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東北旅 三日目 その3

ホテルで帰りの身支度をしながらも、
まだ私の中でこれという確信は
湧いてこなかった。

それでも、目的がなければ
身体は動き出さない。

帰りの途中、一関で
中尊寺を見て帰ろう。
午前中に到着すれば、
観光できるだろう。

それが、私の出した
一応の結論だった。

ホテルで朝食を食べ、食堂に
あったテレビをぼーっと見る。

ビジネスホテルの朝食会場は、
空いている。

もし、混んでいる観光地ならば
朝食会場は人でいっぱいだ。

あまりお腹も空いてない。
気の乗らない朝食。
なんだかモヤモヤする。

食べ終わった朝食のトレーを
朝食会場の端まで持っていく。

ご馳走様でした。

厨房の中の人に声をかけると

ありがとうございます!!!と
気持ちの上がる挨拶を返してくれた。

すごく綺麗な人だった。
いや、普通のおばさん。
でも、キレイ。
生き生きとしてる。

私は、その挨拶ひとつで
エネルギーをもらった気がした。

こちらこそ、ありがとうです。
少しだけ、気持ちが上向いた。

朝のバスの時間は下調べしていた。
7時10分。

少し早めにバスターミナルに
着いてバスを待つ。

バス停から朝日が見えた。

昨日のタクシー運転手さんが
教えてくれた日の出だ。
帰りがけ、私に運転手さんがくれた
プレゼント。

「ホテルの向こう側の山から朝日が登ります。
とっても綺麗ですよ。」

そうですか、と答えたけれど
無理に見ようとも思ってなかった。

でも、気づいたら街の一番の
ベストポジションで
私はその日の出を見ていた。

本当に不思議だ。
身体に正直になるほど、
全てのタイミングは合ってくる。

朝日を見ながら、
私は、過去の自分の後悔を
何故か思い返していた。

諦めていた。

そう、私はいつもいつも
自分を諦めていた。

また、チャンスはあるさ。
と、自分に嘘をついて
チャンスを逃してきんだ。

そして、
頭で考えて、行動して傷つく。
それは、何かがそっちじゃないよと
教えてくれるサインだったんだ。

今ならわかる。

思考の先にあるのは、不安だ。

ああでもない。
こうでもない。

そう、外側、過去から選ぶ。

それじゃ、上手くいくわけない。

じゃあ、私はどうしたいの。

惰性で決めた観光を
よかったと思い込んで
また生きていくの?

自分で自分に問うてみた。

答えは明確だった。
今できることをしよう。

先に進もう。

その時、バスがやってきた。
盛行きのバス。

大船渡の先、三陸リアス線の出発駅。
https://www.sanrikutetsudou.com/

まだ、先に道は続いてる。

本当は知っていたけど、
見ないようにしていた道。

また、私は太陽に背中を押されてしまった。

でも、動くのは自分。
この身体を使って。





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