映画レビュー「NOPE/ノープ」

割と残念な出来の「宇宙戦争」
★2

「ゲット・アウト」はここ数年のスリラーの中で屈指の傑作。
「アス」は最初怖くて不気味で後半風呂敷を広げすぎたけど、切り口が面白い怪(珍?)作。
それらの監督ジョーダン・ピールの第3作という事で、
予告編の映像もなかなかに興味をそそる出来だったので
割と期待して観てみました。


ところが・・・。

おや??

どうした、これは・・?


私は基本的に映画製作者をリスペクトしてるので
滅多にそんな言葉を口にしないのですが、
久しぶりに見終わった瞬間に
「しょーもな…」と思わず口にしてしまいました・・・。

冒頭のチンパンジーのくだりから、
どうにも物語が噛み合って前に進む感じがなくてモヤモヤするのですが、
「ゲット・アウト」でも主役を努めたダニエル・カルーヤ演じる
主人公のOJが寡黙で口下手な役柄なため、
さらにそのモヤモヤに拍車が掛かり、
見ていて少しイライラしてしまう感じがします。

チンパンジー事件のくだり、
それを現場で見ていたアジア系俳優のくだり、
彼が今経営してるテーマパークのくだり、
撮影用の馬たちとその調教の世界、
人物像がよくわからない撮影監督、
兄と姉の噛み合ってるのか噛み合ってないのかよくわからない
会話や考え方、
途中に挿入される馬やチンパンジー等の名前テロップ、
いきなりチーム感を出して立ち向かう4人、
ラストシーン、
・・・・

見ている自分の中で全ての要素が
どうにもしっくりと繋がりませんでした。

ネタバレしてしまうと
空にいたのは生き物を食べる巨大飛行生物だったという事なんですが、
発想や映像面ではかなり面白いのに、
ストーリーが今ひとつスッキリしないので
見終わった後に爽快感も納得感も残らない印象になってしまいます。

こんな生き物がいたら
普通もっとビックリして
自分たちで対決しようなんていう考えにはならないでしょ??

絶対に独自で映像に収めてお金にしたいと考えるほどに
兄と妹が追い込まれているようにも見えないんですよね。
それにお金にしたいのにプロの撮影監督を呼んだりしますかね?
そっちに支払う額の方も結構大変になりそうですが。


ジョーダン・ピール監督は前2作の印象から
密室的なジットリした恐怖感を上手く見せる監督だと思っていたので
今回はそれが空に広がってしまったので上手く行かなかったのでしょうか。

途中で子供たちのいたずらで出て来た
宇宙人もどきのシーンが一番怖かったです・・・。

それ以降は緊迫感もなくなり、
トム・クルーズ主演の「宇宙戦争」みたいな大味なテイストになってしまいます。

予告編が一番端的に物語がまとまっていて
テンションも上がって面白そうに見えますよね。
兄のOJがもっとテンションの高い人物の方が
さあ対決!という雰囲気で盛り上がったんじゃないかなぁと思います。

まあ、
この手の作品は大好物なので酷評したくありませんが、
ちょっと期待値を上げすぎたんだろうなと思います。

残念。

ジョーダンピール監督には次回を期待しておきます!


※作品のいろんなシーンの意味や一貫性を詳しく考察していらっしゃるサイトさんもあるのですが、残念ながら私はこの映画を見てそこまでの深い意味や一貫性を見い出す事は出来ませんでした

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