映画レビュー「フィフス・ウェイブ」

あまりにヌルくて中途半端な青春群像SF(?)
★2



異星人による地球侵略に立ち向かう若者を描いたSF作品。

主役の女子高生キャシーを演じるクロエ・グレース・モレッツは
「キックアス」や「キャリー」で人気の女優さんみたいですね。
確かに予期せぬ展開に右往左往する普通の女子高生を
好演していて魅力的な女優さんだなと思いました・・・。

というかですね、
この作品、
褒められるのはそこ「だけ」しかない・・
って言うと言い過ぎかもしれませんが
もう本当にそれ以外が壊滅的な仕上がりなんです。

出だしは悪くないんですよ。
異星人が地球にやって来て攻撃を開始。
それも第1波、第2波、第3波と手を変えて
だんだんと侵略を確かなものにしようとして来る。
さて作品のタイトルにもなっている第5波とは何だ?
みたいな流れなんですが、
テンポも悪くないしCGを駆使したディザスタームービーとして
普通に楽しめる展開なんです。

ところがです。
キャシーが一人旅を始めた後は
とたんにテンポもストーリーも緊迫感も全てが破綻し始めます。

え?
そんな状況なのに出会った見ず知らずの男と恋に落ちるの?
え?
普通の子供達をいくら訓練したとはいえ、いきなり実戦に送り出すの?
え?
そのチームの中でリーダーに立ち向かうキャラが出て来たり、
一度戦場に出ただけで黒幕はあいつらだ!って断言してしまったり
物凄い人数の中からすぐに弟を見つけ出せたり、
都合よく天井から助けが現れたり、
埋め込まれたチップを手で取り出せたり、
銃弾が決して主役たちには当たらなかったり、
単なる若者3人にしっかり脱走されたり、
・・・・・・・
最後の最後に全く何も解決してない(脱走の途中な)のに
「私たちには希望がある」と主張して終わるの????

うーーーーむ。
これは頂けません。

おそらくこれは最初からシリーズ化をしたかったんでしょう。
だから初めこそ起きた出来事をテンポよく描いて行きますが
そこからは「シリーズ第1話に入った」って事なんだと思います。
そう思えばこのヌルい展開も納得出来なくない。

異星人に立ち向かう若者たちを描く青春群像ドラマを
展開して行きたかったんでしょうね。

それにしても肝心の1作目がこの出来じゃ
どう転んでも続編は出来ないと思いますが・・・。

作り手の思惑はとにかく、
一本の映画作品として見た場合に
中盤以降があまりにヌルくて雑な作りになってしまっていると思います。

だいたい異星人たちは
第1波〜第4波で地球人たちを絶滅寸前まで追い込めているのに
なぜ第5波としてそんな周りくどい方法を取る必要があります??
効率悪過ぎませんか?

今の時代、子供用に作られた作品ですら
もう少し設定がしっかりしていそうだと感じてしまうほど
ご都合主義が酷いです。

この先彼らは異星人との戦いの中で
時には仲違いしたり時には涙を流したりして
友情を築き上げて行くことでしょう・・。
残念ながらそれを見たいと思うほど
登場人物を魅力的に描ききれていません。

まあ冒頭にも書きましたが
クロエ・グレース・モレッツを見るための映像
と捉えるならかろうじて成り立つ作品だと感じました。

ちょっと悪い意味でびっくりしましたが、
クロエの熱演に★を1つプラスして★2にしておきます。




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