大好き。キリンジは冬の曲が多くて嬉しい。しっかりエイリアンズが好きなタイプのオタクです。初めて聴いた時、こんなに暗いクリスマスソングがあっても、いいんだ……と感動しました。この曲を好きな人間はだいたい鬱屈仲間だろ!と勝手に思っています。

  宗教色をほぼ完全に脱色され、子供の頃は子供らしさを、大人になれば恋人や家族と過ごすことを社会から要請される謎のイベント、日本のクリスマス!!!

 最近はかなり和解できてはいますが、それこそサンタさんにプレゼントをもらっていた頃の方が憂鬱でした。 クリスマスが苦手になった決定的なエピソードを書いて幼少期の自分を成仏させてあげたいので、今日はトピックにそぐわない暗めの話です。クリスマスが、好きだ~~~!!!と返事してくれたみんな、ごめんね。読後感がよくないので、元気な時か、悲しい気持ちになりたい時に読んでください。

 冬は好きなんですが、クリスマスと年末年始の異性愛規範と家族団欒を商業的に押し付けられるみたいなムードが少しだけ苦手です。インターネットのリア充爆発しろみたいなノリも、恋人はいたほうがよいという規範の裏返しみたいで逆に冷めた目で見ていました。めんどくせ~。
 なんにせよ、恵まれている人しか楽しめなくないですか?まあそんなことを言ったら大体の季節のイベントがそうだとは思うんですけど、なんかクリスマスって全体的に押し付けがましくないですか?サンタに親でも殺されたのか?という憎みようですが、大まかなあらすじとしては間違ってもいない。

 当時の私は、いたいけなリアクションで両親を喜ばせたかったので、サンタさんの存在を信じている、というていで小学校卒業あたりまで一応やっていました。嫌な子供。誕生日のお祝いとかならまだしも、特になんでもない謎の日にプレゼントを貰おうとするから変につらい思いをするんだ……みたいな解釈に至り、こんな気分になるくらいならクリスマスなんてやりたくない!とまで思っていました。

 そんな感じになったきっかけは、DSLiteが発売された年のこと。世代がバレる。発売日がちょうど誕生月だったのでねだったのですがあえなく却下され、同級生の中で完全に遅れを取ってしょんぼりしていました。お年玉も親に管理されており、仮にお金を手に入れたとしても田舎すぎて車を出してもらわなければ自力で買いに行くことも不可能な時代。DSもwiiもある子の家にお邪魔しては(なぜ一年にゲーム機を2つも買ってもらえるのか?)(家がデカくて、広い)(犬とかいる)と思っていました。この年の担任は百人一首に熱心で、夏休み中暇すぎて百人一首の暗記に打ち込み、百首を十首ずつ暗唱するテストを全ステージクリアして褒められた記憶があります。この時の変な反動で短歌が好きになったのか?

 そんなこんなで12月、 これでやっとみんなと遊べる!と期待に胸を膨らませている……と思いきや、DSLiteより欲しいものが別に芽生えていました。それは、パパとママの仲直り!!!この頃の私はまだ、そこそこしっかりサンタクロースの存在を信じていました。一方、家庭内不和がそこそこしっかり育った私にも影響しはじめます。言い争いをひたすら仲裁する日々を送る中で、神頼み的な観点からサンタさんに両親の和解をお願いすれば叶うのでは?と思ったのです。DSLiteの白がいい!と言い続けていたものの、パパとママの仲直りがいい!とはに面と向かって言えないので、お手紙を書く直前までかなり葛藤しました。サンタさんにお願いできるのは一つだけだと言い聞かされていたので、どっちも書こうなどとという考えは浮かびませんでした。

 ファンシーショップで選んだかわいい便箋を前にしてなお迷いを捨てきれず、母に何か別に欲しいものがあるの?と聞かれ、「パパとママを仲直りさせてくださいって書くか迷ってる」と伝え、2人して号泣。ごめんねごめんねと抱きしめられ、ママは大丈夫だからゲームをお願いしなさいと言われました。泣きながらそんなことを言われたら、そのようにするしかない。おそらくある程度前からプレゼントは用意してくれていたはずですが、この時の母はさぞ色んな意味で焦ったことでしょう。シナモンのレターセットに、当時1番好きだったお菓子、マリービスケットとココアを添えて24日の夜は眠りました。

 翌朝、枕元にはきちんとクリスマス柄の包装紙でラッピングされた箱が。DSLite(白)とNEWスーパーマリオブラザーズを手に入れて大喜びの私。これにはさすがに両親も笑顔。たしかソフトを持っていなくてもローカル通信で遊べるみたいなゲームも結構あったんですが、本体がなければそれもできなかったわけで、やっとみんなの輪に混ぜてもらえる安心感も大きかった気もします。

