映画レビュー「バーバリアン」

前半すごく良い雰囲気なのに
後半で一気に80年代低予算ホラーへと転落する珍作
(ネタバレあり)
★2/5

タイトルの不気味な響きに惹かれて鑑賞。
(ちなみにバーバリアンとは野蛮人とか未開人とかという意味)

とある家にまつわるホラームービー。
3人の人物をそれぞれ描くエピソードから
最終的に全員がその家に関わるような構成になっています。


出だしから1人目の主人公エピソードまでは
凄く調子がいいんです。

不気味だし、謎だし。
いったい何が起きているんだろう?とかなりワクワクします。

ところが・・・
その主人公エピソードの最後で
もうその謎を生んでいるのが何者なのか
ほぼわかってしまいます。

そこから一気にテンションが下がり
最後はもういつの時代の作品なんだよというクオリティに成り下がってしまって
そのまま終わります。

おいおい、ちょっと待ってくれよと。

↓以下ネタバレです。





結局その家にいたのは
年齢もわからないまるでモンスターのようになってしまった女性でした。

しかも言葉もまともに話せず
ただただ人間を赤ん坊として可愛がろうとするだけの
異常な精神状態の持ち主。

なぜそんな女性がその家の地下の奥の方に潜んでいたのか?

3人目のエピソードが
その原因となった人物の話なのですが
もうホラー映画としての恐怖は
相手が女性だとわかった時点でほぼ消滅してしまっているので
原因がどうなのかとかはかなりどうでも良くなってしまいます。

3人目に登場する元々その家の持ち主だった男性が、
自分の性的な欲求だけのために地下室を作り
そこに監禁していた女性との間に生まれたのが
そのモンスター化した女性だったというお話です。

おそらくその元家の持ち主の男性は
その生まれた女性とも性的な関係を持ったものの
子供が生まれることもなく
女性は地下室でただただ子育てのビデオだけを繰り返し見て育ったので
赤ちゃんを可愛がりたくて仕方ないというだけの人間になってしまった
という事なんだと思います。

でも、そこの設定は悪趣味過ぎるし
それを知ったからと言って感情が動かされるようなストーリーでもありません。

そして後半は
1人目として登場した主人公の女性と、
2人目として登場した現在の家の持ち主の男性と、
そのモンスター化した女性との戦いという流れになりますが、
それがまたもうかなりどうしようもない展開を見せます。

2人目の男性は徹底的に自分勝手な男として描かれ
戦いの途中で主人公を裏切ったりしますが
それがまた絵に描いたように最低な行動をとるので
それもかなりゲンナリします。
その男性に腹が立つという前に
あぁ・・・そんなシナリオにしたの・・・
という気持ちの方が強かったです。

そして、モンスター女性は女性で
ずっと地下室で暮らして来たはずなのに
物凄く力が強いんですよ・・。

成人男性の頭蓋骨を素手で真っ二つに引き裂くぐらいの
手の力があるので・・・。
いやそれはあまりにリアリティがないだろう・・と。

2人目の男性はそのモンスター女性に
目玉を素手で潰されますが
それもなんというか
80年代のホラームービーで見たようなクオリティの描写で・・・。

とにかく前半のよい雰囲気が
物語が進むにつれて大味で低クオリティになってしまうのが
本当に残念でした。

エンドロールになった瞬間に
「なんやねん、これ」
と思わず口にしてしまいましたので。



「本当に野蛮な人間はそのモンスター女性じゃなくて
 自分の欲求だけを求めて生きている男どもの方だ!」
・・・というテーマがあるのかないのか・・。

2020年代にこんな作品を見るとは思いませんでした。
もちろん作品を世に送り出した人達には敬意を表しますが
せめて邦題タイトルを「悪魔の毒々モンスター」とか「オバタリアン」とか
わかりやすい物にしてもらった方が
期待値を下げて見られるのでよかったかもしれませんよ。

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