 しかし、同年の12月30日。会社の忘年会で苦手な酒を飲まされ赤くなって帰ってきた父は、なんとDSLite(赤)の箱を手にしていました。なんで!?どうして!?忘年会のビンゴゲームで当たったらしく、珍しく酔って誇らしげに入手経緯を語り聞かせてくれたのですが、私の内心はめちゃくちゃです。
これが!あったら!私のDSLite(白)、立つ瀬がない!!!こんなことなら、母の涙にも負けず、浅はかな物欲に負けず、仲直りをお願いするんだった!!!!!涙ながらに家庭内不和の解消を断念してまで手に入れたDSLiteの価値が、1週間足らずで奇跡的な暴落。どう考えても共働きの核家族にDSLiteは2個も必要ありません。

 あまつさえ父は、「いや~、こんなことならサンタには別のものをお願いすればよかったな!笑」と言い放ったのです。さすがに青ざめて止めに入る母、これが引き金になってまた喧嘩されてはたまったものではないので曖昧に笑うしかない私。

 脳内でクラスメイトの「サンタさんなんているわけねーじゃん笑 お前らまだ信じてんの?」というひやかしが再放送され、その意味を悟りかけ、深く考えないようにします。上機嫌で俺もちょっと欲しかったんだよなみたいなことを言っている父を眼前に、私と母は呆然とするほかありませんでした。

 しかもそれ以降、夫婦喧嘩の際に「部屋に行っていなさい」と一日に遊べる時間の限られているはずのDSLiteを渡されて子供部屋に誘導され、階下の怒鳴り声を紛らわせるために爆音でマリオをやりこんでいたので、マリオを見かけてもうっすらとつらくなります。ヒゥイゴー↑
 あと、DSのソフトも買い渋られた挙句マジコン(違法コピーされたソフトがたくさん入っている、今では考えられない、ありえないアイテム)を与えられて、それだと友達と通信ができなくて泣いたりもしていました。みんなのDSケースのポケットにカラフルなソフトが並ぶ中、私だけがなんかキラキラした変な黒いソフトを刺して通信エラーを出していた鮮明な記憶があります。気まずいよ~。


これこれ。懐かし~。


 一方の父は通勤電車内でDSLite(赤)を愛用するようになり、自分用のテトリスやらぷよぷよやら大人の脳トレやらを買っていてそれも普通に許せませんでした。ぷよぷよで一番好きなキャラはフェーリちゃんです。

 とにかく、当時の私(6)にはそれはもうショックな出来事でした。サンタさんなんていないと思い知らされた上に、両親の和解よりも即物的な欲をねだった罰を下されたように感じてしまって……。私が願おうとしたものを父があの後知ったかどうかはわかりませんが、この事件以来サンタクロースには一番欲しいもの・形のないものは絶対ねだらないようになりました。ASD児特有の変に達観したような所のある子供でしたが、パフォーマンスとして無垢な子供を意図的に演じるきっかけとなった転換点です。

 今思えば悪いのは子供の前で喧嘩する親と運ですが、このせいでホリデーシーズンにみなさんが浮かれている中鬱屈とした感情を募らせる悲しき逆張りオタクが生まれました。それでも、子供はクリスマスを楽しみにしてプレゼントに喜ぶべきなんだ……と謎の責任を感じて以降もRPをし続けた結果ひねくれていき、サンタは卒業だ。と言われてからは役割から解放されて、完全にクリスマスのキチガイアンチに。

 あのムードが街に溢れる期間、楽しげな周囲と自分とのギャップを感じて余計にどんどん暗い気持ちになるんですよね。人格形成時におけるトラウマの一つとして根深すぎて、クリスマス関連の全てにうっ……となってしまう時期が長すぎました。

 そんな私にも、今年はちゃんと好きな人と過ごすクリスマスの予定があります。本当によかった~~~。アイドルのサンタコスとかをいっぱい見てこのトラウマを乗り越えていこうと思います。ホリデーシーズンのもの、キラキラしててかわいいから素直に楽しめるようになりたい。がんばります。このオチがなきゃやってらんねえよ!!!

 ものすごく悲しくてありえないほど長い話、おわり。幼少期の恨みつらみを読んでくれてありがとう。悲しい気持ちになっていたら、すみません。明日はクリスマスにまつわる短歌をちゃんと書くね。

いいなと思ったら応援しよう!